台湾週報2179号(2005.2.24)
中国に侵略推進法の断念要求 「反国家分裂法」は平和破壊の侵略法
中国は3月の全人代で「反国家分裂法」を成立させようとしているが、台湾は同法が台湾海峡の平和を破壊する侵略法規であることを指摘し、中国にその断念を要求している。行政院大陸委員会は2月1日、「『反国家分裂法』に対する政府の立場」を発表するとともに、同4日にはテレビ広告の形で中国に平和の重要さを呼びかけた。また民間でも日本中華聯合総会に続き、留日台湾同郷会も2月5日、中国非難の声明を発表した。
「反国家分裂法」に対する 政府の立場
中国の「反国家分裂法」草案は昨年十二月二十九日、第十期第十三回「全人代」常務委員会を通過し、今年三月の「全国人民代表大会」に送付され審議されることになった。現在のところ、中国は「反国家分裂法」草案の具体的条文をまだ公開しておらず、中国当局は各界の反応を観察し、同法の内容を具体化する場合の参考にしようとしている段階にある。ただ中国関係筋の出方とわが方の見方に照らせば、「反国家分裂法」制定の目的は、中華人民共和国憲法を根拠に、「平和統一、一国二制度」の基本方針を指導理念とし、いわゆる「一つの中国」の原則を貫徹するところにある。
考えられる「反国家分裂法」の内容は、「統一」を両岸関係の唯一の選択肢とし、一方的に「反分裂」の定義と範囲を制定し、実質的に台湾に関する独立と国家分裂行為の要件ならびに法的責任と罰則を定めようとするものである。そこには武力発動前後の措置も含まれ、適用範囲は大陸と台湾の人民、企業、団体、公務員とされる。同法は実質的に戦争授権法であり、解放軍、武装警察隊、民兵に非平和的手段によって台湾海峡問題を解決する権利を付与するものである。
中国が「反国家分裂法」を制定すれば、両岸関係および台湾海峡の平和と安定に重大な影響を及ぼすことになる。第一に、中国が「反分裂」をこの法律の名称に冠するということは、対外的に両岸関係の現状を「統一」として「分裂」ではないと宣言するものであり、この主張は「互いに隷属していない」という現状にまったく反するものであり、一方的に台湾海峡の現状を変えようとするのに等しいものである。次に、中国が「反国家分裂法」を制定しようとする意図は、台湾海峡情勢における唯一の主導者になろうとするところにあり、それは国際間の台湾海峡情勢に対する認識を完全に無視するものであり、地域の平和と安定の現状を真っ向から破壊するばかりか、地域の安全と安定に関心を持つ国際社会に対する挑戦となる。特に台湾海峡の現状に対する解釈権を一方的に壟断するのは、世界各国がこの地域にすでに保有している権利に直接損害を及ぼすものとなる。さらに言えば、台湾は多元化された民主社会であり、国民は等しく言論の自由を有しており、「反国家分裂法」は中国の国内法とはいえ、企業関係者、留学生、観光旅行者など多くの台湾国民、場合によっては多国籍企業関係者にまで赤色テロの脅威を与え、両岸の正常な交流活動に大きな影響を及ぼすものとなる。
台湾国民の中国当局に対する嫌悪感は、この「反国家分裂法」制定への動きによってますます高まっている。大陸委員会が昨年十二月二十四日に発表した民意調査によれば、八三%の台湾国民が、中国が「反国家分裂法」を制定することに反対の立場を示している。中国のこうした行為は、両岸間のさらに進んだ交流および双方の対話を再開する基礎を徹底的に破壊するものとなる。
台湾海峡の平和で安定した現状を維持するのは、台湾国民すべての願望であるばかりか、国際社会の一致した期待でもある。今後とも政府は「両岸平和安定相互連動メカニズム」の構築に関する各種の措置を鋭意促進し、両岸関係の現状に合致した話し合いのルールとモデルを確立するよう努力する。その一方において、国際社会に対してわが国の立場を明確に説明し、国際社会が中国の武力拡張ならびに台湾に対する侵略の意図を直視し、早急に各種の方途を通じて影響力を発揮し、中国当局に地域の平和と安定を破壊するような行為を停止させるよう呼びかける。同時に国際社会が、わが国が両岸関係の改善のため努力し配慮していることを理解し、潜在的侵略者に毅然たる態度をとり、中国に地域問題を蹂躙させないようにすることを希望するものである。中国はすみやかに「反国家分裂法」制定の計画を放棄し、両岸関係の緊張の高まりを防ぐべきである。
【行政院大陸委員会 2月1日】
許されない「反国家分裂法」の通過 二・二八記念日に再度「人間の鎖」運動を
台湾では目下、中国が「反国家分裂法」を制定しようとしていることへの怒りの声が高まっている。これについて昨年二月二十八日に「人間の鎖」運動を展開した「手護台湾大聯盟」の執行長(事務局長)であり、本土派市民団体の「北社」社長でもある呉樹民氏は二月六日、マスコミのインタビューを受け、二・二八事件記念日に大きな「人間の鎖」運動を展開すると語った。以下はその一問一答である。
問‥昨年二月二十八日の「手護台湾運動(人間の鎖で台湾を護る運動)」は、台湾正名(台湾の名を正す)と台湾の憲法制定が主たるスローガンであったが、中国が「反国家分裂法」を制定しようとしている今、スローガンになんらかの調整はあるか。
答‥今年は「愛、平和、自由」をスローガンとし、台湾が平和と自由を愛していることを世界に示す予定であったが、この準備過程において中国が「反国家分裂法」を持ち出してきた。もし台湾人が抗議の声を上げなければ、中国は台湾が受け入れられないこの新法を制定してしまうだろう。われわれは行動を起こさねばならないのだ。このため昨年十二月末より準備に入り、現在「併呑に反対し、台湾を護れ」をメインスローガンにする予定だが、「併呑」を「侵略」に変更するかもしれない。中国の全人代は三月初旬からであり、二月二十八日は時期的にも好機であり、「二・二八」には特殊で象徴的な意義がある。
問‥北社が企画し、手護台湾大聯盟が主催するその運動は、各地に拡大しそうか。
答‥二・二八の当日、日本の京都、広島、米国のニューヨーク、フィラデルフィア、さらにカナダ、イギリスでも台湾僑胞が集会を開くことになっている。海外でこのように広がりを見せているのだから、当然国内は全国的で、台北、桃園、苗栗、台中、南投、彰化、雲林、嘉義、高雄、台東、宜蘭、澎湖、花蓮、台南、新竹、屏東の十六県市で同時挙行することが決まっている。メイン会場は台北の二・二八紀念公園で、当日午後八時二十二分には参加者全員が手をつないで一本の鎖となり、台湾の地図を描き出す。この時、李登輝前総統も参加する予定だ。
問‥中国が「反国家分裂法」を制定しようとしている意図をどのように見ているか。
答‥目下、台湾と中国は敵対状況にある。中国が新法を発動しようとしているのは、台湾に対する心理戦である。もし台湾人が覚醒しなければ台湾にとってきわめて不利となる。わが国政府の対応だけでは足りない。民間からも声を結集し、大きく発言しなければならない。台湾内部には防御的な国民投票を実施する動きがあるが、われわれはそのような受身的な行動を望まない。積極的な行動が必要なのだ。中国はいま、台湾でどの程度の声が上がるか観察している。香港で発生した五十万人市民デモは、中国に一定の妥協を強いるものとなった。台湾人は力を示さなければならない。
問‥台湾正名運動の将来的な展望はどうか。
答‥台湾正名には長期的な目標がある。政府はてこずるだろうが、できるところから実施すればよい。われわれは引き続き新任の謝長廷・行政院長を督促し続ける。われわれ本土派は、将来的には台湾各県市の道路名も改めるべきだと認識している。
《台北『自由時報』2月7日》
ニュース
EU武器禁輸解除に米下院が反対 ライス氏が再度警戒呼びかけ
二月三日、米下院は四百十一票対三票の圧倒的多数で、EU(欧州連合)が進めようとしている対中国武器禁輸解除に反対する決議案を通過した。同決議案には「EUの禁輸解除は、台湾ならびにアジアに駐屯する米国軍隊の安全を脅かすものである」とうたわれている。
また、ライス米国務長官は英BBC放送が二月六日に放映したインタビューのなかで、EUの対中国武器禁輸解除に対する米国の懸念を改めて表明し「武器禁輸解除は地域の軍事バランスを損なう可能性がある」と述べ、再び警告を発した。
EUは昨年十二月に人権問題と地域の安全を前提としたうえでの武器禁輸措置解除の意向を示していた。しかし米国はこれに対し「両岸の敏感な対立を煽る」として反対の立場を明確に示した。ライス氏は中国の人権問題が依然劣悪な環境にあると指摘し、EUが米国の意見に耳を傾けるよう呼びかけた。
《台北『中央社』2月3・7日》
旧正月明けから政党間対話 陳総統が故郷で意思表明
陳水扁総統は今年の旧正月元旦にあたる二月九日、故郷の台南県で主催した新年会で、今後の施政方針について「協力、和解、謙遜を対抗と対立に換え、旧正月明けから誠意と善意をもって各政党の首脳陣と対話を進める」と表明した。陳総統は就任以来、毎年旧正月元旦には故郷に戻り市民と交流する慣わしとなっており、今年は柳營郷尖山埤ダムに隣接する江南リゾート村におよそ五十人が招待された。
陳総統は挨拶のなかで、昨年末の立法委員選挙に触れ「与党が過半数を取れなかったため今後の施政に一定の困難が生じる」としながらも「今年は経済成長率五%、失業率四%以下の達成を期待する。与野党間の協調は可能であり、内政が安定すれば、対岸との共存共栄も難しくない」と表明した。その一方で「民主改革、台湾主権の路線は変わらない。協調や和解のために理想を曲げることはあり得ない」と強調した。
《台北『中央社』2月9日》
沖縄の地方産業振興策に学べ 特色生かした生活密着型商品を
昨今、グローバル化の趨勢のなかで、地域の特色を生かした地方産業の振興は、その国が国際競争力を得るうえで大きなカギとなっている。
行政院経済建設委員会(以下、経建会)はこのほど「台湾の地方産業振興には、土地の特質を生かした内需型商品の開発が必要だ。われわれはそれを沖縄県のケースに学ぶことができる」と指摘した。
経建会によれば、日本の地方産業は一九七〇年代以降衰退したが、その後「地方産業総合振興対策」など各種対策が講じられ、なかでも沖縄県の地方産業は参考に値する成功例だという。沖縄ブランドとして有名な焼酎「泡盛」、ゴーヤや紅芋などの自然食品は人気を博しており、二〇一〇年の国内売り上げは約五百十二億円に達する見込みだ。経建会では「地元に根付いた飲食文化と『長寿』イメージを結び付けたプロモーションは効果的で、台湾はこの方法を参考にすべきだ」と指摘した。
《台北『中央社』2月9日》
台湾観光客の訪日ノービザ三月から ビザ免除恒久化の試金石に
二月九日、愛知万博開催期間の六カ月間、台湾の観光客に対しビザを免除する法案が、二月九日、参議院を満場一致で通過した。これにより台湾から来日する観光客に関しては今年三月から、ビザ免除が適用されることが正式に決定した。この日はおりしも台湾の春節(旧正月)元旦であり、日本政府から台湾の観光客へ新年の特別な贈り物となった。
愛知万博は三月二十五日~九月二十五日で、台湾からの観光客はこの六カ月間ノービザを享受できることになる。
台湾から日本への観光客は昨二〇〇四年に百万人の大台を突破しており、純粋な観光客としては訪日数がもっとも多く、日本政府が推進する観光客倍増五カ年計画のなかで主要な役割を占めていると思われる。日本政府は万博閉幕後、状況に応じ台湾観光客へのノービザ恒久化を検討する予定で、今後六カ月はその試金石となるものと見られている。
《台北『中央社』2月10日》
台湾の衛生外交がアフリカに福音 伝染病撲滅支援に友好国の信頼厚く
第三章 中国の国防政策と軍事動向(続)
五、軍事演習
近年、中国軍は年々軍事演習を増加する趨勢にあり(二〇〇三年はSARSの影響で若干減少した)、「南京」「広州」の両軍区では三軍合同による上陸演習が際立っている。それらは「深く進入し、突破する」戦術を研究するとともに実戦演習を積み重ねている。
〔三軍合同演習の強化〕
(一)第二砲兵隊(ミサイル部隊)‥短距離、中距離、大陸間弾道ミサイルの検測、試射、操作に演習の重点が置かれている。このうち二〇〇三年の短距離ミサイル試射回数は前年比十五%増となり、二〇〇四年はさらに各種ミサイルの試射は増え、戦術ミサイルの増強には注目すべきものがある。
(二)地上部隊‥沿海軍区では台湾の地形に合わせた機械化部隊を編成し、渡海上陸演習を繰り返している。東南沿海部での上陸演習では、海空軍との合同演習に力点を置き、作戦能力の強化を図っている。
(三)海軍‥陸空軍との合同演習により集結時間の短縮と上陸支援、ミサイル攻撃などに力点を置いている。同時に新型兵器の投入などにより、制海権掌握を意図している。
(四)空軍‥陸海軍との合同演習により、対地攻撃能力拡充と全天候型支援能力の強化を進めている。
〔対テロ演習〕
北京、瀋陽、江西、安徽、黒竜江、新疆、四川、山西などの地域の武装警察隊が「国際テロ発生」に備えた演習を展開しており、特に新疆での演習が強化されている。近年、新疆を含め湖南、湖北、甘粛での大型演習が目立つ。演習は「防御、救護、攻撃」を柱としている。
〔演習の強化〕
中国軍は演習の要点として一九七五年に「三打三防」(戦車、航空機、空挺部隊への攻撃と核、化学、生物兵器からの防御)を打ち出したが、一九九九年に「新三打三防」(ステルス航空機、武装ヘリ、巡航ミサイルの迎撃、精密ミサイル、デジタル撹乱、偵察からの防御)を打ち出し、各部隊ともそれらによる演習を展開している。
六、科学技術研究の促進
中国軍は戦争形態の変化に対応するため、ハイテク、IT、宇宙兵器の開発と実戦配備を今後の重要な課題としている。
防空、対ミサイル、対衛星兵器に対するレーザー兵器を開発し、防御態勢を強化しようとしている。デジタル攻撃からの防御ならびに敵方撹乱も主眼に置いており、さらにナノ兵器の開発によって現有兵器の小型化、軽量化を図っている。
宇宙開発としては通信、気象、静止、軌道、海洋観測、情報蒐集の各衛星を十数個打上げており、全地球型の監視体制を強化している。山西省岢嵐太原基地、四川省西昌基地、甘粛省酒泉基地に衛星打上げセンターを有しており、太原と酒泉は低軌道衛星基地であり、西昌基地は高軌道打上げ基地となっている。今後五~十年に海南島に新たな高軌道衛星基地を建設する予定である。
二〇〇三年十月十五日に中国は有人宇宙船「神舟五号」を打上げたが、二〇〇五年には二人乗りの「神舟六号」を打上げる予定である。これらは中国の宇宙監視能力を大幅に上昇させると見られる。
七、国際軍事交流
国際軍事交流は現在中国の国防政策の重点となっている。目的は「中国脅威論」を打ち消し、中国軍のイメージを改善するところにあり、「長期安定、未来志向、善隣友好、全面協調」の外交政策と相俟って各国との政治、経済、民間交流に加え、軍事交流を重要な一つとしている。
〔軍事交流の目的〕
各国と軍事交流、武器の輸出入、人員の訓練、科学技術研究の相互協力などを積極的に進めている。その目的は、軍事交流により第三世界の軍備拡充を支援して国際的地位を高め、米国、ロシア、欧州など先進国の現代軍隊の理念と技術を吸収し、アジア太平洋地域での覇権確立の目標を達成し、世界戦略の仲間入りをし、米国の間接的包囲網を打破するところにある。
〔上層部の外国訪問〕
(一)党と政府の上層部‥この数年で胡錦濤、江沢民ら七十数人の党と政府の幹部らが前後して各国を訪問しており、それは百二十余カ国、三百余回におよび、米国が最も多く、日本、ロシアがそれに次ぐ。
(二)軍上層部‥近年、曹剛川、徐才厚ら五十余名の軍幹部が前後して米、露、英、仏、独、日、韓など九十余カ国を訪問している。
〔外国からの中国訪問〕
(一)政党、政府上層部‥三十余カ国から約五十チームが訪問しており、米国からが最も多く、ロシアがそれに次ぐ。
(二)軍上層部‥七十余カ国から百十余チームが訪問しており、ベトナムが最も多くパキスタン、タイ、フランスがこれに次ぐ。
(三)軍事演習観閲‥二〇〇三年八月に中国は初めて内モンゴル合同戦術訓練基地を外国人の視察に開放し、米国、ロシアなど十数カ国の軍事オブザーバー、観閲武官らを招き、装甲部隊の対抗作戦演習を披露した。
〔艦隊の相互訪問〕
(一)艦隊の外国訪問‥中国海軍は遠洋航海能力と経験を積む以外に、外洋戦略の拡充を図るため、艦隊の外国訪問を積極的に進めている。二〇〇二年に最初の世界一周航海を達成し、航路は五カ月を要して三大洋を回り、韓国など十余カ国を訪問した。二〇〇三年には米国グアム島、ブルネイ、シンガポールを訪問し、シンガポールでは「二〇〇三年アジア海洋博」と「西太平洋軍事フォーラム演習」に参加した。二〇〇四年の艦隊外国訪問は一回だが、一九八五年の初訪問以来二十数回、約四十カ国を訪問している。
(二)外国艦隊の中国訪問‥二〇〇二年はドイツなど二十数隻が青島、上海、香港、湛江などを訪問した。〇三年は米国、スペインなどから二十数隻が訪問し、パキスタンとインドの艦隊が訪問した時には海上合同救助演習を実施した。〇四年には米、英などから十数隻が香港、上海などを訪問し、このうち仏、英、豪とは海上合同救助演習を実施した。
〔武器の輸出〕
中国は近年来、東南アジア、アフリカ、中東など約二十カ国に殲八型機、運八型機、直九型ヘリ、歩兵戦闘車、対戦車誘導砲、常設レーダー、防弾着、各種拳銃、弾薬などを輸出している。これらは外貨獲得以外にも、性能向上と地域への影響力拡大の目的もある。
八、アジア太平洋地域への影響
中国は「二〇〇二年国防白書」の中で「現代化の推進と祖国統一の完成」を新世紀の最大任務と規定している。その国防力現代化はハイテク兵器の購入、開発となって現れ、周辺諸国に脅威を与えるところとなっている。
〔周辺諸国への影響〕
中国の現代化計画は海空軍とミサイルの強化以外に、即応態勢と遠距離作戦能力の向上を含み、水域での演習を強化しているため周辺諸国からの疑念と不安が高まっている。米国は中国を最も主要な「戦略的競争相手」と見なし、日本は中国を軍事的脅威と認識し、守りの主力を北方から西方に移し始めている。東南アジア各国はASEAN地域フォーラムを通じて中国を制御しようとしている。中国は「中国脅威論」を緩和するため経済交流や軍事交流を強化し、アジア太平洋情勢は表面上平穏を保っているが、実際には暗雲が漂っている。
〔台湾海峡への影響〕
中国は二〇〇二年十一月に開催した第十六回「全人代」で「世界に中国は一つ。台湾は中国に属し、中国の主権と領土は分割されない」と定義づけ、現実に多数のミサイルを配備し、台湾への威嚇を強めている。さらに「台湾問題の解決を無期限に延ばすことはできない。台湾問題の解決には一戦をも辞さない」と何度も表明するようになった。
現段階における中国軍は台湾海峡渡海作戦と上陸作戦の敢行は困難であるが、その戦力は近年飛躍的に増強されており、ASEAN諸国には秋波を送り、「台湾問題」には武力解決を放棄するようすはなく、台湾海峡の平和に対する危機は日増しに高まっている。米国は中国の戦略に疑念を抱き、台湾への防衛兵器売却の姿勢を堅持している。将来の台湾海峡の軍事情勢は不安定であり、十分な観察が必要である。
【国防部 2004年12月14日】
経済第一、六分野で台湾の健全化目指す 財政、経済新閣僚が抱負を語る
二月一日、謝長廷新内閣が発足し、新体制がスタートした。閣僚の多くは留任だが、謝行政院長は就任式でとくに経済政策について今年を「経済健全化年」に位置付け、六つの方面で改善を指示した。その内訳は、資本市場を見直し台湾を高付加価値製品とサービス供給センターに発展させる、台湾を新たな研究開発基地とする、魅力ある投資環境を整備する、台湾を国際運輸のハブに発展させる、中小企業のベンチャービジネス基地として発展させる、優良で安定した永続的な資源の供給を確保する、というものである。
以下は、今後の経済政策の推進について「経済日報」がこのほど財政、経済の三閣僚に行ったインタビュー内容の要旨である。
●五大産業を積極推進〔何美玥・経済部長〕
経済部は今年、産業の全方位的発展を施政の方向に据える考えだ。政府がとくに力を入れている半導体、映像ディスプレイはもちろん、鉄鋼、石油化学、通信を含む五大産業を積極的に推進し、台湾経済の起動力としたい。経済部としては二〇〇八年までにそれら五大産業を、それぞれ一兆元(約三兆円)にまで発展させたいと考えている。
台湾は基盤産業が集積され、産業の川上から川下までの連携が強いため、これによる経済利益はかなり期待できる。これは国際市場において台湾の優位性とも言えるものであり、将来の産業政策は単にハイテク産業に限らず、潜在的な競争力をもつ産業をもっと盛り立てていくことが重要だ。
サービス、文化創意、研究開発、流通の各産業についても二〇〇八年までに千億元(約三千億円)の生産高を目標としている。これを実現するため、経済部では自動車と電子産業を結合させ、自動車の電子分野を強化し、台湾の電子部品を世界の自動車メーカーの調達リストに加えてもらえるよう努力していく。
通信産業は政府の「M(モバイル)計画」に基づき、今後通信費を引き下げるほか、ソフトコンテンツの開発を強化し、国内の通信産業を一兆元(約三兆円)産業に発展させる。
●国民所得の大幅アップを目標〔胡勝正・行政院経済建設委員会主任委員〕
新内閣の施政目標は国民の生活レベルを向上させることだ。謝行政院長は閣議において、「経済発展の成果は国民に深く実感されなければならず、そのためには最もわかりやすい方式で示す必要がある」と語った。経済建設委員会(以下、経建会)としては、今年国民所得を一万五千ドルまで大幅に引き挙げることを目標とし、合わせて国民の経済的苦痛指数を引き下げたいと考えている。
また今年の予測経済成長率は五%、失業率は四%以下の目標を掲げており、サービス業をさらに発展させ、このなかに失業者を吸収し、産業の高付加価値化への転換を全力で進めていく。
●税制改革が最優先課題〔林全・財政部長〕
陳水扁総統は税の公正と改革を今後の三大重要施政の一つに挙げており、財政部としても税制改革を最優先課題として取り組んでいく。目下税制改革の最大のコンセンサスは財政改革委員会が作成した五~十年の財政バランス計画だ。現在、税を免除されている企業に対しても最低課税額を設定し税負担させることについては立法院でコンセンサスを得る必要があり、ただちにこれに着手する。外部には同制度についてコンセンサスがすでにあるはずだが、経済界はまだ正式にこれについて見解を示していない。財政部に腹案はなく、各界と広く意見交換したいと考えている。また、消費税の見直しも税制改革に含まれる。
《台北『経済日報』2月2日》
南部科学園区年生産高四千億元に挑む 産業の集積地のみならず都市開発や生活のモデルに
新竹、中部に続く第三の科学園区として一九九六年台南に誕生した南部科学園区(以下、南科)は昨年十月現在、進出企業が百五十一社を数え、毎年平均三十社の割合で増えている。新竹が十五年かかったことを南科はこの八年で実現した。国内では失業の声も聞かれるが、南科で働く従業員数は毎年三千~六千人規模で増加しており、昨年はそれをはるかに上回る一万一千人が新たに雇用された。今年従業員数は南科全体で三万二千~四万五千人となる見込みであり、南科では現在進出企業の募集と合わせて、園区内の生活機能の強化も課題となっている。
南科は今年目標生産高を三千六百億元(約一兆八百億円)以上、四千億元(約一兆二千億円)に設定している。台湾の産業の新しい牽引役として期待される南科の現状と今後の見通しなどについて、このほど『中国時報』が関係者にインタビューした内容を抜粋し、ここに紹介する。
今年は大躍進の一年 蘇煥智・台南県長
南科の昨年の生産高は前年より一千億元(約三千億円)多い二千六百億元(約七千八百億円)に達した。もともと三千億元(約九千億円)を見込んでいたが、これは下半期に液晶ディスプレイ(TFT-LCD)と半導体産業に陰りが出たためである。政府が推進している二兆双星(半導体、ディスプレー、デジタルコンテンツ、バイオテクノロジー)産業は、国際競争にあって台湾が生き残る道であり、南科もこれに大きな責任を負っている。南科はこれまで新竹が手狭になった後釜として認識されてきたが、われわれは南科を単なる製造工場ではなく、研究開発型の産業集積地として発展させたいと考えている。
すべての科学園区に共通して言えることだが、科学園区には有機的な連携が必要であるにもかかわらず、園区内に周辺産業の集積が行われてこなかったため、新竹は遠くにそれを求める結果となり、コストが高くついた。南科はこれを教訓に最初から特定区を建設し、周辺産業の集積に努めている。特定区の役割は南科を支援することにあり、それには産業もあれば、生活機能的なものも含まれる。
特定区の建設はここ数年の努力が実り、今年それが開花することになろう。一つは、奇美グループの聯奇開発に液晶テレビ専用区と産業支援区の建設を依頼する。これは、台湾のTFT-LCDならびにテレビ産業にとって国際競争における重要な布石となるものであり、台湾が韓国と競合していくための世界的に重要な基地となる。
将来液晶テレビ専用区が南科のすべての特定区と結合されれば、非常に大きな競争力を持つことができ、台湾のすべての科学園区と周辺産業が整合された重要な先例となる。生活機能的な部分については、民間の南科興業に投資を依頼し、今年から着手される見通しだ。
南科の景観は非常に特殊で、点在する大小の沼はこれまで欠点と見なされてきた。しかしわれわれが現在進めている「康橋計画」は、これを逆手にとって整備し直し、生活機能と結合させ、よりよいものにしようというものである。今年は南科にとって大躍進の一年になる。
産業の南部移転は台湾の新勢力 何美玥・経済部長
海外の企業関係者や学者が台湾の経済奇跡について語るとき、みな新竹科学園区がその重要な担い手であると指摘する。だが、私はそれは台湾経済を推進する片方の手に過ぎないと考える。これまでわれわれは新竹以北の資源だけで国際社会と競争してきた。だが、今後南部というもう片方の手を差し出せば、台湾の実力はもっと発揮できると考える。
南部のハイテクにおける川上産業はすでに成熟し、TFT-LCDに必要な重要部品はすべて揃う体制が整っている。だが、川下においてテレビ産業が不足している。これまではコンピュータと携帯電話の液晶画面にのみ依存してきたため発展が限られたが、もしテレビ市場が開拓できたら、TFT-LCD産業は今後発展が期待できる。
昨年のテレビ市場におけるTFT-LCDの出荷台数は約八百万台で、今年はその二倍の約千五百万台が見込まれている。われわれは今後南科に液晶テレビ専用区を設立し、テレビに関連するすべての産業を近くに集結させ、生産コストを引き下げ、デジタルテレビへの転換を加速させたいと考えている。
現在台湾が国際社会で知られているのは情報製品であり、家電製品ではない。将来もし奇美実業が家電製品で頭角を表し、テレビブランドで国際市場に進出できれば、南科にはこれを全面的に支援する体制があり、南部にテレビ産業の発展をもたらすことができる。
国内最大の光電産業集積地 呉盟分・南科管理局副局長
南科に集積している産業としては半導体、光電(オプトエレクトロニクス)、バイオテクノロジーが代表的だが、とくに光電は四十五社が進出し、川上のガラス産業から川下のテレビ産業まで集積され、その規模は国内最大を誇る。また南科には各産業の研究開発部門も集積されつつあり、海外企業がすでに十五社進出し、今後も増加する傾向にある。このように、南科はこれまで台湾と国際企業を結ぶ重要なプラットフォームの役割を果たし、国内産業の潜在力を大きく向上させてきた。これは南科の成果の一つとも言える。だが厳しい国際競争において、人材も資金も技術も流動するなか、われわれが今後も競争力を維持するためには、政府が引き続き交通システムや生活機能を含むインフラ設備に投資することが必要だ。
そこで優先されるのが国際村の建設である。これによって海外企業の進出を促し生活環境を整える。第二に、国際実験中学校の設立構想がある。これは現在、教育部と行政院国家科学委員会が協議中である。第三に世界貿易センターを建設する計画がある。これについては国賓が十億元(約三十億円)を投資し、五つ星クラスのホテルと国際会議センターを建設することが決まっている。われわれはこれに高速鉄道(新幹線)の開通が加われば人とモノの流れがさらに加速すると期待している。
ハイテクと自然生態、文化を融合させた「康橋計画」に基づき、教育部は南科園区内に博物館を建設することを決めている。この計画は今後三年以内に着手される見通しだ。
人材育成が最重要 翁政義・国家実験研究院院長
台湾南部について言えば、大学を除いて純粋に研究開発だけを行う機関は一つもない。私が行政院国家科学委員会に在職していた際、所属の六つの国家実験室はすべて新竹以北にあった。このため、私は南部にも拠点を置くよう働きかけた。そして工業研究院に移ってからは南科に分院を設立するよう説得し、経済部が南科に設立した創新園区を工業研究院が企画することになった。
工業研究院はすべて南科を中心にした配置となっており、いくつかの研究開発チームが結成されている。主なものは、マイクロ・ナノシステム、ネットと通信、オプトエレクトロニクス応用、エネルギーと環境、先進材料など七分野で、それらが南部の将来の発展の中心となる。
国家実験研究院は南科に三つのセンターを持っている。高速ネット計算センター、ナノテク実験室、オンチップシステムデザインセンターだ。
工業研究院、国家実験研究院に関わらず、それらの施設はみな南科を支援するために不可欠であり、非常に重要な存在である。将来南科は研究開発型に発展していく必要があり、そのためには十分な開発力と優秀な人材が必要だ。人材は発展の要となるものであり、人材の育成とそのための環境整備が最重要と言える。
康橋計画で生活環境を整備 梁又文・台南県城郷局局長
「康橋計画」はハイテクと文化を融合させたもので、南科周辺に点在する大小の沼を、水と緑に親しむ都市開発モデル地域として整備するものだ。政府は三年前から同地の十六の沼について周辺環境との融合を意識し、水と緑の空間の整備を進め、周辺の排水システムとの整合を図っている。これにより、生産、生活、自然が三位一体となった環境を整備するのが南科の目標である。
《台北『中国時報』2月8日》
中国の軍事拡張と台湾の防衛戦略⑤
「二〇〇四年国防報告書」概要
第四章 軍事情勢と国家の安全保障
台湾はアジア太平洋地域列島線の中央に位置し、アジア大陸を囲む月形防衛線の戦略的中枢を占め、中国大陸東南沿海部を押さえている。中国が海洋戦略を進めるには第一列島線(注一)を突破しなければならず、台湾はそこに位置し、日本の南方海上防衛戦略とも深い係りを持ち、日米両国の海洋の利益を保障するかたちとなっている。この台湾の戦略的位置は、中国の太平洋進出を阻止し、日米中の西太平洋における戦略的利益と軍事における勢力バランスを調整する役割を担っている。
一、西太平洋情勢
アジア太平洋情勢は目下世界が注目し、米国の国際戦略の焦点ともなっている。この中で台湾海峡は政治的対立も軍事的対峙も緩和されず、今後西太平洋情勢に影響を及ぼす主要な要素となるだろう。
〔台湾海峡の情勢〕
中国は第十六期「全人代」のあと世代交代が進み、江沢民は中央軍事委員会主席の座を去って胡錦濤が後を継ぎ、党・政・軍の権力を一身に集め、これから短期間に今後の施政方針を明瞭にすると予測される。
中国はわが国の総統選挙のあと、党・政・軍の幹部がしきりと外国を訪問し、「一つの中国」を受け入れるよう各国に要求するとともに、「平和的台頭」のイメージを作り出し、わが国の外交活動の場を圧迫し、シンガポールの次期首相の訪台に報復措置をとったりしている。また「平時に台独を圧迫し、長期に統一を達成する」目的のため、軍備増強を進めるほか、武力によらない「三戦」(世論戦、心理戦、法律戦)を進めている。同時に、立場の微妙な台湾企業関係者に圧力をかけて取り込もうとしている。さらに国営、半国営、民間のメディアを通じて虚実の情報を流布し、台湾の軍、官、民の士気に影響を及ぼそうとしている。
近年、中国軍は東南沿海部で三軍合同演習を集中的に行い、そこには漁船まで動員されており、活動範囲も次第に拡大している。現在、両岸間に相互信頼メカニズムがないという状況下に、誤判断、過度の反応、突発的衝突などが発生する可能性はきわめて高い。国民は警戒心を高めコンセンサスを凝集し、国家の安全を維持しなければならない。
〔米中台関係〕
米中台三国関係は、近来、台湾政治の多元化、米台軍事交流と兵器売買条件の調整、さらに「日米安保新構造」による台湾海峡の周辺事態への組み込みなどの要素により大きく変化した。中国は「一つの中国と台湾問題」の白書の中で、台湾に対し武力を発動する「三つの場合」を示したが、それは「台湾がいかなる名義であっても、中国分割の挙に出た場合。外国勢力が台湾を占拠した場合。台湾当局が無期限に交渉を拒否した場合」である。中国はこれらを内政もしくは内政干渉の問題と見なしており、また統一工作を今後加速する兆候が見られ、わが国に対する重大な挑戦を形成している。
二、両岸情勢の推移
両岸は政治的立場の相違により五十数年間異なる統治の状況にあり、中国は「台湾への武力使用」を放棄しようとせず、これが両岸関係正常化の主要な障害となっている。
〔海峡両岸の現状〕
中国は台湾の第十一期総統選挙直前に「決してしない五項目」と「二つの道」(注二)を発表したが、それは硬軟両用と「一つの中国」の主張を交差させており、両岸交流と交渉再開には不利益な内容であった。
中国は「反台独、統一促進」を進めるため、しきりに台湾の民間人、団体、企業の代表者らに接触し、民間の対中観念を変え、台湾の防衛意識を瓦解させようとしている。同時に「両岸関係と経済フォーラム」を活用して企業代表者らに「中国の主権」と「統一」を背景とした経済交流拡大や三通開放の声を台湾内部で上げさせようとしている。
両岸の経済、社会、文化、宗教関係の交流は日増しに頻繁となり、特に経済は大陸に対する依存度がますます高まり、台湾海峡有事の際には国内経済に衝撃を与える可能性がある。近年、大陸民衆が偽装結婚、親族訪問、密航、就業などの手段で台湾に入るケースが増えており、中国の台湾に対する情報収集や破壊活動の機会を押さえ込むため、台湾は入国管理を厳重にせざるを得なくなっている。さらに国内与野党の対立、対中危機意識の曖昧化、ならびにその他の潜在的不安定要素なども、わが国の安全保障と発展を阻害する要因となっている。
〔中国の対台湾策略〕
現段階の中国の対台湾策略は、大体において鄧小平、江沢民路線に沿っており、以前よりも活発化している。外交面では「米国を通して台湾を制御する」策略を用い、国際間では「一つの中国」をますます浸透させようとしている。政治面では「平和統一、一国二制度」の基本方針に沿い「台湾同胞に期待する」といった統一戦線工作を進めている。文化面では多額の資金を投入し、国際的に「反台独、統一促進」の観念を広め、「台湾独立への歩み」を押し潰そうとしている。心理面では甘言を弄して台湾人の対中警戒意識を瓦解させようとしている。それらの詳細は以下の通りである。
(一)外交的圧迫‥中国は各国に「一つの中国」遵守を強要し、国交樹立、相互訪問などには「中国が唯一の合法政府」と「台湾は中国の一部」の承認を前提とし、両岸関係の国際問題化を阻止し、「一つの中国」を国際間での主流観念にしようとしている。近年では北朝鮮の核問題対策、イラクとアフガニスタン再建問題、国際反テロ活動などにおいて、中国は台湾への圧迫を対米協力への交換条件としている。米中高官の相互訪問の際、常に米国に対し台湾の制御を強烈に要請しているのがその策略の証明となる。
(二)政治的矮小化‥中国は台湾の政治的地位を矮小化し、「一国二制度」による「台湾問題」の解決を当面の目標としている。中国は台湾に対し「一国二制度」を受け入れれば「台湾通貨の使用、軍隊の保持、独立関税区の維持、現行政構造の維持」などが認められると宣伝しているが、その真意は台湾から「中華民国」の国号を奪い、台湾政府を中国の一地方自治体とし、台湾の国際活動を封殺しようとするものである。最近の北京の対台湾工作会議では「米国の台湾問題干渉排除、両岸交流の積極的拡大、対台軍事攻撃の準備強化」を三大優先項目とした。今後中国は「一つの中国」をベースとし、わが国に「一国二制度」の受け入れをさらに強く迫ってくるだろう。
(三)経済面での策略‥中国は改革開放政策によって経済を急速に発展させ、すでに世界の主要経済体の一つとなっている。WTO加盟後は外資導入の機会が増大し、外貨準備高を大幅に増加させるとともに軍事支出を拡大し、軍事力を急速に高めている。これらを背景に、台湾の銀行の中国支店開設の緩和、投資保護措置、台湾企業の保険業務と物流関係への参入緩和などによって、さらに国内経済の活性化を図っている。二〇〇四年七月に制定した「マカオ台湾経済関係長期発展戦略」では、広東における台湾企業の投資範囲を徐々に拡大することを定め、杭州で開催した「二〇〇四年両岸関係と経済貿易交流フォーラム」では、国務院台湾事務弁公室が「台湾が明確に三通を国内問題として受け入れてこそ、相互の交渉が進められる」と表明した。現段階の対台経済策略は、投資奨励、高等科学技術の吸収、台湾経済の空洞化、さらに台湾企業を使っての台湾政府圧迫であり、表面は「政経分離」を謳いながら、その実体は「商を以て政を包囲」し「経済を以て統一を促進する」というものである。
(注一:第一列島線=日本列島・台湾・フィリピン。第二列島線=小笠原諸島・サイパン島・グアム島)
(注二‥中国共産党中央台湾工作弁公室と国務院台湾事務弁公室が二〇〇四年五月十七日に発表。五項目は「われわれは、一つの中国の原則を堅持し決して妥協しない。平和交渉の努力を決して放棄しない。台湾同胞と諮って両岸の平和を追求する誠意を決して変更しない。国家の主権と領土保全の意思は決して動揺しない。台湾独立は決して容認しない」。「二つの道」は「台湾が分裂活動を停止し、一つの中国を認めてこそ、両岸関係を発展させられる」「台湾が中国から離れようとすれば自滅の道があるのみ」というもの)
【国防部 04・12・14】
二〇〇五年観光情報
「台湾塩博物館」がオープン
世界で野生生物の絶滅危惧種に指定されているクロツラヘラサギの越冬地として知られる台南県七股は、その昔、一面に塩田が広がる製塩産業の地として栄えた。この地に台湾の製塩の歴史を物語る「台湾塩博物館」が二月三日オープンした。
台湾の製塩産業の起源は十七世紀、鄭成功の時代に遡る。文献によると一六六五年、鄭成功の武将だった陳永華が、現在の台南市南区塩埕の南に塩田を作ったのが最初とされている。その後、製塩産業は新竹から屏東まで、台湾西部一帯に広がり一大産業に発展した。しかしその後機械化が進み、現代社会の波にもまれ、二〇〇二年に最後の塩田が閉鎖され、三百三十年間続いた台湾の製塩は歴史の幕を閉じた。
博物館はまず外観が非常にユニークだ。遠くから見るとまるで塩の固まりを思わせる。関係者によると、海風が最も強く吹き付ける七股の環境に配慮したそうだが、外壁はすでに風霜を感じさせる。
一階は特別展示室になっており、当時の製塩作業の情景が人形や模型によってリアルに再現されている。ここでは実際に労働者が肩に担いだ塩の重さを体験し、その苦労を実感できるようになっている。
二階は常設展で、塩が作られる過程や製塩産業が台湾にもたらした富、塩にまつわる知識などが紹介されている。三階も常設展で、ここでは科学的な視点から塩を分析し、塩のさまざまな効用や世界各地の塩について紹介している。
同博物館へは、車なら中山高速道路の麻豆インターチェンジを下り、佳里を経由し七股方向へ進む。途中、七股塩山に寄って塩入りのアイスキャンディーを味わってみるのもお勧めだ。
《台北『民生報』2月4日》
台湾の高山地図シリーズで出版
アウトドアを楽しむのに地図はなくてはならない情報だ。とくに高山への登山では、ときに生命を危うくする事態にもなりかねない。
このほど台湾の高山を網羅した地図が上河文化公司から出版された。五万分の一の地形図で二十五冊からなり、価格はセットで二千七百元(約八千円)となっている。
台湾は国防上の観点から長い間、地形図を作成することが規制されてきた。その後規制が解除され、内政部が地形図を発行し、これが登山者の重要な地図として活用されてきた。こうしたなか、上河文化公司が五年前に出版した二十二冊からなる五万分の一の高山地図は携帯に便利で人気となり、二年間で完売となった。
準備に二年、制作に一年かけて出版された同社の高山地図は以前のものより範囲が広く、標示もより正確で、情報も詳しくなっている。たとえば新しく建てられた山小屋や水場、新たに整備された登山道、遊歩道、全地球測位システム(GPS)座標などが書き加えられており台湾の主な高山の立体映像も見られる。
《台北『民生報』1月3日》
台東鉄道芸術村がオープン
行政院文化建設委員会と台東県が共同で推進してきた「鉄道芸術ネットワーク計画」が着実に広がりを見せている。二〇〇四年十二月末にオープンした「台東鉄道芸術村」は敷地五・七㌶、台東駅の旧駅舎を改造し、待合室だったところに台東観光ツーリストインフォメーションセンターを設置した。倉庫五カ所と屋外スペースには台東劇団が一年間の経営管理権を獲得し、アーティストたちの創作の場となっている。今後は台東の観光スポットと結びつけた芸術と文化のリゾートスペースを目指す。
《『台湾観光月刊』439号より転載》
老舗の伝統菓子博物館 人生の節目彩る菓子を展示
台北市士林にある郭元益菓子店は、創業百三十八年の老舗菓子店である。その歩んだ道のりは台湾の歴史を物語り、同店本社にある「郭元益糕餅(菓子)博物館」は、企業博物館の走りとなった。この博物館は、台湾の伝統菓子文化を後世に伝えるために設けられ、人が誕生してから結婚や人生の節目で、また季節の節句に用いられていたさまざまな菓子が展示されている。館内に足を踏み入れると、今はもう生産停止となった伝統菓子が所狭しと並べられ、思わず目を見張る。満一歳を祝う「満月圓」もその一つ。女性の乳房をかたどったケーキで、昔は子供の満一歳の誕生日に、父方、母方の両方の実家で作らせたという。乳房の形は、赤ん坊の命綱とも言える母親のおっぱいにちなんだものだと言われている。
「見に来た人に昔の儀礼や習慣を知ってもらい、世代間のコミュニケーションを深めるきっかけになれば嬉しい」。同店入社歴二十年という博物館館長の李坤さんはこう語る。というのも李さんは以前、新聞でこんな話を見たことがあるからだ。ある嫁が自分の子供の眉毛を姑にそり落とされて激怒したが、実は赤ん坊が生後二十四日目に眉毛を剃ってやるのは、頭が良くなるようにという古くからの伝統儀式だったのである。
このほか、博物館には結婚の祝いに配る「喜餅」の特設コーナーがある。李さんによれば中国大陸では福建省のごく一部の地域以外、これを配る習慣は無かったそうで、台湾独自の文化であるという。昔は親が子供の婚礼のために用意するのが慣わしだったが、最近では結婚するカップルが自分で買うようになり、同店でも老舗の風格を保ちつつ新商品の開発にチャレンジしている。
●郭元益糕餅博物館:台北市文林路五四六号四階、見学は予約制。電(02)2838-2700内線359謝小姐
《台北『中国時報』2月8日》
文化ニュース
白井市で台日交流イベント開催 許代表が講演、台湾茶の紹介も
千葉県白井市で二月十二日、台湾の現状と文化を紹介する交流イベントが催された。これは白井国際交流協会が主催したもので、講演と台湾茶の紹介・試飲の二本立てで行われ、会場の白井駅前センターには白井市とその周辺の市民らおよそ百五十人が参加した。
まず「台湾の歴史と現状について」と題して許世楷・駐日代表が講演を行った。このなかで許代表は、昨年末の李登輝前総統の訪日について触れ「中国の圧力があったにも関わらず訪問が実現したのは、なにより日本の皆さんが歓迎してくれたからだ」と述べ、台湾と日本の関係について李前総統が帰国の際に語った言葉を引用し「静かではあるが一九七二年の台日断交以降、いまが最もよい関係にある」と語った。また日本政府が愛知万博の期間中に限り台湾観光客にノービザを適用することについて「台湾は海外からの観光客において韓国に次いで多く、消費額も高いうえ犯罪率が最も低い」と指摘し、「万博以降も恒久的にノービザが適用されることを期待したい」と述べた。
会場には盧千恵・代表夫人らフォルモサ基金会のメンバーが旧正月にちなみ、邪気を払い吉祥を表す赤い台湾の先住民族の衣裳を身につけ、雰囲気を盛り上げた。
許代表と夫人に対し市民からは「家庭では何語を話しているのか」「台湾をあまり知らない人もいる」など、気さくで率直な意見が相次いだ。許代表は「日本は冬ソナで一気に韓国ブームになってしまったが、台湾にも負けない魅力がある。日本の作家や映画監督に台湾に一年ほど滞在してもらい、そのなかで台湾に関する作品を創作してもらい、それを公開することなども考えている。皆さんによいアイデアがあれば、ぜひお知恵を拝借したい」と呼びかけた。
このあと台湾茶の味わい方について、日本で台湾茶の普及に努めている沈甫翰氏が講義を行い、「お茶で大切なのは味と香りのバランスがとれていること。よいお茶は二十煎でもおいしく飲むことができ、特別な作法は必要ない」と語り、参加者に台湾茶がふるまわれた。交流会は終始和やかな雰囲気に包まれた。
《取材:本誌編集部》
ネット活用の天文台がお目見え 肉眼の六百万倍を観測
台北市の台湾大学公館近くに、このほどインターネットを活用した天文台がお目見えした。
これは台湾師範大学が研究を進めていたもので、肉眼で見える明るさより六百万倍も暗い恒星を観測することができるという。これまで台北市内は街灯や商店などの明かりが強く、夜間も昼間並みの明るさのため、肉眼でもせいぜい四等星までしか見ることができなかった。
この光害に師範大学は二年間かけて望遠鏡の設計を見直すことでこれを解決し、さらにインターネットを活用し遠隔リモコン操作で行える天文台を完成させた。
《台北『民生報』1月22日》
台日親善囲碁大会が開催 勝敗は台湾が圧勝
日本アジア航空の創立八十周年を記念し、一月二十五日、台湾から囲碁愛好者が日本を訪れ、親善大会が催された。台湾からは五歳の少年から七十七歳の高齢者まで三十四人が参加した。大会では日本で活躍する台湾の楊嘉源九段と謝依旻初段の対局が行われた。親善大会とは言え、参加者はみな真剣な表情で試合に臨んだ。勝敗は今年も含め台湾が勝利し、過去三十一回行われた成績は三十対一で台湾が圧勝している。
《台北『民生報』1月26日》
盧千惠さんが台湾の歴史童話を出版 自国の道のりと誇りを次世代に
児童文学家であり、台北駐日経済文化代表処代表夫人の盧千惠さんが二月一日、『給孩子們的台湾歴史童話』(子供に聞かせる台湾の歴史ものがたり)を台湾玉山社から出版した。台湾古来の伝説や昔話を、先住民時代からオランダ、日本統治時代にわたる台湾の歴史と絡ませて紹介したもので、子供たちのみならず大人が読んでも、台湾の人々が自分の国を愛し生きてきた姿を知ることができる一冊だ。
本書のベースとなっているのは、日本で一九七五年に出版した『子どもに聞かせる台湾人のものがたり』(こぐま社刊)だ。一九九九年にはこの中国語翻訳版の童話シリーズ全五巻も台湾で出版されており、それらの内容を今回改めて吟味し、手を加えて一冊にまとめた。
●台湾の物語がなかった
盧千惠さんは一九三六年、日本統治下の台中市で生まれた。当時通っていた国民小学校の授業では「一寸法師」など日本の童話は習ったが、台湾の昔話はひとつも出てこなかった。なぜ台湾の物語がないのか? これは大きな疑問となって心の中に残ったという。
中学卒業後、盧さんは東京国際キリスト教大学に留学し、卒業の翌年、当時早稲田大学の大学院で政治学を学んでいた現駐日代表の許世楷氏と結婚。その後お茶の水女子大学で児童文学を学び、台湾の昔話や民話について研究を始めた。「もともと伝承や昔話は短くて、簡単なもの。どの国でも、それらが研究され、洗練されて素晴らしい物語として残っている。しかし常に外からの統治下にあった台湾では、伝承が発展する期間がなかった」盧さんは語る。
一方、台湾の民主化運動を推進していたことで、盧さんら夫婦は当時の政権の圧力を受け帰国できなくなり、三十年以上日本に留まることになる。日本で生まれた二人の子供に台湾の童話を読み聞かせたいと、『子どもに聞かせる台湾人のものがたり』を書いたのだという。
戦中に疎開先でおじいさんに聞いたという「欲張り爺さん」、台湾で古くから伝わる人食いの「虎ばばあ」。それらの物語に出てくる大きくて恐しいキャラクターは、高圧的な方法で台湾人から搾取した外来政権の姿と重なる。日本の統治下でもそれは例外ではなかった。しかし、本書ではそうした横暴な日本人為政者とともに、台湾の発展に貢献した多くの人々をも紹介している。盧さんは「ダム建設に従事した八田与一さんなどは有名だが、次に日本語翻訳版を出す際には、知られていない沢山の人々を紹介したい」と話す。その言葉には台湾に対する愛情だけでなく、日本人と日本への深い思いが感じられた。
《取材:本誌編集部 葛西》
教育関連ニュース
「先住民語教材」が使用スタート
教育部と行政院原住民委員会は二月四日、現在編纂中の「原住民語言教材」に関し中間報告をおこない、十二民族・四十言語を用いた教科書の一部を発表した。
この教科書は、先住民の学生に使いやすい母国語の教材を提供するため、教育部と原住民委員会が共同で組織した「原住民教育政策委員会」により出版が決められ、同委員会の召集人で政治大学先住民族語言教育センターの林修澈教授を中心に編纂が進められている。現在ほぼ九割が完成しており、今年八~九月には、教員用指導の手引き書も含めた全シリーズ七百二十冊が完成する予定だ。編纂には各先住民の代表や専門家二百四十名が参加した。
林教授によれば、先住民語の教材はこれまで古代言語が使用されていたが、この教材では生活に密着した現代の言葉を用いたという。今回発表された分の教材はすでに印刷済みで、各県・市の教育機関に発送されており、また上記教育センターのウェブサイトwww.acld.nccu.edu.twでダウンロードすることができる。
教育部では三年間に七千七百万元(約二億三千万円)を投入してこの教材を作成しており、先住民族はもとより、それ以外の人々にも先住民語を学習するツールとしてネット教材の利用を期待している。
《台北『青年日報』2月5日》
高校の第二外国語強化策を推進
教育部は二月四日、高校における第二外国語教育の第二期五カ年計画案を決定した。それによれば、第二期計画は二〇〇五~二〇〇九年度の五年間にわたり実施され、毎年二割(約十五クラス)ずつ高校の第二外国語クラスを増設する予定だ。一年目の今年は二千万元(約六千万円)を投入する。
教育部では一九九九年から高校における第二外国語教育を推進しており、すでに一定の成果をあげている。第二外国語クラスは一九九九年度の三百二十五クラスから二〇〇四年度には六百十八クラスに増加し、履修者数も同一万一千五百人から二万一千二百九十四人に増えた。とくに日本語学習クラスは、同期間で三倍以上の増加となった。
同部ではまた、各高校間や大学から外国語教師を相互に調達するほか、第二外国語の成績を大学入試の参考とするため、専門委員会を設立して高校・大学間の協力システムを構築する方針だ。
●各校でユニークな学習方法
第二外国語の学習が今後も強化されるなか、各校では従来のテキスト学習と合わせて、生徒たちに積極的な会話を促すためのさまざまな試みがなされている。
台北市の永春高校は全国ではじめてフランス語を第二外国語として必修科目に導入した学校で、毎年十六クラスで約六百八十人の生徒がフランス語を履修している。授業では中国語を一切使わずにジェスチャーや絵による会話練習や、映画鑑賞やゲームでヒアリングの強化を図っている。また台中のある高校では、日本語の授業に歌を導入しており、生徒の人気を集めている。
このほか、各校で外国語劇の上演や辞書引きコンテスト、海外交流、外国語学習成果発表会など、外国語への興味をかきたてる催しが多数お こなわれている。
《台北『青年日報』2月5日》
お知らせ
台湾映画研究会
日 時 3月5日(土)午後5時~
テーマ日本における台湾映画の受容
ゲスト 山形里香氏(ワコー配給部)
※参加無料、事前に電話予約必要
会場・問合せ 台湾資料センター 東京都港区三田5-18-12
TEL:03-3444-8724
http://www.roc-taiwan.or.jp/data/index/html
春 夏 秋 冬
中国の「全国人民代表大会」がこの三月いよいよ始まる。ここでわざわざ“いよいよ”といったのは、この全人代で「反国家分裂法」が審議されるからだ。昨年12月暮れの全人代常務委員会で同法案の本大会送付が決定して以来、台湾では国民の中国当局に対する嫌悪感が高まり、政府は日本を含む各国に同法の好戦性を説く使節団を派遣した(本誌2176号参照)。その成果であろうか、日米などでは同法に対する関心が徐々に高まり、制定された場合の危険性が指摘されるようになった。だが、コトの重大さから考えれば、盛り上がりがまだまだ足りない。この問題は単に台湾だけにとって重大なのではなく、日米をはじめアジア太平洋地域、ひいては世界の安定と平和、さらに法理にとっても重大問題が含まれているのだ。特に日本にとっては計り知れないほど深刻な問題である。
同法の狙いは、自己の主張である「一つの中国」を押し通し、台湾海峡の現状を一方的に変えてしまおうとするところにある。内容は「台湾は中国に隷属する」とのまったく事実に反する虚構を国際社会に誇示し、その虚構に基づいて現実論を唱える台湾人を処罰の対象とし、かつ台湾の将来を台湾人が自由に論じ台湾全体のコンセンサスに沿った動きを見せた場合、武力発動をするというものである。これほど意見の異なる片方の意志を完全に無視したものは史上例を見ない。
さらにこの法案の性質そのものを分かりやすく説明するため、許世楷・駐日代表は最近の各種の講演会で次のように話している。
「これは台湾併合を勝手に規定し、台湾の民意に何の関係も無く進められており、人権無視も甚だしい法律である。さらに中国の民意とも関係がなく、法としてまったく正当性がない。民意を根拠としていない悪法が領域の外にまで及ぶのは例がなく、まるで中国が『靖国神社参拝禁止法』というのを勝手に通して、小泉首相が参拝して処罰の対象にされるのと同様で、これは強迫である」(本誌2176号参照)
これほど「反国家分裂法」の性質を端的に表した言葉はない。まさにその通りなのだ。日本をはじめ西側主要国が中国のこうした横暴を見逃すということは、ただ中国を増長させ、次には西太平洋の主権に関しても同様の法律を作り出させることになろう。そうなればもちろん日本も米国も黙ってはいないだろう。大事に至らぬ前に、西側諸国は外交ルートを通じ、中国の暴挙を初期の段階で断念させなければならない。(K)