「新南向政策」の進度を確認、蔡総統は協定締結への交渉強化求める
蔡英文総統は20日、「対外的経済貿易戦略会談(会議)」を開き、「新南向政策」が対象とする国々との対話メカニズムを強化し、それらの国々と戦略的パートナーとしての対話を展開するよう求めた。「新南向政策」とは、東南アジア、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアなど18カ国を対象国として、幅広い関係強化を目指す政策。蔡総統は、投資の保障や、税金を互いに免除する協定の締結に向けた話し合いを積極的に進め、企業にとっての投資や経営上のリスクを軽減するよう求めた。
総統府の黄重諺報道官が会議後に説明したところによると、同会議は主に昨年8月の第二回「対外的経済貿易戦略会議」で「新南向政策綱領」が承認され、昨年9月に行政院(内閣)が「新南向政策推進計画」を発表してからこれまでの半年あまりにおける「新南向政策」の推進状況とその成果を確認し、今後の計画を提示することで段階的な整理を行い、政策の推進を強化しようとしたもの。
蔡総統はこの会議で、「新南向政策」の推進にあたり、政府各省庁が今後の取り組みを進める上で、以下の重点をしっかり把握するよう希望した。
1、政府と民間の力を統合し、「新南向政策」に協力的な環境を整備する。そこには金融支援、技術指導、情報提供のネットワークもしくはプラットフォームの構築が含まれる。また、産業同業組合や関連企業、団体の力を結集し、中小企業のためのワンストップ窓口サービスを提供する。経済部(日本の経産省に相当)、行政院農業委員会(日本の農水省に相当)、行政院公共工程委員会(日本の省レベルに相当)など政府省庁と中華民国対外貿易発展協会(TAITRA=台湾貿易センター)、産業同業組合や協会、「新南向政策」の対象国における台湾企業の団体、NGOなどを統合し、産業にとっての行き届いたカウンターパートと企業の連絡支援ネットワークを整える。
2、「新南向政策」の対象国との対話メカニズムを強化し、外交と対外的な経済担当部門が協力して行動、対象国との戦略的パートナーシップの対話を展開すると共に、投資の保障や租税の相互免除などの協定締結を積極的に話し合い、企業にとっての投資や経営上のリスクを軽減する。
3、台湾の持つ優位性と互恵原則に基づき、現在の状況を基礎とした五大旗艦計画をまとめる。そこには、産業の必要とする人材の育成、医療衛生面での協力と産業チェーンの発展、イノベーション産業の協力、地域農業の発展、及び「新南向政策」の対象国とのフォーラムと青年の交流のためのプラットフォームが含まれる。
4、公共工事、観光、国境を越えた電子商取引という、「新南向政策」において潜在力に満ちた三大分野の推進計画を立て、基礎固めと配置を強化することで、ビジネスチャンスをつかみ、「新南向政策」の対象国とのリンクを深める。
蔡英文総統は、「新南向政策」は中央政府レベルの政策であるばかりでなく、地方自治体が都市外交などの方式で同政策に加わり、地方の社会と産業の参与を促していくことを積極的に奨励すべきと主張。また、国会と政党も同政策への責任を担うべきで、外交部(日本の外務省に相当)が十分な協力と資源の統合を行うことで、政府と政党が協調して努力し、「新南向政策」の対象国との実質的な関係をいっそう深められるようにと希望した。
Taiwan Today:2017年4月21日
写真提供:中央社
政府は「新南向政策」に国を挙げて取り組むよう求めている。写真は今月15日、林全行政院長(首相=左)が同政策の対象国との人的な交流の重要性を説明しているところ。