ブッカー賞が呉明益さんの国籍表記を再変更、外交部は感謝
英国の文学賞ブッカー賞の公式サイトは4日、「ブッカー国際賞」の第1次ノミネート作品13作品を紹介するページで、台湾人作家の呉明益さんの国籍表記を「Taiwan」に再変更した。これを受けて外交部(日本の外務省に相当)の李憲章広報官は、ブッカー賞主催者に対して謝意を表明すると共に、「今後も国家の尊厳を守るために努力を続ける」と述べた。文化部(日本の文部科学省に類似)の鄭麗君部長(大臣)も4日夜、自身のフェイスブックに「ブッカー賞主催者が呉明益さん及び台湾の立場を尊重してくれたことに感謝する」と書き込んだ。
ブッカー賞公式サイトは3月中旬、台湾人作家の呉明益さんの作品『単車失竊記(The Stolen Bicycle)』など英国で出版された翻訳小説を対象とした「ブッカー国際賞」の第1次ノミネート作品13作品を発表した。呉さんは発表当時、「同賞の候補に挙がることは大変名誉なこと。その上、国籍欄に『Taiwan』と記されていた」と喜んだ。しかしその後、ブッカー賞公式サイトは呉明益さんの国籍表記を「Taiwan」から「Taiwan, China」に変更。呉明益さんは自身のフェイスブックに「ブッカー国際賞が候補作を発表したのち、公式サイトで国籍表記を『Taiwan』から『Taiwan, China』に変更した。これは私の取る立場とは異なる。私の個人的な立場を主催者に伝達するよう協力を求めるつもりだ」と書き込んだ。
外交部はこの情報を得て直ちに呉明益さんと連絡を取り、状況の把握に努めたほか、台北駐英国代表処(英国における中華民国大使館に相当)に対し、状況改善に全力を尽くすよう指示した。台北駐英国代表処は、英国の関連機関やブッカー賞主催者と連絡を取り、中華民国政府がこの問題に対して高い関心を示していることと、「Taiwan」という呼称への訂正を求めた。
英国の『デイリー・テレグラフ(The Daily Telegraph)』紙は3月末、ブッカー賞が中国大陸と台湾の外交問題に巻き込まれたとする内容の記事を掲載した。これは、ブッカー賞主催者が、中国大陸が英国に置く在外公館からの指摘を受け、呉明益さんの国籍表記を「Taiwan, China」に変更したというものだった。
その後、ブッカー賞主催者には各方面から抗議が殺到。ブッカー賞主催者はその直後、「『Taiwan, China』という表記のほうが『正確で政治的に中立(the correct, politically neutral form)』であるとの提言を受けたための措置だった。現在、英国外務省の意見を求めているところだ」とコメントしていた。
ブッカー賞主催者はイースター(復活祭)休暇明けに、公式サイトにおける呉明益さんの国籍表記を「Taiwan, China」から「Taiwan」に再変更した。また、国籍表記を意味する表現を「country/territory(国・地域)」に変更した。
ブッカー賞主催者は台湾メディアから寄せられたメールでの取材に対し、利害関係者との意思疎通、それに英国外務省からの説明を受けた結果、呉明益さんの国籍表記を再変更したことを認めた。さらに、「ブッカー国際賞」は国籍を問わず、英国で出版された翻訳小説を対象としており、全世界の誰もが参加資格を持つものであることを強調した。
Taiwan Today:2018年4月10日
写真提供:ブッカー賞公式サイトより、中央社
英国の文学賞ブッカー賞の公式サイトは4日、「ブッカー国際賞」の第1次ノミネート作品13作品を紹介するページで、台湾人作家の呉明益さんの国籍表記を「Taiwan」に再変更した。これを受けて外交部の李憲章広報官は、ブッカー賞主催者に対して謝意を表明すると共に、「今後も国家の尊厳を守るために努力を続ける」と述べた。写真は公式サイトのスクリーンショット。呉明益さんの国籍表記はすでに「Taiwan」となっている。