蔡総統、APEC首脳会議に宋楚瑜氏を派遣
蔡英文総統は、11月10日と11日にベトナムで開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に、中華民国(台湾)の代表として宋楚瑜氏を派遣することを発表した。宋楚瑜氏は野党・親民党の主席。蔡総統が宋楚瑜氏をAPEC首脳会議に派遣するのは、昨年に続いて2回目となる。蔡総統と宋楚瑜氏は12日午後、総統府において記者会見を開催した。蔡総統の談話の内容は以下の通り。
「新南向政策」は、アジア地域における台湾の役割を再定義するものであり、過去1年間の取り組みで初歩的な成果を挙げている。「新南向政策」を構成する「五大旗艦計画」に基づき、今後さらに多くの資源を投入することになっている。各方面における台湾の経験を各国と共有し、互恵互利の関係を築き上げたいと考えている。
「新南向政策」の対象国の多くはAPECのエコノミーであり、今回のAPEC首脳会議出席を通して、台湾は各国の代表と積極的に交流を行い、「新南向政策」の目標、主軸、具体的計画などについて各国の理解を取り付け、より多くの協力の機会を得たいと考えている。「新南向政策」に基づく経済戦略の実践と資源の投入により、台湾はAPECにより多くの貢献ができるだろう。(「新南向政策」とは、ASEAN諸国、南アジア、ニュージーランド、オーストラリアを含めた合計18カ国と幅広い関係強化を図るというもの)
中華民国(台湾)はまた、APECの枠組みの下、中国大陸と善意ある相互関係と協力関係を築くことを望んでいる。また、APECの趣旨と目標を達成するため、中国大陸と共に手を取り合って積極的に貢献していきたいと考えている。
こうした立場を踏まえ、今年のAPEC代表団に以下3項目の任務を託す。
(一)具体的なアピールと行動をもって、今回のAPEC首脳会議が掲げる共通目標に呼応する
今年のAPECのテーマは「新たなダイナミズムの創出と共通の未来の促進(Creating New Dynamism, Fostering a Shared Future)」である。我々は積極的にこの訴求に応え、この地域の自由貿易やサステナビリティを、台湾が支援し、取り組んでいることをアピールすると共に、我々にはさらに積極的に貢献する意欲があることを強調して欲しい。例えば産業人材の育成、フードセキュリティー(食の安全保障)能力の構築、デジタル時代における持続的成長と雇用などで、台湾はAPECの他のエコノミーと共に努力したいと考えている。
(二)「新南向政策」を通して、台湾のAPECに対する貢献と、アジア太平洋地域の発展に対する責任をより際立たせる
我々は今年、APEC首脳会議・閣僚会議と、中華民国政府が掲げる「新南向政策」の戦略目標と各方面での努力をリンクさせたいと考えている。
(三)APEC代表団のチームワークを存分に発揮する
今回のAPEC代表団は産官学のエネルギーを結集したメンバーとなる。宋楚瑜氏が代表を務めるほか、鄧振中政務委員(無任所大臣に相当)が首席顧問とスポークスマンを兼務する。また、総統府の何美玥国策顧問、国家発展委員会の陳美伶主任委員(大臣に相当)、経済部(日本の経済産業省に相当)の沈栄津部長(大臣)、国家安全会議の林良蓉諮詢委員、蕭美琴立法委員(国会議員)のほか、学術界、財界、報道機関などから多くの専門家が参加する。それぞれが各領域においてその専門性を発揮し、宋楚瑜代表と共に、各国と積極的に交流するという責務を担い、台湾のAPEC参与のエネルギーを最大限に高め、各国と末永く続く、緊密な関係を築くことに努めるよう願っている。
Taiwan Today:2017年10月13日
写真提供:中央社
蔡英文総統(左)は、11月10日と11日にベトナムで開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に、中華民国(台湾)の代表として昨年に引き続き宋楚瑜氏(右)を派遣することを発表した。宋楚瑜氏は野党・親民党の主席。