陳建仁副総統は2日午前、台湾南部・高雄市で行われた「第24回船員司牧(海の使徒職)世界大会(XXIV World Congress of the Apostleship of the Sea)」の開幕式に出席した。陳副総統はあいさつの中で、高雄は世界最高の港の一つで、各国の漁船にとって人気の高い補給地点でもあることから、今回「船員司牧世界大会」を開催するには大変ふさわしい場所であると述べた。
陳副総統は、今回の大会及びその開催地は海の様々なイメージを連想させると指摘。聖母マリアは海の星の聖母とも呼ばれ、教会の母性愛と慈しみを象徴している。9世紀以来、教会の文献における聖母は北極星に等しい。北極星はまた、航海する人々にとって最良の友。暗闇の中で明確に方向を指し示し、船員たちが洋上生活による試練と困難を克服するのを助ける。「船員司牧」は聖母マリアの慈愛と牧会カウンセリング、実際のサポートを結合したもので、世界各地を漂い続け、教区を絶えず変えざるを得ない人々に奉仕している。陳副総統は、こうした「船員司牧」が航海の世界と世界各地の信徒のために果たしている貢献に対し、蔡英文総統、中華民国政府と国民に代わって心から謝意を表した。
グローバル化による競争の激化は時に、安価な労働や劣悪な労働環境を生み出すことになる。また、船員の多くは発展途上国から集められ、自らの権益を守ることが出来ない。「船員司牧(Apostleship of the Sea)」が発足して以降、船舶と航行方式は大きく変化したものの、奉仕の精神と牧会カウンセリングに身を投じることは、教会に仕える者の中で、そして世界を聖なるものとする使命を果たす上で今なお重要な役割を担っている。
陳副総統は、この神聖な使命は教会だけでなく、世界各国の政府がみな担うべきもので、「民主国家ならばなおさらだ」と主張。その理由を、民主制度の下では人々が代表と指導者を選んで行政を任せるが、行政権には多くの責任が伴うからだと説明、政府は聖母マリアと同じように、人々の慈愛に対する渇望に応え、弱者を守り、恵まれない人や、今まさに助けを必要としている人たちを支援する責任があるのだと強調した。そして、アジアにおける人権保障の「灯台」として中華民国政府はその責任を担い、社会で相対的に不幸な階層の人々を守り、助けを必要とする人たちを随時支援することに全力で取り組んでいると説明した。
陳副総統は、各国の政府は北極星のように、参考となる方向、安定した指導、信頼できる指導方針を打ち出さねばならず、それは将来を見据えた政策をとって各エスニックグループが現在の挑戦と未来の可能性に対応していけるようサポートすることを意味すると説明した。台湾はバチカンと長期的に協力し、これら任務の達成に努めると共に、暗黒の時代に光と希望を与え続けているとする陳副総統は、参会者たちが互いに意見を交わすことに期待、こうした交流を通して参加者たちは、中華民国政府の重要な使命が、堅実な国家運営と、最も助けを必要とする人々を支援することにあると深く知ることになるだろうと述べた。
陳副総統はそして、台湾とバチカンが共有する価値観は長期的な協力関係の基礎だと強調、今回の大会が双方の関係をいっそう緊密にすることに期待した。
今回の大会には、バチカン「人間開発のための部署」の長官であるピーター・コドボ・アピア・タークソン(Card. Peter Turkson)枢機卿、バチカンの駐中華民国大使館のSladan Cosic大使代行などが出席した。大会はピーター・コドボ・アピア・タークソン枢機卿によって執り行われた。同大会が台湾で開かれるのは初めて。
「船員司牧」は5年ごとに異なる国で世界大会を開いている。今年のテーマは、「網に閉じ込められる」(Caught in the net)で、「船員司牧」が天然資源のみならず、人的要素にも関心を寄せていることを示すという。「船員司牧」は1920年に同じ志を持つ人々がイギリスで立ち上げた組織で、ないがしろにされたカトリックの船員を援助した。その後は船員と漁業者への牧会カウンセリングを最優先任務としている。「船員司牧」はまた世界で、そして各国との間で、船員たちの権利を守り、船員たちの正義を確保するための遊説活動も行っている。
Taiwan Today:2017年10月3日
写真提供:中央社
陳建仁副総統(左)が2日、「第24回船員司牧(海の使徒職)世界大会」の開幕式に出席、今回の大会が台湾とバチカンの関係をいっそう緊密にすることに期待した。