頼清徳総統、スイスから帰国した「世衛行動団」をねぎらう
頼清徳総統は24日、世界保健機関(WHO)第78回年次総会(WHA。以下、WHO総会とする)の開催に合わせてスイス・ジュネーブを訪問していた台湾代表団「世衛行動団」の一行を総統府に迎えてねぎらった。WHO総会は今月19日から27日までスイスのジュネーブで開催されている。台湾は2009年から2016年までの期間、オブザーバーの身分での参加が認められていたが、2016年を最後に9年連続で参加が見送られた。それでも政府は今年も「世衛行動団」と名付けた代表団をジュネーブに派遣。衛生福利部の邱泰源部長(保健相)が団長を務め、台湾のWHO参加の正当性を訴えるため一連の活動を展開した。
頼総統はまず、「世衛行動団」の団長を務めた衛生福利部の邱泰源部長による報告を聴取した。その後、無任所大使として長年台湾の「医療外交」に寄与し、今回も「世衛行動団」に参加してジュネーブ入りした呉運東氏が、近年の「世衛行動団」の取り組みについて説明した。
今回の「世衛行動団」は衛生福利部の邱泰源部長が団長を務め、医療や公衆衛生分野の専門家による団体、若手医療従事者の団体、民間団体、華僑団体などを指揮して活動を行った。一行は立法委員(国会議員)から構成される視察団の監督を受けながら、ジュネーブにおいて台湾の権益を確保するために働き、国際社会の評価を得た。頼総統はこれらを踏まえ、国家を代表して邱泰源部長並びに「世衛行動団」の構成員への謝意を伝えた。特に外交部の無任所大使である呉運東氏は、過去25年間にわたりジュネーブだけでなく、日本、欧州各国などを奔走し、台湾がWHOに加盟する必要性を各国に訴えてきた。頼総統は「呉大使はすでに87歳と高齢ながら、いまもなお台湾のために各地を奔走している。このこと自体が、台湾の医療体制がいかに優れており、、医療サービスの質が高いかを国際社会に伝えるものだ。呉大使が行動すること自体が、台湾の健康のブランドとなっている」と称えた。
頼総統はまた、今年も台湾がWHO総会に招待されなかったことは非常に遺憾であり、加えて国会の決定によって関連の予算も大幅に削減されたものの、それでも「健康に生きる権利」を守るという台湾の決意は変わらないと強調。今回の「世衛行動団」はジュネーブで40回を超える二者間会合、国際フォーラム、国際記者会見などを開催し、さらには初めてジュネーブ大学病院(HUG)および国際病院連盟(IHF。医療関連組織の世界的な団体)との間で協力に関する覚書を締結したことを挙げ、「台湾はこれにより、WHO加盟にかける強い意志を世界に示した。台湾は、台湾の人々の『健康に生きる権利』を守るだけでなく、世界における公衆衛生及び健康分野の人権促進にも積極的に貢献していきたいと考えている」と述べた。
なお、外交部によると、台湾は今年もWHO総会に参加することが叶わなかったものの、外交部、衛生福利部、それに在外公館などの積極的な取り組みの結果、台湾を支持する国際社会の声は2024年を上回るものとなった。
例年と同じく今年も、中華民国(台湾)と外交関係を持つ国のうち、WHO加盟国の身分を持つ11か国がWHO事務局に対して「台湾をオブザーバーの身分でWHO総会に招待すること」を今年のWHO総会の補足議題項目(Supplementary items)に加えるよう提案した。これらの国々はWHO総会及び同総会A委員会でも台湾のために発言した。また、日本、英国、カナダ、豪州、フランス、ドイツ、チェコ、リトアニア、ニュージーランド、エストニア、ルクセンブルク、ラトビア、イスラエル、オランダ、スウェーデンの合計15か国と欧州連合(EU。ポーランドが代表)が相次いで台湾を支持する発言を行った。また、中国及びそれに追随する国々が国連総会第2758号決議(1971年のいわゆる「アルバニア決議」)やWHO総会第25.1号決議の内容を曲解していることについては、日本、セントクリストファー・ネービス連邦、セントビンセント及びグレナディーン諸島、セントルシア、ベリーズなどが厳しく批判し、この2つの決議は台湾と無関係であり、これをWHO及び国連システム、及びその他の多国間会合から台湾を排除する理由にすべきではないと訴えた。
また、外交部は今年、WHO総会が開催されるジュネーブで「スマート医療応用説明会」を開催した。台湾の宏碁智医(Acer Medical)と広達電脳(Quanta Computer)の2社による発表は高い関心を集め、スマート医療の研究・開発および応用で台湾が持つ高度な専門能力を見事に示し、新たなビジネスチャンスの創出にもつながった。さらには、2年前の第76回WHO総会で「世界の先住民族の健康を強化するための画期的な決議」が採択されたことを踏まえ、外交部は屏東を拠点に活動するパイワン族の児童合唱団「希望児童合唱団(PUZANGALAN)」をジュネーブに派遣し、現地での公演を行った。台湾が持つソフトパワーを通じて国際的な存在感を高めただけでなく、政府が先住民族の健康と権益を重視し、支援している姿勢を示すことになり、海外の人々からも高い評価を受けた。
外交部の衛生福利部がジュネーブに派遣した「世衛行動団」の取り組みを監視・監督するため、立法院(国会)は王正旭立法委員(民進党)、王育敏立法委員(国民党)、劉書彬立法委員(台湾民衆党)からなる視察団を組織。国際記者会見を含め、「世衛行動団」がジュネーブで行うさまざまな活動に参加し、与野党が一丸となってWHO参加を目指しているという台湾の姿勢を国際社会にアピールした。
Taiwan Today:2025年5月26日
写真提供:総統府
頼清徳総統は24日、世界保健機関(WHO)第78回年次総会(WHA)の開催に合わせてスイス・ジュネーブを訪れていた台湾代表団「世衛行動団」の一行を総統府に迎えてねぎらった。