台湾週報2165号(2004.11.4)
海峡の安定維持に特別予算必要
論議には戦略および効率の観点が必要
現在なお一般会計とは別枠の兵器購入特別予算案の審議が立法院で進められ、紛糾している。このため国防部は立法院での説明のほか、マスコミを通じて台湾海峡の安全維持に対する専門的見地から、国民に特別予算への理解を呼びかけている。特に潜水艦の効能については、アジア太平洋地域全体の安全維持に対する効用を詳しく説明し、コストと効率の面から費用の問題を見つめるべきだと説明した。
●潜水艦八隻は最低限必要量
ディーゼル潜水艦八隻、P3C対潜哨戒機十二機、パトリオット3型ミサイル八組を六千百八億元(約一兆八千億円)を十五年間分割で米国から購入する兵器購入特別予算案が目下立法院で審議されている。このうち潜水艦について海軍総部計画署技術発展課長の刁中傑・大佐は十月十七日、国内ラジオ局のインタビューを受け「潜水艦八隻というのは、艦の作戦周期ならびに保守の効率性を考慮し、わが海軍が算出した潜水艦作戦における必要な数量である。海軍は国民の血税を一元たりとも無駄に遣うものではない」と強調した。さらに潜水艦の戦略的重要性および導入の切迫性を説明し、海軍防衛戦力の基本的需要を満たし、海軍が国家の安全保障に必要な活動ができるようにするため、特別予算案への理解を国民に呼びかけた。
この中で刁大佐は「潜水艦はその任務の必要性から、一度出航すると長期間寄港しない。この周期と保守点検の必要を考えれば、海軍が台湾周辺水域の安全を保障するには少なくとも十隻の潜水艦が必要だ。現有二隻に加え、あと八隻そろえてこそ作戦任務が遂行でき、台湾と海外を結ぶ近海レーンの安全を確保することができるのだ」と語った。また計画については「行政院と立法院が同意し、契約書を交わして米国に潜水艦建造の保証を与えねばならない。この段階で米国は建造に入ることになる。いま予算案が立法院を通過すれば、二〇一三年に第一隻目が引きわたされることになる。この八隻が就役すれば、水面下の偵察、警戒を強化できるだけでなく、総合防衛戦力を高め、引いては戦争防止にもつながるのだ」と、潜水艦八隻購入の必要性を強調した。
《台北『青年日報』10月18日》
●封鎖阻止に潜水艦必要
「中華民国国防政策と戦略研究学会」が十月十七日に開催した第五回「台湾の国防と国際関係シンポジウム」に蔡明憲・国防部副部長が招かれ、潜水艦の必要性について講演した。その中で蔡副部長は「現在行われている兵器購入特別予算案をめぐる論争は、抽象論の争いになっている感がある。兵器の購入には専門的な討議がされなくてはならない。ディーゼル潜水艦を例にとれば、平時においては平和を維持する機能を発揮し、戦時においては勝利をもたらす機会を作り出すものとなる。この機能を討論の中心に据えなければならない。つまり、単に総額が多すぎるからどうのといったことではなく、その兵器の戦略的ならびに作戦上の効果を考え、その必要量とコストに対する価格の効率を論議の対象とすべきなのだ」と指摘した。
さらに「わが国は八隻の潜水艦購入を予定しているが、これに現有の二隻を加えれば、いついかなる時間においても二~三隻を警戒水域に配備しておくことができるようになる。これは中国が台湾侵攻を実施しようとした場合、きわめて大きなコストとリスクを強いるものとなる」と述べた。同時に「わが国が十分な潜水艦を保有することは、台湾海峡の安定に有益となるばかりでなく、地域の安全にも非常に効果的なものとなる。台湾の北部と南部の水域は、中国の潜水艦が太平洋に進出するための喉元となっている。わが国が十分な潜水艦を保有しておれば、これら中国の潜水艦の動向を的確に把握することができ、西太平洋における中国の脅威を測定でき、それによってアジア太平洋諸国の海上輸送の安全維持に貢献することができるのだ」と指摘した。
また蔡副部長は、潜水艦隊出身である李傑・国防部長の言葉を紹介し「潜水艦十隻体制を整えることにより、今後三十年間にわたり台湾海峡の軍事均衡を維持できる」と強調した。最後に米海軍「原子力潜水艦の父」と言われているリコーバー将軍の言葉を引用し「戦いに備えるあらゆる兵器は高くつくものだ。安い武器では勝利の機会もそれだけ少なくなる。もし戦いに勝利を望まないなら、兵器に予算を消費する必要もない」と語り、潜水艦が高くつくことと、それの安全保障への貢献の大きさを理解するよう求めた。
《台北『青年日報』10月18日》
●中国の潜水艦は重大な脅威
李傑・国防部長は十月十八日、立法院国防委員会の質疑において、台湾の現有潜水艦が二隻であることを明示し、「中国は十三隻の潜水艦で台湾を完全に封鎖することができる。現在中国軍は八十六隻の潜水艦を保有しており、そのうち四十隻は新型潜水艦である」と明らかにした。同時に「わが国が新たに八隻の潜水艦を保有したなら、それら中国潜水艦の台湾海峡への侵入を阻止することができる。この場合、わが国の防衛線を中国海軍が突破するためには、わが国が八隻の潜水艦に費やす費用よりもさらに多くの金額を投入せざるを得なくなる。また八隻の潜水艦は、米軍の空母艦隊の来援を待つのにも非常に有益となる。わが方は常時台湾海峡周辺に潜水艦を配置し、中国艦船の台湾海峡侵入を阻止し、米海軍の来援のため安全を確保することができる」と、潜水艦の効力を強調した。
さらに六千百八億元の金額について、李部長は「台湾には中国と軍拡競争をする財力はない。だが、潜水艦、P3C、パトリオットの三種類の兵器を台湾が配備したなら、中国は容易に台湾に手を出せなくなる。もし中国の脅威に緊迫性がないなら、これら兵器類購入の費用は特別予算によらず、一般年度予算でゆっくりと装備してもよい。だがそれでは現在の切迫した中国の脅威に対し間に合わないのだ」と語った。
《台北『中国時報』10月19日》
●特別予算は防衛の決意表明
行政院新聞局は十月十八日、陳唐山・外交部長、呉釗燮・行政院大陸委員会主任委員、蔡明憲・国防部副部長に出席を要請し、駐台国際メディアとの座談会を開催した。
この中で陳唐山・外交部長は「台湾海峡の緊張は国際社会の無関心にも原因がある。わが国は国際社会の責任ある一員として、平和を愛し現状が維持されることを望んでいる。わが方から両岸の緊張を高めたり挑発したりはしない。中国の軍事的脅威に直面し、わが国は抑止力を持つと同時に、交渉等の平和的手段によって海峡の平和を維持しようとしている。兵器購入特別予算案が立法院を通過するかどうかは、台米関係にも影響してくる。もし通過しなかったなら、米国を含む友好国は、わが国の防衛への決意に疑念を抱くことになろう」と指摘した。
また、EU加盟国の中で対中武器禁輸措置を解除しようとする動きがあることについては「受け入れられない。中国の人権状況は今なお国際社会から非難されており、さらに絶えずわが国に武力による圧迫を続けている。EU各国がこの現状と中国の軍拡路線に注目するよう要請する」と述べた。
呉釗燮・陸委会主委は「両岸は平和の原則の下に、①話し合いの構造確立、②対等互恵の交流、③政治関係の構造確立、④軍事衝突の防止の四項目について話し合わなければならない。最も重要なのは、陳総統が提議した平和安定のための相互連動構造を構築することだ」と語った。
蔡明憲・国防部副部長は、一部に伝えられた核疑惑について「政府は核および生物兵器について、開発しない、製造しない、取得しない、備蓄しない、使用しないの『五つのノー政策』をとっており、これは将来も変わりない。ただし軍は中国の脅威に対し有効な抑止力を保持するため、適切な反撃能力を持つ必要がある。これは決して『恐怖の均衡』などではない。中国の第一撃に対する反撃力を持ち、軽々に侵略戦争を発動させないようにしなければならないのだ」と強調した。
《台北『青年日報』10月19日》
大陸の「一つの中国」政策に対する反論
行政院大陸委員会(二○○四年十月)
一、「台湾」は「台湾」であり、「中国」は「中国」である
「台湾」の名称は中華民国の代名詞として、早くから国際社会の大多数に認知されている。一方、中華人民共和国は国際社会に対し、みずからを一貫して「中国」と称している。歴史を見ても、また実際においても、中華人民共和国政府はこれまで一度も台湾を統治したことはない。それゆえ、台湾は台湾であり、中国は中国であって、台湾と中国は決して同じ一つの国に属してはいない。
中華人民共和国の国家元首がもし台湾を訪問したければ、まず台湾政府が発行するビザを取得しなければならない。同様に、台湾の陳水扁総統が中国を訪問するには、やはり中華人民共和国政府の許可を得なければならない。台湾と中国はそれぞれ独立した自主管轄権を有しており、両者は隷属的関係にはない。
二、中国政府は台湾人民の基本的権益を侵害している。
中華人民共和国は世界のどの国に対しても「中国は一つしかなく、台湾は中国の一部である」と主張している。これは国際社会に対する欺瞞であるばかりでなく、中国はこれを政治的スローガンに掲げ、自分たちが台湾に対する統治権を所有していると喧伝している。台湾はこのために国際社会と自由な往来ができないばかりか、国際組織の活動にも参加できないでいる。たとえば、二〇〇三年の新型肺炎(SARS)ウィルスが中国から台湾、そして世界に拡散した際も、中国政府は依然としてこれを盾に、世界保健機関や国際社会の台湾に対する支援を全面的に阻止しようとした。
台湾は中国政府による排斥と封殺により、必要な国際組織や活動に参加できないでいる。中国の政治的圧力と現実的利益から、世界各国と主な国際組織は中国の政治的威嚇を甘受しており、その結果、台湾国民の基本的権益は国際政治と利益の犠牲となってしまっている。
三、中国は台湾海峡の緊張と対立を一層強化している。
ここ数年、中国政府は台湾と国際社会に対し、ふたたび威嚇を加えている。それは、もし台湾が中国の政治的主張を拒絶するなら、つまり台湾がみずからを中国(中華人民共和国)の一部であると認めなければ、ただちに台湾独立のレッテルを張り、これによって台湾への武力行使を排除しようとせず、また国際社会が表立ってこれを阻止しようとすれば、すなわち「内政干渉」だと非難する。中国の軍事的脅威や威嚇、その軍事侵略の可能性に対し、台湾は単に自己の防衛能力を全面的に高めると同時に、中国に対し平和的な交渉を通して双方の意見の相違を解決すべきだと主張しているにすぎない。しかしながら、中国政府は依然台湾に対する軍事侵略を喧伝し続け、台湾が提案する平和的な交渉の要請を拒絶し、台湾海峡情勢を緊張させることで、台湾だけでなく国際社会をも威嚇しようとしている。
四、国連の決議は「台湾問題」を解決していない
中国政府は対外的に台湾との関係について説明する際、しばしば国連の二七五八号決議を引用し、中国が台湾に対し統治権を所有していることの根拠として挙げているが、これは一方的な見方でしかない。
実際には一九七一年の国連の第二七五八号決議内容は「中華人民共和国の一切の権利を回復し、同国政府を中国の代表とし、国連の組織において唯一合法的な代表となす。合わせて、蒋介石の代表を国連とその管轄下にある一切の組織において不法に占拠している議席から排斥する」となっている。同決議は北京の国連での議席について解答を与えているが、台湾国民の国連における代表権問題は、それによって解決されてはいない。国連の「加盟国普遍化」の原則に基づき、台湾の国民は国連に対しこの問題を直視するよう要求する権利がある。
五、国際社会は台湾の繁栄を保障する一方で、中国に対しては転換を促すべきである
台湾はシリコンウエハーの受託生産において世界一を誇っており、IC設計は第二位を占め、世界で十五番目の貿易国に位置付けられている。台湾政府と国民が追求する目標は、台湾の永続的な生存と発展である。これを実現するため政府と国民は地域の平和と安定の維持に尽力し、世界各国と力を合わせ、世界の発展と豊かな生活を追求する。それゆえ、台湾政府と国民は中国の政治的な威嚇に対しては厳しく拒絶することによって、はじめてみずから主体性を持つという前提のもとに目標を実現できるのである。われわれは国際社会に対し、台湾国民が中国から受けている政治的、軍事的威嚇とそれによる苦痛を正視し、台湾が国際社会において基本的権利と尊重を受けられるよう支援してくれることを望んでいる。われわれはこうしてはじめて中国に節制がもたらされ、中国が国際社会に対し責任ある成熟した政権へ転換する手助けとなることを信じている。
(完)
両岸の協力関係樹立への四段階
行政院大陸委員会 (二〇〇四年十月十七日)
行政院大陸委員会の呉釗燮主任委員は、最近ニュージーランドの雑誌「インターナショナル・レビュー」(二〇〇四年九・十月号)に両岸関係の展望について論文を発表した。呉主委はこのなかで「平和と発展こそ両岸関係が目指す究極の目標である。台湾は平和の追求のため尽力しており、中国も公の場で両岸の意見の対立を平和的に解決すべきだと宣言すべきだ。中国が台湾に圧迫と威嚇を続けている限り両岸の溝はますます深まるだけであり、それは中国の利益にも合致しない」と指摘した。
この論文は同誌の創刊七十周年記念特集号に掲載された。このことから同誌が呉主委の論文を重視している姿勢が伺える。さらに論文と合わせて陳水扁総統の就任式典や呉淑珍夫人のローマ法王謁見、社会慈善団体・慈済会の被災者への支援状況の写真が多数カラーで紹介された。以下は論文の主旨である。
両岸関係は非常に複雑で、軍事や外交上の対立が経済統合、さらに文化交流を圧迫している。中国は経済発展を模索しているが民主化は滞っており、内部の権力抗争は台湾への態度をより強硬なものへと変化させている。
台湾のここ十年余りの民主の成果は国際社会から注目されており、ひいては中国や香港の民主のモデルともなっている。中国はもっと台湾の民意に注意を払うべきである。世論調査を見ても、台湾国民の七〇~八〇%が現状維持を主張しており、このことが両岸の安定の基礎となっている。中国の台湾に対するさまざまな圧迫は、逆に台湾国民の反感を強めるだけである。
両岸は四つの段階で協力関係を樹立できる。第一段階は現在進行中で、すなわち台湾政府が引き続き和解と開放政策を進め、文化、経済交流の範囲を拡大することである。第二段階とは、両岸が実質的な問題について対話による交渉を行い、相互の信頼関係を樹立することである。たとえば、投資の保護や二重課税問題、法的な仲裁措置、知的財産権の保護、犯罪撲滅に対する協調体制、両岸の三通問題などである。第三段階は両岸が平和と安定の中期的枠組みを確立することであり、これにより両岸のいずれか片方が極端に現状を変更することを防ぐことができる。そうなれば、両岸にとって相応しい政治関係と軍事の相互信頼体制を確立できるはずである。第四段階は、中国の政治に対する見解の相違を解決することである。台湾の国民が同意するなら、いかなる解決方法も排除しない。
呉主委はまた国際社会に対し、中国が台湾の善意ある政策や行動、意思表示をもっと鄭重に受け止め、中国に両岸対話の早期再開を促すよう呼びかけ、「過去四年余りの両岸対話の凍結は相互の対立を深めただけであり、中国の利益に合致しないことも、事実から容易に見てとれるはずだ」と語った。
(完)
走れ新幹線
高速鉄道建設の進捗状況
(二○○四年八月末現在)
▼全体:六四・六八%
▼土木建設:九九・三六%。四十八カ所あるトンネルは、最後の天井をコンクリートで固める工事をすべて完了。橋梁工事も橋脚の設置、橋面の舗装まで完了。
▼駅の建設:四九・〇三%。桃園、新竹、台中、嘉義、台南、高雄の六つの駅で、すでに基礎工事が終了。現在、駅舎のメイン構造部の建設が進行中。
▼軌道工事:六四・二二%。現在道床工事や、レール連結装置の設置作業が進行中。
▼操車場、メンテナンス工場:三〇・二六%。左営と六家、烏日基地の工事の入札はすでに終了、現在建設中。
▼コアシステム(車両や信号、通信など):一七・〇二%。機械の調達・供給、組み立て、アフターサービスの三項目について、前二項目についてはすでに業者が確定。現在業者による設計、製造、組み立て作業が積極的に進行中。台湾高速鉄道公司が認可した設計計画は全体の八四%、うち細部計画は二二%。
【交通部高速鉄路工程局10月15日】
新幹線の広告代理業務に日本企業など意欲示す
高速鉄道公司(以下、高鉄)は、桃園、新竹、台中、嘉義、台南、高雄の六つの高速鉄道(新幹線)駅の建築物外壁や構内、および新幹線車両内の空間を広告用に開放することを計画している。現在広告代理業務についての具体的プランを作成中で、来年十月の開通前に国際入札を行う考えだ。国内はもちろん海外企業も関心を示しており、なかでも日本企業はすでに人員を台湾に派遣して現地の視察を行い、駅の敷地内でホテルやレストラン、ショッピングモールを経営することも可能だとの感触を得、とくに広告業務に強い意欲を示した。高鉄では初期段階での広告権利金を、年間二十億元(約六十億円)と見込んでいる。
《台北『経済日報』10月19日》
ニュース
年々増す中国の軍事的脅威 長期的には上陸部隊来襲も
ロンドンに本部を置く「国際戦略研究所」(IISS)は最新の「ミリタリー・バランス報告」の中で、中国の台湾に対する軍事的脅威が年々増強されていることを明らかにした。それによれば中国の台湾に照準を合わせたミサイルは五百基を越し、年平均七十五基の速度で増強されており、数とともに飛距離と正確さも確実に増している。地上軍に関する報告では、中国軍の上陸部隊はまだ能力、装備ともに脆弱で、短期、中期的には上陸作戦を敢行することはできない。ただし上陸部隊侵攻の脅威がないわけではなく、中国の軍事予算は確実に増加しており、米国も防衛力を強化している。また同報告は宇宙兵器にも言及し、中国はすでに世界第三位の人工衛星配置国になっており、世界はこの点にも留意すべきだと喚起している。さらにロシア以外にインド、フランスとも軍事協力関係を強化しようとしており、この面での注意も必要としている。
《台北『中国時報』10月20日》
緊張高める敵機中間線接近 戦闘機のほか爆撃機も飛来
九月下旬のある日、多数の中国軍航空機が台湾海峡中間線に飛来し、両岸関係が緊張する一幕のあったことを、このほど米消息筋が明らかにした。それによれば中国からの飛来は一日で十数波におよび、延べ三十機が海峡中間線に接近し、その都度台湾軍もスクランブルをかけ、緊張が高まった。飛来した中国機にはスホイ27、スホイ30、殲8、殲10の各戦闘機のほかに数種の爆撃機も加わっていた。この状況は過去八年間見られなかったことである。不測の事態は発生しなかったものの、台湾政府はこうした中国の挑発行為を重視し、ただちに米国に通知するとともに、「台湾は海峡での衝突発生の危機を安易には見ておらず、戦いを避けず、戦いを怖れない」と表明した。また十月中旬にフィリピンを訪問したファーゴ米太平洋軍司令官は「短期的には台湾海峡に危機はない。だが米国はこの地域の安定に高度の関心を持っている」と語った。
《台北『自由時報』10月22日》
高校の歴史で「台湾史」の配分を拡大
二〇〇六年度から中国史と半々に
これまで長い間論議を呼び、実施が先送りされてきた高校の歴史教育の新綱領について、教育部は十月十五日、二〇〇六年度から実施する方針を明らかにした。新綱領には、従来三対七だった台湾史と中国史の割合を半々にすることが盛り込まれており、高校生が台湾本土の歴史について、これまでに比べより総体的に、深い知識を学べるようになる。
杜正勝・教育部長によれば、新綱領は早くて十月中にネット上で公開後、公聴会にかけたうえで、十一月末までには正式に決定し、他科目と同様、〇六年度から全面的に新しい教育課程を実施する予定だ。
高校の歴史教育に関しては、台湾史と中国史の配分をめぐって論議が紛糾し、とくに中国史を世界史に組み込む見直し案について一部の「統一派」から批判が高まったため、新綱領編成を担当する専門委員会が解散するなどの経緯もあったが、今回再編された委員会により、新綱領の内容がほぼ確定した。
●中華民国建国史は「中国史」に
同専門委員会によれば、今後高校の歴史過程では、「台湾史」「中国史」「世界史」を三年間で均等に学習し、高一の上学期で「台湾史」、下学期で「中国史」を主に学ぶ。高二は上下学期通して「世界史」を学習し、高三では上下学期でそれぞれ「中国文化史」と「世界文化史」を主に学習する。物議をかもした中華民国の建国史については、世界史に入れず、明朝中葉以後の中国近代史を「中国史」の教育課程に組み込み、中国古代史から近代までを高一の下学期に一括して学習することとした。
またこれと同じく敏感な問題となっていた「中華民国」が台湾に渡った一九四九年以降の両岸近代史に関しては、「台湾史」と「中国史」の教育課程でそれぞれ学ぶこととした。台湾史のなかでは中華民国の台湾における発展に重点を置き、また中国史のなかでは教科書に「中国政権の発展」という章を設けることとしており、同委員会では「これらは両岸間に確かに発生し存在する事実であり、これからの教科書には、出来る限り事実を忠実に記述する必要がある」と指摘している。
●小中の九年一貫教育とも連動
また、同専門委員会では、小中学校の九年一貫教育においても社会科の教育内容を見直す方針だ。
現行の九年一貫教育暫定綱領では、「台湾史」は中一の「社会学習分野」の学力指標として組み込まれているが、二〇〇五年度から実施される新綱領では、中一社会科の学習範囲の主軸を「台湾」に置き、中二で「中国」と「アジア」について、中三でさらに「世界」について学ぶことが定められている。
さらに教育部ではさきごろ、〇五年度から、中学の基礎学力試験における社会科の出題内容について、台湾に関する問題を五〇%以上とすると発表しており、今回まとめられた高校の歴史教育課程とタイアップさせ、小中から高校まで繋げた台湾本土史教育の枠組みを整えるねらいである。
●公務員試験で「本国史」廃止へ
毎年一月におこなわれる公務員試験に関し、考試院考選部ではすでに試験項目から「本国史」を外すことを提言しており、考試委員の間ではすでに本件について一通りのコンセンサスが得られた。考試院で正式に通過すれば、約四万人の受験が見込まれている二〇〇五年度の公務員試験から、本国史の科目がなくなる。
公務員試験の「本国史」については、二〇〇五年度公務員初等考試(初級試験)の林玉体・典試委員長がさきごろ、「『本国』の定義はまだ明確ではないが、出題範囲は主に台湾、澎湖島、金門、馬祖に関する内容を基準とする」と発表した。しかし、一部の考試委員や野党議員からは「台湾に関する問題だけを出題するのは不公平であり、台湾独立に偏りすぎ」、「試験範囲に中国史を入れないのは鎖国主義であり、台湾の競争力を損なう」などとの批判を呼んでいた。これに対し、与党側は「台湾と中国は別の国家である」と強調し、林委員長を支持する姿勢を示した。
《台北『自由時報』10月16、19日》
台湾の本国史とは何なのか
李筱峰・世新大学教授
もしも米国で、役人が「今後公務員試験の『本国史』では、米国史についてのみ出題し、英国史は出題しない」と公言したら、米国民は笑い飛ばすだろう。米国の本国史とは当然米国史のことであり、英国史ではないからだ。
しかし、これを台湾に当てはめてみると、状況はがらりと変わってくる。考試委員の林玉体教授はさきごろ、「台湾の公務員試験科目の『本国史』では、台湾に関する問題を出題し、中国の問題は出題しない」と発表したが、野党議員からすぐさま激しい攻撃を受けたのである。一部の立法委員に至っては「こうした行為は鎖国的」と批判し、「台湾の競争力を損ない、次世代を井の中の蛙にする」と非難した。
思うに、こうした非難をした人々こそ、台湾史について無知であり、中国史に対する知識も大したことはないのだ。公務員が台湾史についてのみ受験し、中国史を受験しなければ井の中の蛙になるのなら、中国史だけを受験し、台湾史を疎かにした場合はどうなるというのか。
話を本筋に戻そう。そもそも台湾の「本国史」とは、一体何なのか。この問いに答えるためには、まず台湾の「本国」とはどこなのかという問いに答えなければならない。台湾を一主権国家とみなしている人にとっては、台湾の本国史とはすなわち台湾史であるが、台湾を中国の一部と見ている人々からすれば、本国史の出題範囲を台湾に限定するのは容認できないことだろう。こう考えると、問題の根本はやはり国家のアイデンティティーにあることが分かる。
だが、国家アイデンティティーの誕生は、往々にして歴史認識に左右されやすい。台湾において、歴史認識は、これまで長い間採られてきた「台湾をないがしろにする」歴史教育によって作られてきた。
五十年の間、教育は「中国史」を通して台湾人の国家アイデンティティーを構築して来た。こうした教育に洗脳された人々は、台湾が実際には中華人民共和国とは別の独立した政治実体であると気付いた時、これまで学んできた中国史をどう位置づけたらよいのか、戸惑ってしまうのである。立法委員の李慶華氏は「台湾人が中国人でないとすれば、孔子や孫文、媽祖や三国志の偉人たちはすべて外国人となってしまう」などと言っていたが、「現代国家」の観念を持っているなら、こんなことは杞憂だと分かるはずだ。
台湾が一独立国家となることは、近代以降に誕生した「国民国家」(Nation state)の国家形態に属するもので、それ以前の旧王朝時代とはまったく別ものである。歴史上の人物を現代の国民国家と同レベルで語ること自体おかしなことであり、そこには「本国人」「外国人」の区別も存在しない。「国家」の観念は異なる歴史的空間のなかで変化し、人類が現在言うところの国家概念とは、米国の独立建国およびフランス革命後徐々に成熟したもので、数百年前の世界にはこうした観念は存在していなかった。したがって、旧時代の歴史を現代国家の「外国史」かどうか論ずること自体、無意味なのだ。
現代国家としての台湾は、言うまでもなく現在の「本国」の領域を空間の基礎としており、その空間における歴史を遡ることで、台湾の本国史が明らかになる。それは建国の歴史、日本統治時代、鄭成功の時代、オランダ・スペイン侵攻時代、さらに先住民の時代にまで遡る。近代史における五十年の間、台湾は北京政権の外に独立して生存し、さらにそれ以前の三、四百年においてはなお、台湾と中国は異なる歴史の軌跡を歩んできた。むろん、独立国家台湾の公務員ならば、台湾史のみならず世界史の常識が必要であり、そのなかには中国史も含まれるべきだろう。ただし優先されるのはあくまで本国の歴史であり、すなわち台湾の歴史なのである。なぜなら公務員が奉仕する対象は台湾国民であり、中国人民ではないからだ。
「本国史」で中国史を出題しないことに憤慨するのは、胡錦涛であり、温家宝のはずだ。台湾国内の人々がこれを非難するのは、とんだお門違いだと言わざるを得ない。
《台北『自由時報』10月18日》
海峡の平和維持は多数国民の願望 望まれる特別予算案の立法院早期通過
潜水艦、P3C、パトリオット・ミサイルなど三種類の兵器購入特別予算案がなお立法院で審議中だ。十二月の立法委員選挙前の通過を実現するためには、与野党の折衝を待たねばならないが、双方共に基本面についてコンセンサスに達している点は評価に値する。さらに早期通過を果たすには、国民の国防への信念強化が必要だ。
国家の安全保障は国民全体の願いであり、国民は誰しも思想やエスニックの立場にかかわらず、国家が存亡の危機に瀕した場合、そこから逃れることはできない。嵐が来れば全員がその風を受けるように、中国のミサイルは一つ一つその区別をつけるものではない。それは国民全体に押し寄せる災難であり、それを防ぐには国民全員で防備を固めなければならないのである。
国防部の推定によれば、もしわが国が防衛力を高めていなかったなら、二〇〇六年には両岸の軍事力は中国優位に傾き、二〇〇八年にはそのバランスが崩れる。両岸の軍事バランスが崩れれば、中国は低いコストで武力を発動しやすくなり、その可能性も高まる。それだけわが国の受ける脅威は増大し、国民の生命財産も危機に直面することになる。国民は誰しもそうした事態に陥るのを望まないはずだ。国家がそのような事態に陥らないようにするため、政府が万全の用意を整えなければならないのもまた理の当然であろう。
実務面から言えば、わが国が防衛力を高めようとするのは、両岸の軍事均衡を維持するためであり、相手に武力の発動を躊躇させるためのものであり、また軍事均衡は刻々と変化するものである。まして海峡対岸の中国はわが国への武力発動の可能性を公言し、軍事力を着々と強大化させているのである。こうした状況下に、わが国が防衛力を整備し、両岸の軍事バランスを維持するため、必要な経費を投入して適切な兵器を整えるのは、当然しなければならないことなのだ。
国民は誰しも戦争に備えるよりも、できることなら国防支出を社会福祉に回したいと思うはずである。だが現実を見るなら、そうした幻想や単なる理想に身をゆだねることはできない。戦争の発生を防止するため、相応の防衛力を備えなければならないのである。
もとより軍事費の支出は困難をともなうものであるが、中国の脅威に直面しその俎上に乗せられるのを望むものではない。もし望むなら、防衛への努力は必要ではなくなる。古今東西を問わず国防は天から与えられるものではなく、相応の努力をし、相応のコストを払わねばならないものである。そうしてこそ、安全の代価が得られるのである。ディーゼル潜水艦をはじめ、今回の特別予算案は決して小さなものではない。だがそれらは戦争を防ぐとともに、一旦緩急ある時には十分な効力を発揮するものなのだ。まして本案は厳格に検討され、民意の監督を受け、無駄のないものなのだ。国家の安全を保ち、国民の安全を守るため、これに代わるものはなく、必要な安全保障への投資なのである。
世界周知のごとく、中国は経済発展にともない総合国力も上昇し、軍事力も急速に強大化している。もし台湾がそれに見合う防衛力を整えなかったなら、中国の軍事的野心を眼前に国家の安全保障は確保できなくなり、国家と国民は危機に陥るのである。わが国はもとより専守防衛を基本に据えており、今回の予算案もその範囲内である。賛否について各種の意見が出されているが、いずれにせよそれらの討議は国民の防衛意識を喚起するのに有益である。国防部はそうした国民の積極的な反応を歓迎している。それも国防政策の現代化、透明化、法制化への助けとなり、新たな動力源ともなる。
本案について与野党のコンセンサスができているのは、国民多数の期待を反映したものであり、論争によって国民の防衛への関心が高まったことは意義深いことである。立法院がさらに国民の意思を理解し、早急に本案への審議を終え、国民の期待に応えることを望む。
《台北『青年日報』10月19日》
ハイテク産業で国際競争力の維持を
『青年日報』(10月15日)
各国の国際競争力を評価する機関として知られる世界経済フォーラム(WEF)が発表した「二〇〇四―二〇〇五世界競争力報告書」によると、台湾は昨年の第五位から第四位に上昇し、アジアでトップの評価を得た。同報告書は、経済の全体環境、公共制度、ハイテク能力の三項目について分析しており、なかでも台湾が今年高く評価されるカギとなったのはハイテク能力で、米国に次いで第二位にランクされた。また、経済の全体環境が昨年の第十八位から九位に上昇したのも要因の一つであり、今後台湾が目指すべき方向は、将来の発展性が高く見込まれるハイテク産業を積極的に推進し、国家の競争力を永続的に維持していくことである。
台湾の国際競争力は過去五十年間ずっと上位を占め、国際社会から「台湾の経済奇跡」と呼ばれてきた。この間、台湾は輸出主導による産業のレベルアップを図り、多くの外貨保有と金融資本を蓄積してきた。初期のハイテク産業は「外資との合弁」を通して優れた国外の技術の移転を進め、国産能力の向上を図ってきた。八〇年以降は産業のレベルアップ政策のもと、世界に誇る「科学園区」を立ち上げ、世界の情報産業基地として新たな局面を切り拓いた。そして今日、電子産業を中心とするハイテク能力を米国に次ぐレベルにまで発展させることに成功したのである。
しかし、現在のグローバル競争の環境において、二十一世紀以降は、これまで台湾経済の推進力となってきた情報産業をもっては世界のトップを維持することは困難である。それには「バイオハイテク」と「ナノテクノロジー」分野で世界の優位に立つ必要がある。
台湾においてその両者の政策を見ると、まだまだ課題が少なくない。とくに教育改革はハイテクのレベルアップに重要な基礎となるものである。最近、学生の学習レベルの低下を嘆く声が聞かれるが、最新の調査結果ではそれほど成績の後退は見られず、またWEFの評価と合わせて見ても悲観するほどではない。いま必要なのは、国内のハイテク人材の育成を見直し人材のレベルアップを図る一方で、「自由貿易港区」の設立などを通して国外の優秀な人材招致に努めることである。
現在のハイテク産業は八〇年代の情報産業のレベルアップと比べて、単価の高いオーダーメイドに重心を置いている。このことは、先人のコピーに少し改良を加えれば先人を追い越せた以前のやり方や、台湾がノートブック・パソコンで採ってきた「薄利多売」方式が通用しなくなることを意味している。
十八世紀、一農業国だった米国が、いまや世界に踊り出るハイテク王国に発展してきた経験は、卓越したハイテクを追求するには「知的財産権の保護」を通して国際社会と歩調を合わせるだけでなく、世界のハイテクの趨勢と国内企業とをしっかり結合させ、先進の技術で国際ブランドを確立することが国際競争力を維持していくカギとなることをわれわれに示している。
われわれは強い国際競争力を持つという驕りに溺れず積極的に産業構造を見直し、経済全体の環境改善を図り、国家の永続的な発展に務めなければならない。
数字で見る台湾
台湾女性の政財界進出はアジア一
行政院主計処がおこなった最新の「女性の政治経済参加に関する国際比較」調査によれば、二〇〇二年における台湾のGEM(ジェンダー・エンパワーメント測定値)は〇・六五七で、シンガポール(二十一位)、日本(三十九位)、韓国(六十九位)などを上回り、世界で二十位、アジアでトップとなった。
GEMは、女性の国会議員、専門人材、管理職などの比率、および女性の一人あたり平均GDP(国内総生産)の比率などについて統計を取り、〇~一の間の数値で表すもので、国連開発計画(UNDP)により定期的に発表されている。〇二年の統計では、台湾は世界七十九カ国のうち、f北欧四カ国、オランダ、オーストラリアなどに続き、前年より一位上がって二十位となった。
《台北『民生報』10月12日》
高齢者人口が十七年後二倍に
行政院経済建設委員会はこのほど、台湾の高齢者数は二〇二一年に現在の二倍になる可能性があると予測した。同委員会によると、一九九三年に総人口の七%だった六十五歳以上の高齢者数は、二〇〇四年には九・四%に増加した。さらに一九四九年の戦後ベビーブーム世代が六十五歳になる二〇一四年以降は、高齢者人口が急速に増加し、二〇一四~二〇二一年の七年間で、二百七十三万人から三百九十二万人に跳ね上がると予測している。
行政院主計処が過去五年にわたり調査した結果によると、高齢者の年間医療費はその他の世代の二・五倍であり、専門家は「健康保険制度や介護制度などの整備を急ぐ必要がある。今後三~五年がカギとなる時期だ」と指摘している。
《台北『中国時報』10月15日》
台湾「上班族」は世界一働き者
スイスローザンヌ国際管理学院 (IMD)が発表した二〇〇三年の 「世界競争力年報」によれば、台湾 の上班族(サラリーマン)の平均年間勤務時間は二千二百八十二時間で世界一だった。サラリーマンの三五%が「定時以降も職場に残る」と回答し、その理由のトップは「仕事が終わらない」が六一%を占めた。こうしたサラリーマンの仕事熱心さは景気回復と国家競争力に功を奏す半面、残業にあけくれる激務ぶりも伺えた。年齢別では、四十~四十九歳の中壮年層の勤務時間数が週四十五・二一時間と最も長かった。
また、行政院主計処が今年九月に 発表した最新版の人材統計月報でも、 二十代、三十代、四十代の年間平均勤務時間はそれぞれ二千百五十九時間、二千百六百六十六時間、二千百七十時間となり、四十代が最長で、責任と比例して勤務時間も長くなる傾向が見られた。
《台北『工商時報』10月15日》
若者の必需品一位はノートパソコン
台湾の若者にとって、今や必須アイテムの3C製品(携帯電話、パソコン、電化製品)。このうち欲しいものの一位はノートパソコンだという。
九九九九泛亜人力銀行が九月二十一日に発表した「一九八〇年代生まれの3C使用状況調査」によれば、若者が欲しいと答えた3C製品の第一位はノートパソコン、以下二位~四位までがMDプレーヤー、デスクトップ型パソコン、MP3プレーヤー(音データ再生機)と続いた。これらを必要とする理由は、七三%が「仕事で必要」、一八%が「日常生活に必要」、八%が「娯楽のため」と答えていた。また、「3C製品の年間購入予算」では、四〇%が「一万元(約三万円)以内」、二六%が「一~二万元(約三~六万円)」、二四%が二~五万元(約六~十五万円)と回答したが、一〇%が「十万元(約三十万円)以上」と答えた。
《台北『中央社』9月22日》
台湾観光年
日本の豪華客船が台中に寄航
世界一周クルーズで知られる日本の豪華客船「飛鳥」が十月十六日、初めて台中港に寄航し、政府関係者をはじめ地元住民から熱烈な歓迎を受けた。
「飛鳥」は全長が約二百メートルあり、総トン数は約二万八千トンで客室数は約三百室、乗客数は約六百人の大型客船だ。世界の五つ星クラスの豪華客船の中で六番目にランクされており、アジアで最大規模を誇る。
この日、およそ五百五十人の客を乗せた「飛鳥」は午前六時、台中港の沖合に姿を見せ、港では港湾局が特別に準備した噴水に迎えられ入港した。このあと、旅客サービスセンター前広場で「飛鳥」の初寄港を祝い、地元の学生による楽隊の演奏や獅子舞が披露された。また乗客の通訳や案内役として、和服に身を包んだ地元の日本語学科の女子大生が親善大使として活躍した。乗客五百五十人は全員日本の民間企業の定年退職者で、午前八時過ぎ、入国手続きを終えたあと次々にバスに乗り込み、鹿港や台中市内、集集、日月潭など四つのコースに分かれて台湾中部を観光した。乗客は夕方五時半に台中港に戻り、その足で日本へ向けて出航した。
「飛鳥」の乗客はこれまで日本人が中心だったが、最近は台湾人も増えており、とくに和式の船室や露天風呂など日本の情緒や日本料理が人気を集めている。
今回の「飛鳥」の寄港は、将来日本の長崎と台中港を結ぶ観光航路の開設に向けた布石となり、関係者の間では今後より多くの海外観光客を台湾中部に誘致できるとして大きな期待を寄せている。
《台中『中国時報』10月17日》
世界最長のビーフンを完成
新竹では秋風が吹き始めると、川岸に干したビーフンをあちこちで見かける。台湾最大のビーフン産地を誇る新竹では、毎年十月に「ビーフン祭り」が開かれる。今年は十月十六、十七の両日開催され、長さが百二十メートルという世界最長のビーフンを完成させた。
実は新竹市は、これまでにもビーフンの世界最長記録を目指して毎年挑戦しており、昨年は九十九メートルにまでこぎつけた。今年は「百メートル突破」を目標に掲げ、会場には新竹市と姉妹関係にある米国プラノ市や日本の岡山市から萩原誠司市長も駆けつけ、地元の市民ら百人余りと一緒になってビーフンの最長記録に挑戦した。
会場では、細長い板の上のビーフンを挟んで両側二列に人が立ち、長さ三十メートルからスタートしたビーフンは人手を介しながら徐々に伸びていく。昨年の記録、九十メートルを過ぎ、いよいよ目標の百メートルを超えた瞬間、参加者から一斉に歓声があがった。ビーフンはその後も順調に伸び、最終的には百二十メートルという世界記録を達成した。
《台北『聯合報』10月17日》
永遠の象「林旺」展示区が完成
二〇〇二年二月末、八十六歳の世界最長寿でこの世を去ったオスのインド象「林旺」を偲ぶ特別展示区が十月十七日、台北市立動物園で一般公開された。
「林旺」は、戦時中ビルマ(当時)で日本軍の運搬役として活躍し、その後中華民国の軍隊とともに大陸に渡り、戦後台湾へ連れてこられ、台北市立動物園で半生を過ごした。戦中、戦後、現代と台湾の歴史と共に生き、幅広い世代に愛された「林旺」は、死後、専門家の手によって等身大の精巧な剥製にされ、永遠の象として再び人びとの前に姿を現した。
特別展示区は台北市立動物園教育センターの地下一階にあり、「林旺」は中央に設けられた円形の台に飾られている。足元には好物だった牧草が敷き詰められ、周囲にはガラスや柵などは一切なく、参観者は生前と同じように、間近で「林旺」に親しむことができるようになっている。展示区内には、林旺の生涯を振り返る資料が数多く展示されており、象の生態はもちろん、半世紀を共にしたパートナーのメスの象・馬蘭との生活や、剥製作業での苦労話などが紹介されている。
特別展示区一般公開の初日、動物園には親子連れや「林旺」を知る軍の関係者など、合わせて九千人以上が詰め掛け、姿を変えて再び眼前に蘇えった「林旺」の姿を感慨深そうに眺めたり、記念写真を撮る人たちで溢れ返った。参観者の中には、象の手作りの帽子をかぶった子どもの姿や、象をモチーフにした衣服や装飾品を身につけた大人も少なくなく、動物園ではこの日、象に関するものを身につけていたり、「林旺」と同姓同名の人に対し、無料で特別展示区オープンの記念式典に招待するという粋な計らいも見せ、動物園は一日中熱気に包まれていた。
《台北『中国時報』10月17日》
文化ニュース
「ドラゴンフルーツ」秋冬市場に 農委会が収穫時期の調整に成功
新鮮なドラゴンフルーツ(紅龍果)が冬まで味わえるようになった!行政院農業委員会の研究により、果物の栽培技術が新たな進歩を遂げた。
ドラゴンフルーツはもともとベトナムから輸入され、環境や害虫に強く栽培し易いため、早くから台湾の主要農産物の一つとなった。従来種は六~十一月が収穫時期で、毎年秋から冬にかけては、品薄で価格も高く、市場にそれほど出回っていなかったが、同委員会では照明コントロール法によって収穫時期を一~二月まで延長することに成功した。時間をかけて熟した果実は従来より二割ほど大きく、総生産量も五割アップした。赤くて丸いおめでたい外観から、旧正月の供物用としても人気を集めそうだ。
このほか、同委員会では新種の「台中二号晶圓梨」の栽培にも成功した。日本の豊水種と掛け合わせたこの梨は、高海抜地域の梨の特長を持ち、糖度が高く水分も多いが、中・低海抜地域での栽培に適しているという。販売促進が進めば、「高山地域に果樹園を切り開く必要がなくなり、国土蘇生計画にも功を奏する」と期待が高まっている。
《台北『青年日報』10月14日》
学生の呼びかけで無煙レストラン街
全国三千件がノースモーキング
十月一日、台北市の台北医科大学付近に、全国初の「無煙レストラン街」が誕生した。同医大の公共衛生科が地元の商店街に呼びかけて実現したもので、ここへ来れば、喫煙席から漂う副流煙に悩まされずに、快適な食事ができるという。
飲食店の無煙化は、行政院衛生署国民健康局が二〇〇三年からスタートし、現在台湾全国に約三千軒の「無煙レストラン」があるが、同大学の許重義校長は「わが校が呼びかけた無煙レストラン街が密度では台湾一でしょう」と語る。
一般に飲食店では、店内を禁煙、喫煙エリアに分けているケースが多いが、同公共衛生科の研究によれば、禁煙エリアのニコチン濃度は、全面禁煙の店に比べて三倍以上になる。このため学生たちは大学付近の呉興街を地域ぐるみで無煙化しようと考え、飲食店を一軒一軒説得し、「無煙レストラン街」を実現させた。同レストラン街加盟店の全リストはネット上で公開されており、これに賛同する業者の新規登録も呼びかけている。
●嘉義で「無煙店」ロゴコンテスト
一方、嘉義市でも飲食店の無煙化 促進のため、九月十三日、認定ロゴマークのデザインコンテストが開催された。最優秀賞は元智大学情報所の陳禹光さんが受賞した。
《台北『中国時報』10月2日》
日本語学習「哈日族」バージョン
テレビドラマのアテレコに挑戦
「財前教授、君は医学界の天才だ!」日本の人気テレビドラマ「白い巨塔」のワンシーン。テレビ画面を前に、真剣な表情で日本語の台詞をあてているのは、台湾の高校生たちだ。
日本語学習が盛んな台北市私立稲江護理家事職業学校ではさきごろ、「日本語外交先鋒隊研修キャンプ」と題した活動が行われ、北一女、成功、景美女子などから高校生六十人以上が参加した。
日本の高校生とネット画面で直接会話したり、ノリ巻きを作って日本文化に親しんだりと、さまざまな企画があったが、一番人気を博したのは、日本のドラマをテレビで見ながら、台詞をあてる日本語実習だ。生徒たちはそれぞれ声色を工夫し役になりきって、楽しみながら日本語に触れた。
《台北『青年日報』10月20日》
台湾地名ものがたり 10
●台北近郊を散策
「台北」の地名についてはすでに述べたが、今回はその近郊を散策してみたい。
▽鶯歌=この地に巨大な岩があり、形が鳥のように見える。伝説によれば、かつてこれは怪鳥で常に毒気を吐き、濃霧を撒き散らし、土地の農民を苦しめていた。それを鄭成功が退治し、石になったという。このことから清朝時代には地名を「鶯×石荘」といった。それが日本時代に「鶯歌」に改められ、現在に至っている。
▽貢寮=かつてここには平埔族が住み、猪がよく出没していた。平埔族はこれを捕まえるのに落とし穴を作っていた。平埔族の言葉で落とし穴のことを kona と言った。そこに入植した漢人移住民がこれを地名と間違え「槓仔」の漢字をあてた。そこへまた移住民の数が増え、便宜的に宿舎「寮」のようなものを建て、それを「槓仔寮」と呼び、これがこの地の地名となり、やがて「貢寮」と簡略化され現在に至る。
▽淡水=古くから拓けた港で、河の河口に位置する。河口の港を「滬尾港」あるいは「澹水港」と言い、このことから清朝時代には「滬尾」が地名となり、日本時代に「澹水」と発音が似ている「淡水」に改められ現在に至る。
▽板橋=ケタガラン族の蕃社が散在していたところで、漢人移住民が入植して川に木の板の橋を架けた。それが地名となって「枋橋」と呼ばれるようになったが、「枋」と「板」の発音が似ていることから、大正九年(一九二〇)に「板橋」に改名され現在に至る。
▽烏来=台北郊外の有名な観光地だが、ここにはかつてタイヤル族が住み、その蕃社の一つを Urai といい、漢人移住民はそれに「烏来」の漢字をあて、一帯の地名とし、現在に引き継がれている。ちなみに Urai はタイヤル族の言葉で温泉の意味だという。
春 夏 秋 冬
陳水扁総統の国慶節談話に対し、中国は日米とまったく対照的な反応を示した。陳総統が中国の新指導部に対し平和的対話の再開を呼びかけ、また偶発的衝突を防ぐため軍事面での「相互信頼メカニズム」を構築し、台湾への軍事的威嚇を中止するよう呼びかけた。これに対し日米両国は即日「具体化を期待する」との談話を発表した。ところが中国は陳総統を「台独派」と決めつけ、「分裂主義を掲げる下で(対話に)どんな意義があるのだ」などと端から跳ね返す態度を取り、平和への提案を事実上拒否したのだ。
人と人との話し合いも国と国との交渉も、相互に意見の相違があるから行うのだ。それをせず、ただ我を張って話し合いのテーブルに着くことを拒否していたなら、いつまでもいがみ合い、場合によっては喧嘩の用意までしなければならなくなる。これでは問題は解決しない。一層こじらせるばかりだ。この道理は小学生にも分かろう。その道理に、中国は真っ向から背いているのだ。江沢民から胡錦濤へと指導部が変わっても、共産党政権の体質は変わらないということか。
ここで懸念されるのは、共産党政権の本質もさることながら、中国が頑なに平和的な話し合いを拒否する意図である。周知の通り、中国は今600基を越えるミサイルの照準を台湾に合わせており、しかも毎年それを50基から75基のスピードで増やしている。さらに経済成長に相俟って空軍と海軍の現代化を急ぎ、年々作戦能力を高めている。つまり、半世紀も前の帝国主義時代よろしく、武力で我を押し通す算段でいるのではないか。なるほど中国は、ことあるごとに台湾への武力使用の可能性をほのめかしているのだ。
台湾のみならず、それはアジア太平洋地域の安定にとって、引いては世界の平和にとってこれほど危険なことはない。だから日本や米国はいち早く両岸話し合いへの期待感を表明したのだ。つまり台湾海峡両岸問題は、ずっと以前から中国の言うような「国内問題」などではなく歴とした国際問題であり、しかも世界が最も注視しなければならない重大事でもあるのだ。
ちなみに、陳総統は両岸の話し合いについて「92年香港会議」を基礎にすべきと主張したが、それは相違点を据え置き、人や貨物の往来など、実務面で話しやすい内容から協議していこうというものである。まず中国がこれに応じるよう、日米など中国とも深い関わりを持つ有力国が、「期待」だけではなく具体的な説得と支援をするよう期待したい。
(K)
お知らせ
中華民国(台湾)電影会
● 11月上映会
日 時11月13日(土)午後6時半~
作 品 「冬冬的假期」98分
(邦題:冬冬の夏休み)一九八四年
解 説 「珈琲時光」公開記念として侯孝賢監督特集の第二弾。台北に住む小学校を卒業した少年と幼い妹が、田舎の祖父母の家で過ごすある夏の物語が、優しく寡黙な視線で綴られる作品。「ヤンヤン 夏の想い出」の楊徳昌(エドワード・ヤン)が音楽を担当し、父親役で出演している。脚本は朱天文。出演は王啓光、李淑禎ほか。
※英語・中国語字幕(日本語なし)
会 場 大阪市立市民教養ルーム
(阪急梅田駅近く阪急イングス裏)
TEL:06-6371-1833
会 費 五百円(烏龍茶付き)
問合せ亜細亜電影迷倶楽部 前田
(TEL:0798-67-2300)
亜細亜電影迷倶楽部:
e-mailasiafilm@mvc.biglobe.ne.jp
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