蔡総統、北京当局がオープンな態度で天安門事件に向き合うよう呼びかけ

　6月4日で中国大陸の天安門事件から28年となった。蔡英文総統は4日午前9時に声明を発表し、北京当局がオープンな態度で同事件に向き合うよう呼びかけた。蔡総統は、「六四（天安門事件のこと）」が敏感な言葉であってはならず、北京当局は改めてそれに新たな意義を与えることができると主張、台湾は中国大陸と、民主的な変革の経験を分かち合う用意があると述べた。

　蔡総統は、台湾海峡両岸間で最も距離があるのは民主と自由だと指摘、政治や社会など公共の問題に対する発言を行う著名な知識分子である、中国大陸の北京大学の賀衛方教授は昨年、景美人権文化パーク（台湾北部・新北市）を訪れた際、「あなた方にとっては歴史上のことで、私たちにとっては現実のことが毎日起きている」と嘆いたと説明した。

　蔡総統は、6月4日には多くの場所で人々が天安門事件を記念することで民主を訴えており、香港のみならず中国大陸の各地にも天安門事件に対して好奇心を持ち、民主への期待に満ちている人々がいると強調、「前方に民主がある時、どんな国でも後戻りはできない」と述べた。

　蔡総統は北京当局に対し、オープンな態度で天安門事件に向き合うべきだとした上で、「『六四』は敏感な言葉であってはならない。一歩踏み出せるなら、北京当局は改めて『六四』に新たな意義を与えられるだろう」とし、その点で台湾は民主的変革の経験を中国大陸側と分かち合い、協力する用意があると説明した。蔡総統は、台湾の経験によって中国大陸は民主改革の「陣痛期」を短縮できるとし、「民主への道のりでは先にゴールに着くものもいれば遅れて到着するものもいる。だが、いつか全員がゴールするだろう」と述べた。

　賀衛方教授は先ごろSNSへの投稿をやめると宣言した。理由は、自身のアカウントへのアクセスが止められたことに困惑し、失望したこと。しかし賀衛方教授は、「それでも夜は明ける。我々は夜明けを待とう」と話した。これに対し、蔡総統は、待っているのは賀教授だけでなく、台湾をはじめとする全世界が中国大陸の夜明けを待っているのだと強調、中国大陸が台頭していることは事実だが、その過程に民主が欠けているとしたらそれは遺憾なことで、「民主的な大国こそ、真に国際社会から尊敬されるのだ」と訴えた。そして、「現実が歴史となるのであり、歴史は参考にできる。北京当局が『六四』を改めて詳しく見つめるようになれば、世界は中国大陸を見直すだろう」と述べた。

Taiwan Today：２０１７年６月５日

写真提供：中央社
　中国大陸の天安門事件から4日で28年となったことを受け、蔡英文総統はこの日午前に声明を発表し、北京当局がオープンな態度で同事件に向き合うよう呼びかけた。写真は4日早朝の天安門広場。10メートルごとに「武装警察部隊」が並び、「民主化を求める声」を警戒した。