蕭副総統、米国のポッドキャスト『ウォー・ルーム』のインタビューで中国の「心理戦」について詳しく説明
蕭美琴副総統はこのほど、米国のポッドキャスト番組『ウォー・ルーム』(War Room)の司会者の一人、ナタリー・ウィンターズ(Natalie Winters)さんの単独インタビューを受けた。同番組は主にオンライン動画プラットフォーム「Rumble」や米国のメディアネットワーク「Real America’s Voice」などを通じて配信されている。インタビューでは地政学、両岸関係、国防自主、台米関係、対米投資などの議題が取り上げられた。内容は台湾時間12月1日に放送された。
冒頭では司会者から、台湾が世界の舞台で示す実力と決意は国際社会から注目されており、中国共産党の侵略に対抗するため、台湾の人々が示す強靭性と勇気を目の当たりにする機会が得られたことに感謝するとの言葉が述べられた。
これに対して蕭副総統は、米国国歌の一節を引用して、米国の人々が「自由の地 勇者の故郷」という精神で自らの文化を捉えているように、米国と全く異なる歴史を持ちながらも、多くの台湾の人々もまた自分たちが住む島のことを「自由の島、勇者の故郷」とみなしていると述べた。そして、「現在の台湾社会が持つ自由や、人々が享受している繁栄は、多くの人々が奮闘の末に勝ち取った成果であり、台湾社会の勤勉さ、特に市民社会とオープンガバメントの力が今日の台湾を築き上げたのだ」として、台湾の強靭性について説明した。
また、中国の台湾に対するハイブリッド戦、サイバー攻撃、情報戦、心理戦、及び現在の情勢に対する見解について問われた蕭副総統は、「これは非常に厳しい状況だ」と指摘。実際、中国は急速に軍事力を拡大しており、その対象は台湾だけでなく、日本、フィリピン、南シナ海、さらにはアフリカのジブチや世界各地にまで及んでいると警告した。また、ハイブリッド戦にはとりわけ注意を払う必要があるとして、中国は孫子の『兵法』や中国哲学における「戦わずして勝つ」といった概念に基づき、心理戦、認知戦、偽情報、サイバー攻撃など、さまざまなハイブリッド戦術を駆使して台湾の政治体制への浸透を図り、社会を脅かしていると説明。社会に恐怖を広めることで人々を屈服させようとしているが、こうした行為はすでに現実に起きており、現在も進行し続けていると警戒を示した。
蕭副総統はまた、台湾社会が世界でも最も多くサイバー攻撃を受けている地域の一つであるとして、その事例をいくつか挙げた。また、台湾では医療システム、病院、重要インフラ、政府機関が繰り返し攻撃を受けているが、これに加えて心理戦の脅威も存在していると指摘した。
蕭副総統はその心理戦について、「中国共産党の目標は常に明確だ」として、以下の3つに重点が置かれていると説明した。(1)台湾の民主制度や選挙で選ばれた政府を貶めることで、開放的・自由・民主的な制度よりも「共産制度の方が優れている」と主張する。台湾の政治体制に対する不信感を社会に広めるのが目的。(2)中国が考える正しい世界秩序にとって脅威となる個人を攻撃する。具体的には蕭副総統自身や頼清徳総統に対する個人攻撃の手を緩めないと同時に、社会全体の防衛力や自衛の強化を支持する立法委員(国会議員)など一部の個人を指名手配リストに加える。台湾社会の声を封じ、中国の政治的立場に反対する意見を抑圧するのが目的。(3)台湾と米国、あるいは台湾とその他の国々との関係を分断する。米国は信頼できない、台湾には友人がいない、台湾は孤立しているといったプロパガンダを社会に植え付けるのが目的。
蕭副総統は、これは非常に典型的な「いじめ」の手法であり、学校でのいじめに例えれば多くの人が理解できるだろうと説明。つまり、友達を作らせない、誰も助けてくれない、仲間外れにされ孤独になり、他の子どもたちの活動に参加できない――。それと同じように台湾を周縁化し、台湾を国際社会で孤立させようとしているのだと述べた。「(台湾の政府高官の)海外訪問を妨害し、台湾の国際機関への参加を阻止する。そして、台湾が世界の公衆衛生に貢献することすら妨げている。台湾は新型コロナウイルスの存在とそれがパンデミックを引き起こす可能性について、初期の段階でWHOに警告しようとした国の一つであるにもかかわらずだ。こうした妨害や、台湾とそのパートナーとの関係を断とうとする行為が目的とするところは、台湾を屈服させることにある。これらはすべて現在進行形だが、台湾は当然抵抗し続ける」と強調した。
蕭副総統はその手法として、メディアリテラシーに関する教育を積極的に強化し、事実と偽情報を見分ける力を育成すると同時に、台湾の政治制度、軍隊、政府、それに国民間の信頼を高め、米国とのパートナーシップを強化して中国が企む分断や孤立化を防ぐ取り組みを進めていると説明。まだ多くの課題はあるものの、台湾の決意と国際社会の支援があれば、良い進展が得られると確信していると述べた。
Taiwan Today:2025年12月3日
写真提供:総統府
蕭美琴副総統はこのほど、米国のポッドキャスト番組『ウォー・ルーム』(War Room)の司会者の一人、ナタリー・ウィンターズ(Natalie Winters)さんの単独インタビューを受けた。内容は台湾時間12月1日に放送された。
