台湾開発のスパコンTAIWANIAが運用開始

　科技部（日本の文部科学省に類似）国家実験研究院（国研院）の国家高速網路与計算中心（NCHC）は2年の歳月をかけて、次世代のペタスケールスーパーコンピュータ「台湾杉（TAIWANIA）」を構築、8日から正式に運用を開始した。CPU性能は、最高1.33 PFLOPS（ペタロプス、コンピュータ処理性能を表す単位、1秒間に浮動小数点演算を何回できるかという能力）に達し、従来のNCHCに設置されていたスーパーコンピュータ「御風者（ALPS）」の7倍にもなるという。エネルギー効率は ALPSの10倍以上にもなり、大きさは10坪ほどの面積に収まり、ALPSの3分の1ほどだ。

　TAIWANIAは、昨年の世界のスーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500」で95位に選ばれた。省電力性を競う「GREEN500」では31位にランクインされ、高い評価を受けた。

　精密医療上では、TAIWANIAはゲノム解析時間と疾患を診断する時間を大幅に短縮できる。脳科学の応用分野では、台湾の研究グループが既に制作した13万の神経細胞を持つハエのニューラルネットワークを用いた画像制作から、さらに7,000万の神経細胞を持つネズミについての画像制作にも役立つという。これで、パーキンソン病やアルツハイマー病の進行に関する詳細な研究をもサポートする。そのほか、気候変動の研究、量子化学、製品開発やそのプロセスの改善にも活用できることが期待される。

　NCHC施設サービス部の盧鴻復副部長によると、TAIWANIAが運用を開始し、従来のスーパーコンピュータは8月か9月に引退となる見通しだ。

　新しいスーパーコンピュータが「TAIWANIA」と名付けられたことについてNCHCの謝錫堃主任は「TAIWANIAは台湾在来種で、非常に高くそびえたっている。先住民族からは『月にまで届く木』と呼ばれるほどで、良質な水や土を保持する特性を持つとも言われる。このため多様な生態系の発展を促進し、台湾の生態系の基盤ともいえる存在だ。今回構築したスーパーコンピュータが強大な性能を提供し、科学技術分野の研究基盤、堅実な基礎となり、台湾における科学研究がますます盛んになるよう促進してほしいという願いがこめられている。これはTAIWANIAの特性や代表的な意義と一致している」と説明した。命名までには少なくとも半年以上の論議が重ねられたという。

　TAIWANIAの漢字名は台湾杉。英語名には台湾というローマ字表記が入っている。今後、産学共同でTAIWANIAを使用した科学研究が進められ、その成果が国際的に発表されたり雑誌に掲載されることがあったとき、TAIWANIAというスーパーコンピュータ名が使われれば、「TAIWAN」を世界の国々にアピールすることもでき、台湾の知名度が上がることも期待される。

Taiwan Today：２０１８年５月９日

写真提供：中央社
　従来より大幅に性能がアップしたスーパーコンピュータ「TAIWANIA」。様々な分野での研究開発に役立つよう大きな期待が寄せられる。