【 台北駐日經濟文化代表處札幌分處 】
2025年2月第1週TOPICS
【台湾、公立学校で中国企業製の情報通信製品の使用を禁止 ディープシーク警戒-政治-】
(台北中央社)教育部(教育省)は5日、公立学校での中国企業製情報通信製品の調達と使用を禁止すると明らかにした。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は3日、情報セキュリティー上でのリスクが懸念される中国新興企業ディープシークが開発した生成AI(人工知能)の公的機関での使用を全面的に禁止すると発表していた。
教育部によれば、調達・使用を禁止する情報通信製品にはソフトウエアやハードウエア、サービスが含まれる。
教育部はディープシークのAIに対する各界での議論を受け、公立の各大学に対してAI使用に関する規定を改めて通知するとした。:2025年2月6日
【台湾で公費接種のインフルエンザワクチン、残り4万回分に 10万回分を追加購入へ–社会-】
(台北中央社)俳優のバービィー・スー(徐熙媛、大S)さんがインフルエンザに感染し、肺炎を併発して亡くなったのを受け、台湾ではインフルエンザワクチンの接種を受ける人が急増している。衛生福利部(保健省)疾病管制署は6日、公費接種のワクチンが同日時点で残り約4万回分になったとした上で、10万回分の追加購入について行政院(内閣)が同日の院会(閣議)で同意したと発表した。
2024年度の公費接種は当初658万回分が用意され、昨年10月1日に65歳以上の高齢者や妊婦、特定の持病がある人、生後6カ月以上の乳幼児、高校生以下の児童生徒、医療従事者などを対象に始まった。年末の時点で約80万回分が残っていたため、今年1月1日には生後6カ月未満を除く全員に対象が拡大された。
疾病管制署の曽淑慧報道官は6日、中央社の取材に応じ、5日は約4万6千回分が公費で接種されたと説明。追加購入分は早ければ今月20日にも接種機関に届くとし、接種対象は昨年10月時点と同様にするとの方針を示した。
行政院(内閣)の李慧芝報道官によれば、6日の行政院会では卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)が追加購入について言及し、自己負担での接種に関してはワクチンが十分に残っていると説明した。:2025年2月6日
【吉本ばななさん、台湾には「心がある生活がある」=台北国際ブックフェアで訪台–文化-】
(台北中央社)作家の吉本ばななさんが6日、台北市内で開催中の本の見本市「台北国際ブックフェア」(台北国際書展)で、小説「吹上奇譚」の台湾での刊行を記念したトークイベントに出席した。「東京では急にいろいろなことが失われている」とした上で「台湾にはまだ心がある生活があるように思う」と神妙な顔つきで語り、「その気持ちを味わいにまた(台湾に)戻って来る」と再訪を誓った。
代表作「キッチン」にトランスジェンダーの人物が登場するなど、作品中で性の多様性に関心を寄せてきた吉本さん。性の多様性について「子供を育てて確信した。人間はおなかにいる時から性格が決まっていて変わらない」とし、「いちばん大切なのは自分が持って生まれたものが何だったのかを思い出すこと。社会によって歪められた自分の本当の魂の声を取り戻すことが人生」だとの考えを示した。
また、自分の魂の声を取り戻す過程で自分が同性を好きだったり、男性または女性の服装をするのが好きだったりということに気付いたら「勇気を持って進むべき」と鼓舞。続けて、社会はその社会にとって都合が悪い存在を排除しようとするものだとし「せめて私が書くものは排除されるような人を力づけるものでありたい」と語った。:2025年2月7日
【台湾鉄道 昨年約640億円の赤字で運賃値上げへ 約30年ぶり–観光-】
(台北中央社)台湾鉄路(台鉄)は4日、最新の財務情報を公開し、昨年の赤字額が約137億9000万台湾元(約643億5500万円)に達し、過去最高になったことが分かった。5日には取締役会が開かれ、運賃を平均26.8%引き上げる案が可決された。台鉄で運賃値上げが行われるのは、1995年以来、約30年ぶりとなる。
台鉄は昨年12月、同年の赤字額が120億元(約560億円)に達するとの見通しを示していたが、昨年4月に東部海域で起きた地震の影響で営業収入が伸び悩んだことや人件費が上昇したことなどが要因となり、損失が広がった。
運賃は自強号(特急)の場合、台北―中部・台中間では現行の375元(約1700円)から501元(約2300円)に、台北―南部・高雄間では現行の824元(約3800円)から975元(約4500円)に、台北―東部・花蓮間では現行の440元(約2000円)から583元(約2700円)にそれぞれ値上げとなる。
台鉄は運賃の値上げで、年間40億台湾元(約186億円)以上の収入増が見込めるとしている。
陳世凱(ちんせいがい)交通部長(交通相)は、優遇が適用される通勤客や頻繁に利用する人への影響は比較的小さいと説明。交通部(交通省)や行政院(内閣)での審議などを経て、早ければ今年上半期にも値上げを実施する可能性があると語った。:2025年2月7日
【白色テロ時代のバラバラ殺人事件を映画化 刑事と記者のコンビで真相究明に挑む/台湾–芸能スポーツ -】
(台北中央社)白色テロ時代の1960年代に台北で発生したバラバラ殺人事件を題材にした映画「捜査瑠公圳」(Where the River Flows)が5月16日に台湾で公開される。同名漫画下巻の発表と映画の座談会が5日、台北国際ブックフェア(台北国際書展)で開かれ、ライ・チュンユー(頼俊羽)監督らが作品について語った。
同作は戒厳令下の1961年、刑事と記者が台北市内を流れる水路付近で女性の切断遺体を発見し、コンビを組んで真相の究明に挑むという物語を描く。実際に起きた事件を基にした。刑事役をベラント・チュウ(朱軒洋)、記者役をジュリア・ウー(呉卓源)が演じる。
ライ監督は、最も難しかったのは実地調査によって1960年代の雰囲気を再現することだったと明かす。また、刑事と記者のコンビで事件を調査するという設定を採用したことに触れ、「英国にはシャーロック・ホームズ、日本には(名探偵)コナンがある。でも台湾には同様のIP(知的財産)がない。このようなコンビの形で事件全体を浮き彫りにしたかった」と話した。
また、当時の国民党政権下で市民の思想や言論が弾圧された白色テロについて、過去に白色テロを扱った作品のクリエーターはもしかしたら悲観的な立場を取っていたのかもしれないとした上で、今作ではより商業的な言語でこの重い歴史を伝えたかったと言及。このような形の方が、理屈的だと思わず、よりしっかりと吸収でき、そして深く知ろうと思えるのではないかと語った。
ライ監督によると、漫画版は映画より先に制作に着手していたという。映画は取捨選択がなされているため、完全なオリジナルの精神と要素は漫画の中で表現されていると紹介した。
座談会には李遠(りえん)文化部長(文化相)も駆け付けた。映画版の製作には10年近くが費やされたとし、「台湾の若い映画監督が途中で諦めることなく、新たなジャンルの作品を開発していることにずっと感動している」とたたえた。:2025年2月6日