【 台北駐日經濟文化代表處札幌分處 】
2025年3月第2週TOPICS
【台湾、軍事裁判制度を復活へ 頼総統が発表 中国の浸透やスパイ活動の脅威に対応-政治-】
(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は13日、現役軍人の犯罪行為を裁く「軍事裁判法」を全面的に見直し、軍事裁判制度を復活させると発表した。国軍に対する中国の浸透やスパイ活動の脅威に対応するためだと説明した。
頼氏は同日、国家安全ハイレベル会議を開き、関連部会(省庁)の閣僚と中国の統一戦線や浸透への対応を協議した。その後、総統府で談話を発表した。
頼氏は中国はすでに「反浸透法」が定義する「域外敵対勢力」だとし、「政府に選択肢はない。さらに積極的な方法を採用しなければならない」と言及。「しかるべき措置を取り、われわれの民主主義の強靭(きょうじん)性と国家の安全を強化させ、われわれが大切にする自由や民主主義、生活様式を守る時が来た」と訴えた。
台湾では2013年に軍事裁判法が改正され、同法の適用範囲が「戦時」のみに限定された。そのため、平時では軍事裁判制度は運用されていなかった。
頼総統は、軍事裁判制度を復活させ、軍事裁判官を第一線に戻し、捜査機関や司法機関と協力して現役軍人の反乱や利敵行為、機密漏えい、職務怠慢、命令に背く(抗命)などの軍事犯罪の刑事事件を処理すると説明。今後、陸海空軍刑法に抵触する現役軍人の軍事犯罪事件は軍事法院(裁判所)で裁くとした。
また、関連の条例や法律を制定する他、国軍の士気に著しく打撃を与える現役軍人や元軍人の問題ある言動を制止するため、陸海空軍刑法に「敵に忠誠を示す」行為への罰則を加える方針を明らかにした。:2025年3月13日
【台湾でバナナ価格高騰 台風の影響で生産量激減 産地では警察が窃盗警戒–社会-】
(高雄、台北中央社)台湾でバナナの価格が高騰している。昨年、複数の台風が台湾を襲った影響で、生産量が激減していることが背景にある。主要産地の一つである南部・高雄市旗山では、市警察局が民間と協力し、夜間のバナナ園での窃盗を警戒している。
先週1週間(3日~9日)の台北市第一青果卸売市場のバナナの平均価格は1キロ当たり105.4台湾元(約473円)に上った。前年同期の平均価格は40.4元(約181円)だった。旗山区農会(農協)の担当者は、昨年は台風が多かったため、旗山などの産地ではバナナが大きな被害を受けたと話す。現在の生産量は平均で平年の約2割ほどだという。昨年、台湾には3個の台風が上陸した。
高雄市政府警察局旗山分局によれば、7日には同市内門区の農園でバナナの盗難被害が発生した。被害額は約5000元(約2万2400円)だという。
旗山分局はバナナの盗難防止のため、管轄区域内の主要バナナ産地を対象に夜間照明設備や監視カメラの設置を支援し、深夜の巡回を強化した他、警察を支援する民間防衛組織、義勇警察や地元農家などと共同で、バナナを守る「見回り隊」を結成し、警備に当たっている。
旗山区農会の担当者によれば、バナナ栽培の復旧には7~8カ月かかる。農業部(農業省)農糧署の姚志旺副署長は、バナナの価格が比較的安定するのは5~6月ごろになるだろうとの見通しを示している。:2025年3月10日
【台湾・高雄市、果物の対日輸出に注力 ナツメの知名度向上も図る–経済-】
(高雄中央社)南部・高雄市が市産果物の対日輸出に力を入れている。日本ではあまりなじみのないインドナツメの知名度向上にも取り組んでおり、今月下旬には千葉県に店舗を展開するレストラン「かつ波奈」で、食後のデザートとして提供される予定だ。
市政府農業局によると、2024年に海外へ輸出された市産農産品は7124トン、生産額は3億台湾元(約13億3800万円)に達した。主な輸出先は日本だという。
高雄市が日本のレストランチェーンと協力し、果物をPRするのは初めて。かつ波奈では20~23日に開催する台湾高雄市フェアで、定食を注文した食事客を対象にナツメを提供する。ナツメを通じて高雄市の魅力を感じてほしいとしている。
農業局は22年から日本のスーパーなどでナツメやパイナップル、玉荷包ライチなどの市産果物のアピールを実施してきた。羅達生(らたつせい)高雄副市長は、高雄のナツメの栽培面積は全国最大で、品質も高く、シャキシャキとした食感が特徴だと強調。日本のレストランとの協力を通じて、消費者の食生活により近づく形で市場への進出を図るとしている。
農業局では、今後も引き続き日本市場との連携を深め、高雄の良質な農産品の販路拡大を進めるとともに、世界に台湾農業の品質とポテンシャルを示したいと意欲を見せている。:2025年3月11日
【台湾のラム酒、フランスのコンクールで最高賞 製糖会社と大学が共同で製造–文化-】
(パリ中央社)フランス・カンヌで開催された酒の品評会「ビナリ国際ワインコンクール」の今年の結果が6日に発表され、台湾のサトウキビを原料にしたラム酒2点が最高賞の「グランド・ゴールド」を受賞した。いずれも国営企業、台湾糖業(台糖)の研究所と高雄餐旅大学(南部・高雄市)が共同で製造した。同大の陳千浩副教授(准教授)は、地域の農産物や水を原料にその土地の風土に合わせて作る酒は、台湾の優れた農産物と醸造技術によるものだと語った。
コンクールは1994年に始まり今回で31回目。37カ国から2600点を超える酒が出品され、171点にグランドゴールドが授与された。
台糖研究所と同大は2021年に共同研究を開始。台南市にある台糖の畑で育てた、野生種の遺伝子を受け継ぐサトウキビを原料に醸造し、約4年にわたり熟成させた。新鮮なサトウキビの甘みと香りが立ち、繊細で優雅な味わいが特徴だという。
台湾では02年に酒の専売制度が廃止されるまで80年以上、民間の酒造が禁じられていた。陳氏は、教育部が進める「台湾地酒文化再生運動」の支援を受け、農村での醸造計画に取り組んでいる。
中央社の電話取材に応じた陳氏は、受賞までの道のりは非常に困難で孤独だったと吐露。特にサトウキビは微生物や細菌の影響を受けやすく、台湾の温暖な気候に対処する必要があるとし、新鮮で純度が高い原料の使用や低温での発酵、高精度な蒸留などで工夫したと説明した。
台湾の酒は近年、世界の舞台で高い評価を受けることが増えてきている。陳氏は、果物王国としても知られる台湾は、民間の積極的な参加と政府の強力な支援のおかげで、独自の酒を開発することができたと話し、これは台湾の非常に大きな強みだと語った。:2025年3月9日
【映画「風の谷のナウシカ」、台湾で初の劇場上映 限定版ポスターに人気殺到–芸能スポーツ -】
(台北中央社)宮崎駿監督の映画「風の谷のナウシカ」が6日、台湾全土の映画館で公開され、初週週末の興行収入は1700万台湾元(約7600万円)を突破した。同作が台湾の劇場で上映されるのは今回が初めて。初週の特典として配布された台湾限定版ポスターにも注目が集まっている。
スタジオジブリ作品は台湾でも高い人気を誇るが、初期の一部作品は台湾で劇場公開されていなかった。台湾の配給会社は2021年から、台湾未公開作品を含むジブリ作品の劇場上映を行っている。
台湾限定版として制作されたのは「風の谷の~」に登場する「王蟲」(オーム)を描いたポスター。これまで数々の映画ポスターを手掛けてきたグラフィックデザイナーのジョー・ファン(方序中)さんがデザインした。
ポスターは端の部分を不規則に切り取り、古びた印象を表現。また素描の線で古書の雰囲気を出した。王蟲の比率など細部について日本側と何度もやりとりしたという。王蟲の目は光沢のある素材を部分的に使用し、平和を象徴する青のガラスの質感を表した。
ポスターは初週(6~13日)に同作のチケットを2枚購入した人に1枚配布されている。ポスターを手にしようと、インターネット上では各映画館のポスター残数を報告し合うための表を自発的に作成する人まで現れた。ポスターを入れる額を求める人も相次ぎ、ポスターを巡る熱狂に「蟲蟲危機」(オームの危機)や「王蟲の乱」などの名前も付けられるなど、収集ブームが巻き起こっている。:2025年3月12日