両岸双方は内部的共通認識探り、実務的対話を=陸委会主任委員
中華民国政府で対中国大陸政策を担う大陸委員会(陸委会、日本の省レベル)の陳明通主任委員(大臣)は現在、米国を訪問中。18日(米東部時間)には米国のシンクタンク、ヘリテージ財団と台湾民主基金会がワシントンD.C.で共同開催した「台湾海峡両岸関係のチャンスと挑戦」シンポジウムに参加した。
陳主任委員はあいさつの中で、まず歴史的な角度から1949年以降の両岸関係を振り返った。それによると、1949年に国民政府が中国大陸から台湾に移り、両岸の分割統治が始まった。その後70年近く、両岸は敵対から関係改善へと向かったかと思えば、再び不安な状態への揺り戻しが起こっている。両岸は長年にわたり、武力や平和、あるいはそれらを取り混ぜた方式で両岸の最終的な関係を処理しようとしたが、依然として双方ともに満足できる解決方法は見つかっていない。
陳主任委員は、まやかしの平和を得るために中華民国が主権を譲り渡すことはなく、ましてや民主的な台湾の人々2,300万人がその運命を対岸の非民主的な体制に委ねるわけがないと強調。陳主任委員は、蔡英文総統は就任以来、実務的な態度で両岸関係に向き合う姿勢を堅持し、中華民国憲法と両岸人民関係条例(台湾地区と大陸地区の人民関係条例)、並びにその他関連の法律に則って両岸業務にあたっているほか、1992年に行われた両岸会談の歴史的事実と、「求同存異」(合意できる点を求め、立場の異なる部分は先送りする)という共通の考え方を尊重して両岸関係の平和的な発展を推進しており、こうした立場は固く、一貫したものだと主張した。
同時に陳主任委員は、中国大陸では民主や人権への尊重が足らず、科学技術を用いて人々を監視する社会の仕組みを築いていると批判、中国大陸モデルは経済成長をもたらしたが、民意の尊重や問責の制度が整えられておらず、社会の安定は人々の自由を犠牲にすることで保たれているのだと指摘した。そして陳主任委員は、中国大陸によるシャープパワーを用いたイデオロギー輸出は各国政府の内部政策に影響を与えている一方、影響力を広げ、世界の秩序を変更しようとするその企てに対して多くの国々は警戒を高めていると説明した。
陳主任委員は、政治的前提を設けずに、両岸の正常な交流再開に向けた話し合いに応じるよう求める呼びかけを北京当局が拒否していることを批判すると共に、北京当局は非理性的な行動で国際社会における台湾の生存空間を圧迫し、両岸の敵意がますます深まる負のスパイラルから抜け出せない状況を生み出していると非難した。
その上で陳主任委員は、両岸双方には関係改善の決意が必要だと指摘、台湾はよりオープンな態度とより柔軟な政策で将来の両岸交流を考える用意があり、両岸はそれぞれが内部的な共通認識と意見をまとめ上げ、秩序ある交流の法則を探っていくべきだと主張した。
陳主任委員は北京当局が台湾を傷つける言動を止めるよう要求すると共に、政治的な前提、形式や場所の前提を設けずに台湾と実務的な対話と意思の疎通を行い、可能な限りのリスク管理を実現するよう呼びかけた。
Taiwan Today:2018年7月19日
写真提供:中央社
大陸委員会の陳明通主任委員(写真)は18日(米東部時間)、米国のヘリテージ財団と台湾民主基金会がワシントンD.C.で開いた「台湾海峡両岸関係のチャンスと挑戦」シンポジウムに参加した。