蔡総統、台湾アジア交流基金会の設立を宣言
蔡英文総統は11日、民間のシンクタンクである財団法人両岸交流遠景基金会(Prospect Foundation)が主催する国際フォーラム「玉山論壇」に出席した。蔡総統は開会式のあいさつで、「新南向政策」の推進を強化する決意を改めて伝えると共に、アジア地域の発展に目を向けた重要な交流のプラットフォームとして「台湾アジア交流基金会」を設立することを宣言した。「新南向政策」とは、ASEAN諸国、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアを含めた合計18カ国と幅広い関係強化を図るというもの。
「玉山論壇」は11日と12日の両日、台湾北部・台北市内のホテルで開催された。蔡総統は開会式のあいさつで、フィリピンの副大統領経験者であるテオフィスト・ギンゴナ(H.E. Teofisto T. Guingona, Jr.)氏をはじめ、韓国、インドネシア、タイ、日本、米国などから集まった多数の関係者に感謝と歓迎の意を表すると共に、各国の貴賓の参加が「新南向政策」の推進にとって最大の励みになると述べた。
蔡総統はまた、「玉山論壇」という全く新しい、多元的、多国間の地域的対話の枠組みが常態的な会議へと発展すると共に、各国の官民エリートが集まって定期的に対話を行い、この地域をより良い方向へと発展させることを期待すると述べた。
蔡総統はさらに、この目的を達成するために「台湾アジア交流基金会」を設立すると発表。新たに設立されるこの基金会が主体となり、「玉山論壇」の開催準備を進め、関連の取りまとめを行う。この基金会そのものも、非常に重要な交流のプラットフォームとなり、あらゆるリーダー、若者の代表、NGO、シンクタンクなどのために、アジア地域における交流の場を提供する。さらには、より創意工夫にあふれ、一歩進んだ価値観を提唱し、未来へ向けた共通認識とビジョンを作り上げる手助けをする、などと説明を加えた。
蔡総統はさらに、自分は総統就任以来、アジア地域における台湾の役割を新たに見直すことを最優先事項の一つに挙げていると指摘。中華民国政府が掲げる「新南向政策」は、アジア地域を対象とした新たな戦略でもあり、この戦略の枠組みの下で、台湾はこの地域及び世界の国々と協力し、南アジア及び東南アジア地域における台湾の地位とプレゼンスを強化し、拡大させていきたいと述べた。
蔡総統はまた、「新南向政策」は包容性を持った政策であり、その他の地域性の計画を犠牲にするものではなく、むしろその他の地域性の計画との相互補完作用を目指すものだと指摘。「新南向政策」によって対象18カ国との関係を強化し、互恵性のある結びつきを作り、持続可能な経済発展を創出し、この地域に住む住民の生活を改善することを期待していると述べた。
蔡総統はその上で、「新南向政策」は一つの政策であるだけでなく、この地域に存在するあらゆる隣国に対する約束でもあると指摘。「この地域の需要を満たし、より包容性のある、一致団結したソーシャルネットワークを作り上げたい」と期待を寄せた。蔡総統はまた、「隣国に対する約束」について、具体的に下記の5項目を挙げた。
一、この地域が必要とする人材の育成に協力する
経済の急速な発展に伴い、多くの国々で専門技術を持った人材、エンジニア、研究・開発人材などが不足している。台湾はこの地域が必要とする人材を育てるインキュベーターとしての役割を果たす。台湾はすでに、奨学金や就学の機会を多数提供しており、「新南向政策」対象18カ国の学生の台湾留学を促進している。また、こうした留学生が台湾企業で就業体験(インターンシップ)できるカリキュラムやプログラムも増やしており、今後は年間少なくとも5,000名の留学生がこのプログラムを参加できるようにしたいと考えている。
二、「新南向政策」対象18カ国と経験交流により、内需主導型の産業の発展を支援する
石油化学、ICT、医療産業などの分野で台湾の経験を「新南向政策」対象18カ国に提供し、これらの国々に新たな成長の動力を注入する。
三、「新南向政策」対象18カ国のインフラ建設や重大プロジェクトを支援する
台湾はすでに35億米ドルの融資基金と関連の制度を整えている。
四、中小企業やNGOの経験や洞察を「新南向政策」対象18カ国と共有する
特に、各国でいかにして雇用機会を創出し、現地のコミュニティにより多くの貢献ができるかを重視する。
五、志を同じくする国々と手を取り合い、この地域におけるプレゼンスを固め、影響力を強化する
これにより、より平和且つ安定した、豊かな社会を作り出し、この地域及び世界に利益をもたらすことができると信じている。
Taiwan Today:2017年10月12日
写真提供:総統府サイトより
蔡英文総統は11日、財団法人両岸交流遠景基金会が主催する国際フォーラム「玉山論壇」に出席し、「新南向政策」の推進を強化する決意を改めて伝えると共に、アジア地域の発展に目を向けた重要な交流のプラットフォームとして「台湾アジア交流基金会」を設立することを宣言した。