国民大会の権限を立法院に移行し、国民大会そのものを非常設として有名無実化するため「中華民国憲法修正追加条文」(全十一条)をさらに修正する案が四月二十四日に国民大会を通過した。その修正箇所は以下の通りである。
第一条
①国民 大会代表三百人は、立法院が憲法修正案、領土変更案を提出し公示より半年後、もしくは正副総統の弾劾案を提出した場合は三カ月以内に、比例代表制によって これを選出し、憲法第二十六条、第二十八条および第百三十五条の制限を受けない。比例代表制の選挙は法律によってこれを定める。
②国民大会の権限は左の通りとし、憲法第四条、第二十七条第一項第一款ないし第三款および第二項、第百七十四条第一款の規定は適用されない。
一、憲法第二十七条第一項第四款および第百七十四条第二款の規定により、立法院が提出した憲法修正案を再審議する。
二、追加修正条文第四条第五項の規定により、立法院が提出した領土変更案を再審議する。
三、追加修正条文第二条第十項の規定により、立法院が提出した正副総統弾劾案を議決する。
③国民大会代表は選挙の結果確認後、十日以内に自ら会議を開き、国民大会代表会議は一カ月を限度とし、憲法第二十九条および第三十条の規定は適用されない。
④国民大会代表の任期は代表会議期限と同じとし、憲法第二十八条の規定は適用を停止する。第三期国民大会代表の任期は二〇〇〇年五月十九日までとし、国民大会の権限修正後、国民大会組織法は二年以内に修正されなければならない。(現行第五項ないし第八項は削除する)
第二条
②総統は、行政院院長および憲法によって立法院の同意を経て任命された人員の任免、ならびに立法院の解散命令を発令するに際し、行政院院長の副署を必要とせず、憲法第三十七条の規定は適用されない。
⑦副総統が欠けた場合、総統は三カ月以内に候補者を指名し、立法院で補欠選挙を実施し、その任期は前任任期の満了までとする。
⑨正副総統の罷免案は、全立法委員の四分の一の提議を経、三分の二の同意によって提出することができ、中華民国自由地区選挙民の過半数の投票を経て、有効投票総数の過半数が罷免に同意した場合にのみ通過する。
第四条
③立法院は毎年院会開会の折、総統から国情報告を聴取することができる。(現行第三項を原文のまま第四項とする)
⑤ 中華民国の領土はその固有の領域により、全立法委員の四分の一の提議を経て、四分の三の出席において、出席委員四分の三の決議を経、ならびに国民大会代表 三分の二の出席において、出席代表四分の三の同意を経て再度採決されなければ、これを変更することはできない。(現行第四項を原文のまま第六項とする)
⑦立法院は正副総統の弾劾案について、全立法委員二分の一以上の提議により、全立法委員三分の二以上の決議を経て国民大会に提出し、 憲法第九十条、第百条および追加修正条文第七条第一項の関連規定は適用されない。(現行第六項は原文のまま第八項とする)
第五条
① 司法院に大法官十五人を置き、そのうち一人を院長、一人を副院長とし、総統の指名により立法院の同意を経てこれを任命し、中華民国二〇〇三年より実施し、 憲法第七十九条の規定は適用されない。司法院大法官は現任法官の留任者以外は、憲法第八十一条の法官終身職待遇の規定を適用しない。
第六条
②考試院に正副院長各一名を置き、考試委員は若干名とし、総統の指名により、立法院の同意を経てこれを任命し、憲法第八十四条の規定は適用されない。
第七条
②監察院に監察委員二十九人を置き、その中の一人を院長、一人を副院長とし、任期は六年で、総統の指名により、立法院の同意を経てこれを任命し、憲法第九十一条ないし九十三条の規定は、適用を停止する。
第八条
①立法委員の報酬と待遇は、法律によってこれを定めなければならず、年度毎の調整以外、単独の報酬増加あるいは待遇改善の規定は、次期より実施するものとする。国民大会代表の大会期間中の費用は、法律をもってこれを定める。
第九条 (現行第二項を削除し、第三項を以下の通り修正し、これを第二項とする)
②台湾省政府の権限、業務、組織の調整は、法律をもって特にこれを規定することができる。
第十条
⑧ 教育、科学、文化の経費、特に国民教育の経費は優先的に編成し、憲法第百六十四条の制限を受けない。国家は社会救助、福祉サービス、国民就業、社会保険お よび健康保険など社会福祉業務を重視しなければならず、社会救助と国民就業など救済的支出については優先的に扱わなければならない。
⑨国家は多元的文化を認め、積極的に先住民族の言語と文化の発展を擁護する。国家は軍人の社会に対する貢献を尊重し、ならびにその退役後の就学、就業、医療、療養に対し保障を行う。
⑩ 国家は民族の願望によって、先住 民族の地位および政治参加を保障し、ならびにその教育、文化、交 通、水利、衛生、医療、経済、土地および社会福祉に対 し保障と扶助を行い、ならびにその発展を促進し、その方途は法律をもってこれを定め、澎湖、金門および馬祖地区の人民に対してもまた同様とする。