中華民国•台湾110年国慶節 ご挨拶
来る10月10日は中華民国•台湾110年の建国記念日です。コロナ禍がまだ完全に収束していない中、ご来賓の健康とウイルスの蔓延防止といった事情を考慮した結果、例年開催していた祝賀会は苦渋の決断でしたがやむを得ず中止させていただく運びとなりました。祝賀会は中止するものの、台湾を支持し、関心を持っている大勢の方々と共にこの喜びを分かち合うべく、ビデオ形式で台湾の内政、経済、中国との関係、そして台湾と日本との交流について、皆様にご報告させていただきます。
まず、台湾国内の情勢ですが、今年に入って世界中で新型コロナウイルスのデルタ変異株が感染を拡大させている中、台湾でも5月中旬に感染が爆発的に広がりました。当時1日に最大700人以上の新規感染者数を出すという未曽有の危機に陥り、台湾の防疫対策が試される事態となりました。幸いにも政府が執った厳しい防疫政策措置に応じる台湾国民の自律的な行動により、8月には台湾での一日の新規感染者数は一桁にまで減少し、人々の生活も次第に平常を取り戻しています。
新型コロナウイルスのワクチンについて、台湾は国際調達と諸外国からの寄贈、自主開発の三方面から対策を進めています。そのうち、特に日本から390万回分、米国から250万回分など、友好国からのワクチン寄贈のおかげで、台湾は最も困難な時期を乗り切れました。この出来事により有事の際にお互いが手を伸ばし助け合うことこそが、真の友人であることを台湾国民は肌で感じました。自主開発について、台湾は早い段階から政府支援のもとで国内の医薬メーカーが国産ワクチンの開発に着手しました。台湾国内で開発・製造された「高端」社製ワクチンは、現在すでに運用が開始されており、今後「高端」ワクチンは台湾の主力ワクチンとなるでしょう。
次に経済の面において、台湾は中国市場に対する過度の依存から脱却することと高い付加価値を持つ産業構造を構築するために、デジタル、国防、情報セキュリティー、AI医療、安定的サプライチェーン、クリーンエネルギーという「六大核心戦略産業」を国家レベル政策として重点的に推進しています。また、米中貿易戦争や香港「国家安全法」の可決などの影響で、中国に進出している台湾企業と外資系企業の多くが台湾に拠点を移しました。その企業の投資により、台湾の経済成長率は現在も堅調に伸びています。
具体的数字から見ると、今年上半期台湾の経済成長率は8.34%に達しています。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が発表した「世界競争力年鑑2021」によりますと、台湾が世界8位にランクインしました。国際通貨基金(IMF)の最新のデータでは、台湾は世界で21位の経済体、15位の輸出国と18位の輸入国でした。国際貿易総額でも、台湾は世界で16位にランクインしました。
そして中国とのいわゆる両岸関係については、蔡総統が再選した後、「平和、平等、民主、対話」の原則で中国に交流再開を呼び掛けました。しかし、中国は依然として悪意的に台湾の「世界保健機関(WHO)」や「国際民間航空機関(ICAO)」などの国際組織への参与を阻止したり、軍事威嚇を行い台湾海峡の情勢を一方的に変えようとしています。さらに、中国は台湾の経済に打撃を与えるために、パイナップルに続いてシャカトウとレンブという台湾産の果物に対して理由なく一方的に輸入禁止措置を取りました。これは明らかに世界貿易機構(WTO)の自由貿易原則に違反するものです。
中国の一連的な敵対行為に対して、台湾は毅然とした態度で対応に臨んでいます。決して屈したことありません。逆に、中国のますます強まる軍事的脅威に対して、台湾は自主防衛力の強化を決心しました。中国の覇権主義に対抗するため、これから台湾も世界中の民主国家と共に、自由経済、法治社会、民主制度という普遍的価値観と生活方式に誇りを持って守っていきます。
新型コロナウイルスや、その変異株が世界中で感染拡大している中、各国が国境封鎖を余儀なくされています。そのため、台湾と日本、そして台湾と沖縄もすでに一年半以上正常的な交流を中断しています。台湾は日本の一番近い隣国、そして、一番友好的な隣国でもあります。お互いに国交はないものの、国交のある国よりも遥かに緊密な交流関係を維持しています。台湾国民はずっと日本、そして沖縄と一日も早い交流再開を切望しております。コロナ禍が収束した暁には、必ずや昔以上に盛んな交流が行えると確信しております。
結びに、台湾と沖縄ひいては日本との友好関係の更なる発展と、皆様のますますのご健勝をお祈り致しまして、私の挨拶とさせていただきます。
台北駐日経済文化代表処那覇分処
処長 范 振國
中華民国•台湾110年(2021)10月吉日
台北駐日経済文化代表処那覇分処 処長范 振國より中華民国•台湾110年国慶節ご挨拶 ビデオ)