馬英九総統がアジア経済の中で台湾の担っていく３つの役割を表明

１月２１日、馬英九総統は台湾の経済誌『天下雑誌』が開催した「２０１４年天下雑誌フォーラム」の開幕式に出席し、中華民国（台湾）は今後、アジア地域において「自由経済の実践者」「経済貿易ネットワークの付加価値の提供者」「アジア繁栄の牽引者」といった３つの重要な役割を担っていく所存であると表明した。

　「自由経済の実践者」としての役割について、馬総統は「政府は現在、積極的に『自由経済モデル区』を推進し、それにより台湾の経済自由化、国際化の先行的な試験区としており、同モデル区を通して以下の目標を達成したい」と述べた。

　この目標とは、第１に、台湾の新しい経済自由化を展開し、法規の規制緩和と制度改革を加速し、人・物・金の自由な流れを促していく。第２に、台湾の市場開放と国際社会とのリンクを拡大し、良好な投資環境を構築していく。第３に、スマート・ロジスティクス、医療の国際化、ハイエンド農業、金融サービス、教育イノベーションなどといった新しい形態モデルの経済活動が、台湾の産業転換を牽引していく。今後、政府はモデル区を起点とし、これを次第に全国に拡大し、台湾を「自由経済アイランド」へと建設していく。また、多元化、イノベーション化、グローバル化の戦略も用いて、台湾の経済構造の転換を加速させ、「自由経済モデル区」の効果を最大限発揮できるようにするというものである。

　「経済貿易ネットワークの付加価値提供者」については、「台湾は太平洋と東アジアをつなぐ列島線の中間に位置し、これまでアジア地域における産業チェーンの中枢となっており、世界のサプライチェーンには不可欠の重要な要となっている。それゆえ、台湾が環太平洋パートナーシップ協定（ＴＰＰ）および東アジア地域包括的経済連携（ＲＣＥＰ）の参加国となった場合、アジア太平洋地域における綿密な経済貿易ネットワークは大いに付加価値を高め、また同時に、アジア地域の経済貿易ネットワークのバランスと完全性にも寄与することになる」と説明した。

　「アジア繁栄の牽引者」については、「ＴＰＰはハイレベルな自由貿易協定であることから、ＴＰＰ参加への準備を通して、十分ではない台湾の経済構造の制度化、規制緩和、国際化などの問題を徐々に解消することができ、台湾の長期的な国際競争力アップにもプラスとなる。また、ＴＰＰとＲＣＥＰの参加国はいずれも台湾の重要な貿易パートナーであり、２０１２年に台湾とＴＰＰ参加１２カ国の貿易額は台湾の貿易総額の３５％を占め、ＲＣＥＰ参加１６カ国では台湾の貿易総額の５７％を占めており、台湾がこの２つの経済パートナーシップ協定への参加の重要性と逼迫性を示すものとなっている」と指摘した。

　最後に、「今年一年は、経済活性化の鍵となる年である。関係各界と政府は共に努力し、台湾をこの地域経済統合の流れの中に入っていけるようにしていく所存である。また、国民も考え方を調整する必要がある。「取る」と「与える」は必然的に同時発生するものであり、両者は一方をやめるわけにはいかず、このようにしてこそ台湾は発展できるのであり、このアジア地域の経済変革の中で、再び原動力となり、新しい境地に邁進していくことができるのである」との考えを示した。

【総統府　２０１４年１月２１日】

　写真提供：中央社