パラオのウィップス大統領が台湾訪問終えて帰国、「栄邦計画」の初歩的成果を確認
パラオ共和国のウィップス大統領は今月21日から24日まで台湾を公式訪問し、外交部が推進する「栄邦計画」(国交樹立国との協力を強化し、共に繁栄を目指す国際協力の枠組み)に関連する産業を視察し、その初歩的成果を確認した。
ウィップス大統領夫妻は5月22日、台湾南部・高雄の興達港を訪れ、太陽エネルギーや水素エネルギー、風力エネルギーなどのグリーンエネルギーを燃料とすることで二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代ゼロエミッション船「保利馬1号(ポリマ1号、Porrima P111)」の進水及び命名式に出席した。「ポリマ1号」は今後、パラオの観光地ペリリューでダイビングツアーやエコツアーの客船として投入される。式典には、保利馬股份有限公司(Porrima Inc.)の創業者である施振栄(スタン・シー)氏(パソコン大手「宏碁」(エイサー)の創業者でもある)、外交部の林佳龍部長(外相)、高雄市の陳其邁市長、そして総統府資政の沈栄津氏らが出席した。
外交部の林佳龍部長は、「ポリマ1号」は太陽光、水素エネルギー、風力エネルギー、AI(人工知能)技術など、台湾が持つ最先端技術を融合したものだと指摘。外交部が推進する「栄邦計画」は8つの旗艦プロジェクトからなり、今後パラオ観光を担う「ポリマ1号」は、そのうち「新エネルギー及びカーボンクレジット分野での協力」および「持続可能な観光の支援」の2つのプロジェクトの具体的成果であり、科学技術分野における実力をもって国交樹立国の繁栄を後押ししようとする台湾のビジョンを示すものでもあると述べた。
これに対してウィップス大統領は、「『ポリマ1号』は台湾の技術力を世界に示すものだ。台湾がエネルギー・トランスフォーメーションや気候変動への対応などの分野で、パラオの国家発展を支援してくれていることに感謝する。パラオでは2026年に太平洋諸島フォーラム(Pacific Islands Forum, PIF)を開催することになっている。この『ポリマ1号』がその目玉となることを期待している」と述べた。
その後、一行は林部長とともに沙崙緑能科技示範場域(沙崙グリーンエネルギー実証エリア)を訪問し、工業技術研究院(ITRI)の呉政忠董事長および佳氫能源公司(Hydrogen Power Corporation)の劉慶玲董事長の案内で、大型の水素製造設備や水素エネルギー貨物コンテナなど低炭素水素関連の技術を参観した。林部長は、外交部は引き続き「新雁行国際連合艦隊」モデルによって「栄邦計画」を推進し、つまり「大が小をけん引し、ソフトとハードを兼ね備え、官民が協力し、内外の循環を促進する」という精神を発揮し、「Taiwan can help, Palau can lead」という姿勢を示していくと述べた。これに対してウィップス大統領は、台湾の水素エネルギー関連の技術発展を高く評価し、「水素エネルギーはパラオのネット・ゼロ達成に不可欠であり、台湾とパラオがこの分野でさらに協力を進め、持続可能な未来へと一緒に邁進していけるよう期待している」と述べた。
訪問団はほかに、私立明道中学、霧峰生態ゴルフ場、創奕能源股份有限公司(TRON ENERGY TECHNOLOGY CORPORATION)、天主教輔仁大学敷設医院などを訪問した。一行は24日までにすべての公式日程を終え、帰途に就いた。外交部の陳立国常務次長(事務次官)が中華民国政府を代表して空港で一行を見送った。
中華民国(台湾)とパラオ共和国は今年で国交樹立26年を迎える。両国の関係は極めて良好で、各方面で相互信頼と協力を深めている。外交部は、「今後も既存の関係を基盤として『栄邦計画』を推進し、両国の友好関係をさらに強化しつつ、パラオとともにインド太平洋地域の平和、安定、繁栄にも寄与したい」とコメントしている。
Taiwan Today:2025年5月26日
写真提供:外交部
パラオ共和国のウィップス大統領(右)は今月21日から24日まで台湾を公式訪問し、外交部が推進する「栄邦計画」に関連する産業を視察し、その初歩的成果を確認した。写真は左から保利馬公司の周顕光執行長(CEO)、外交部の林佳龍部長(外相)、保利馬公司を創業した施振栄(スタン・シー)氏。後ろに見えるのが二酸化炭素(CO2)を排出しない次世代ゼロエミッション船「保利馬1号」。