台糖公司、傘下の養豚場でバイオガス発電へ

　台湾の公営事業である台湾糖業公司は21日、政府が掲げる「循環経済（サーキュラー・エコノミー）政策」に呼応するため、「養豚事業2.0-バイオガス発電事業参入による循環経済の始動」と題する記者会見を開催した。

　台湾糖業公司でバイオガス発電事業を担当する呉耀煌プロジェクトマネジャーによると、同社は台湾最大の養豚業者であり、台湾全土に19か所の合法的な養豚場を持ち、年間35万頭を出荷している。2012年以降は特別に予算を編成し、各地の養豚場でバイオガス発電システム設置を進めている。2016年11月中旬には社内に「バイオガス利用組」を設立。オランダやデンマークに社員を派遣し、視察を行っている。

　呉プロジェクトマネジャーによると、すでにバイオガス発電システムを設置している養豚場は5か所で、発電容量は合計490キロワットに達する。養豚場で使用する電力の30～35％をバイオガス発電でまかなっている。養豚業者にとっては、１か月当たり約20,000台湾元（約73,000日本円）の電力費節約につながっている。

　同社は今年、さらに4つの養豚場にバイオガス発電システムを設置することを計画。また、2025年までに同社が運営する18か所の養豚場にバイオガス発電システムを設置し、発電容量を2.12メガワットに引き上げることを目指す。

　このほか、台湾最南端・屏東県にある東海豊養豚場を、台湾初となるCO2排出量ゼロの養豚場とすることを計画している。無臭、清潔、防疫の機能を備えたベンチレーション（換気）設備と、バイオガス発電の循環利用を結びつけた近代式な養豚場へ改築するため、6.88億台湾元（約25億日本円）を投資する。これは行政院(内閣府)が常に進捗状況をチェックする重大計画にも加えられている。

　同社は今後、バイオガス発電を担当する部署を独立させた「沼気能源服務公司」を設立する考えで、地方の養豚業者のために豚の排泄物の量の問題を解決し、養豚業者が養豚に専念し、地元の生活の質を高め、グリーンエネルギー産業と循環経済を発展させるための手助けをしていく。

　バイオガス発電のほかには、台湾糖業公司は行政院環境保護署（日本の環境省に相当）が実施する「バイオガス消化液（発酵残渣）の農地での肥料利用計画」にも参加する。養豚場に設置している既存の排水処理システムをバイオガス収集設備の対象に組み込む、あるいはバイオガス（メタン、二酸化炭素など）発酵槽を増設するなどしてバイオガスを収集し、それを電力に変えて提供するほか、メタン発酵消化液を農地に還元することで、農地での化学肥料の使用を削減し、水質汚染の原因を減らし、循環経済の実現に向けて取り組むことを計画している。

Taiwan Today：２０１７年２月２２日

写真提供：台湾糖業公司サイト
　台湾の公営事業である台湾糖業公司は21日、政府が掲げる「循環経済（サーキュラー・エコノミー）政策」に呼応するため、自社が運営する養豚場にバイオガス発電システムを設置する計画を発表した。2025年までに18か所の養豚場にバイオガス発電システムを設置。発電容量を2.12メガワットに引き上げることを目指す。