1 留学目的
私は,1年でTOCFL流利級を取得し,2019年度に中国医薬大学の学士後中医学部に入学して中医師になるため,今回台湾師範大学国語教学センターに1年間語学留学を行った。
2 成果
2.1 学術
3ヶ月で1冊の教科書を修了する台湾師範大学国語教学センターインテンシブクラスにおいて,半月で1冊の教科書を修了し,2017年12月に開催された中国語能力コンテストを優勝,図書館の個人相談スペースを利用して毎日平均10時間学習を行い,11ヶ月でTOCFL Band C1 流利級を取得した。
2.2 課外活動
国語教学センターで学習するために必要な学内資料が整理されておらず,学生が学習以外のことで時間を浪費する状況が発生していた。そこで,次学期入学者が同じ状況にならないようボランティアに志願,入学説明会資料を整理し,説明会補助を行った。その結果学校の信頼を得て,学校オフィスでの通訳対応,学校公式ホームページ,公式パンフレットの和訳,入学説明会での説明助手などを担当し,100時間以上ボランティア活動を行った。そして,ボランティア内で聞かれた意見を整理し,現状の課題を国語教学センターの主任,沈永正先生へ提言し制度改革を促した。
さらに,学内に中国語と英語に対応した映像学習資料はあるにもかかわらず,中国語と日本語に対応した映像学習資料がなかったため,新入生の中国語学習支援のために中国語と日本語に対応した映画鑑賞サークルを設立した。
また,学内校外学習に積極的に参加,中秋節,春節,端午節など様々な台湾文化体験に努めた。
2.3 進学
学術成績,コンテスト成績,ボランティア活動における学校への貢献度が学校に認められ,台湾師範大学国語教学センター文化大使としてオフィスより推薦を受けた。その結果を,中国医薬大学招生室主任の張文德博士へ報告したところ,教授達に掛け合い特別に2018年9月から中国医薬大学において授業を聴講する機会をいただいた。
3 今後の短期学習計画
3.1 目的
2019年度台湾奨学金を取得し,中国医薬大学の学士後中医学部に入学する。
3.2 中国語
大学生活を送るための日常的な中国語,授業を聴講するための学術的な中国語が必要だと考える。
そのため,まず教科書を用いた基礎的な中国語学習を継続し,語学力の安定を図る。そこから,実生活内での応用的な中国語能力を強化するため,台湾の方のご自宅にホームステイをお願いし,承諾された。2018年9月から中国医薬大学において授業を聴講する機会をいただいたため,9月から台中に住み聴講に通い,また書籍やネットなども利用することによって,中医学の専門用語について学術的な語彙も強化する。中国医薬大学内に奨学金給付者を含め2人日本人の友人が在籍しているため,彼らと情報交換を行いながらより効率的にこの学習を進めたい。その他に,発音学習に立ち返り,両学習においての円滑なコミュニケーションを図る。
3.3 中医学
中医学そのものの学習,中医学を学ぶために必要な文言文の学習が必要だと考える。
そのため,まず日本語の東洋医学の書籍において概訳をつかむ。合わせて,既に通っている日本人と情報交換を行い,中医学と文言文学習の助けとする。それらを実際の授業の聴講の場において確認していくことが有効だと考える。
3.4 奨学金
以上を入学前に取り組み,カリキュラムを明確にすることによって,より具体的な学習計画を練りあげることが可能となり,奨学金の給付,給付基準である80点以上の成績の保持をより確実に達成することができると考える。そうすることで,確実に中医師になるため最善を尽くしていけると考える。
4 将来の発展
2017年9月に語学留学をはじめ,2018年7月に開催されたTOCFL本試験にて流利級を取得した。そこから,2019年に中国医薬大学の学士後中医学部に入学申請し,台湾奨学金を申請して9月に入学,2024年6月に卒業し,中医師専技試験を経て中医師となる予定だ。
将来は,旅で助けてくれた台湾人が,健康な体によって期待を持った主体的選択行動を行うことでアイデンティティを獲得し,生きる意味を感じるより充実した生活がおくれるよう貢献したい。
そして,私のこの人生選択によって,日本の学生が自分も同様に行動できると期待を持って主体的に選択行動し,充実感のある生活をおくれるよう貢献したい。
このようにして,今後も「人とは何か」という問いに向き合っていきたい。
また,今回の留学で培った語学学習の知識や学習計画の戦略について,次の学習者へ知識を共有していきたい。
5 謝辞
台北駐日経済文化代表処 教育部の皆様
定員が12名のところ,皆様が特別に13人目として奨学金を給付してくださったおかげで,今回中医師となるためここまで学習を行うことができました。志を貫くためには裕福である必要はないと教えて下さいました皆様に,心より感謝申し上げます。
台湾師範大学国語教学センターの先生,オフィスの皆様
どんな質問や意見にも真摯に正面から向き合ってくださり,必ず対応してくださった皆様には感謝し尽くせません。お会いできたことを心より嬉しく感じます。ありがとうございます。
推薦してくださった立教大学の恩師の皆様
何年も前のことにもかかわらず,未だに私のことを覚えていてくださり,時間がない中誠意を持って快く推薦してくださった皆様には,本当に感謝しております。
旅で助けてくれた友人
あなたが助けてくれたから私は今ここで医師を目指して勉学に励んでいます。全てはあなたのおかげです。本当にありがとう。
支えてくれた家族
どんな道を選んでも最後まで健康を気遣って支えてくれる家族には頭が上がりません。本当にありがとう。
6 2018年7月の成績について
学内において,次学期のクラス編成がパソコンによってランダムに決められ,クラス内の学力差や期末テストの意義が大きな問題となっていた。実際に,2018年6月に新学期が始まった際,私が所属するクラスでも同様の問題が起こり,担当教師は全員の学力を考慮しなければならないことから,最も学力の低い学生に授業進度が合わせられ,席数制限によってクラス替えも行えない状況であった。TOCFLを7月に控え,より進んだ学習を行いたいと考えていたため,2018年6月末に担当教師と話し合いを行った結果,私の学習目的や学習意欲,2018年6月の学習成績を考慮し,特別に休暇処置を執って,授業時間数を自習にあてさせてくださることになった。そのため,欠席数ではなく休暇数がカウントされている。その代わりに,宿題やテストの提出によって,授業参加点の20点を引いた80点満点で成績評価をしてくださることになった結果,他月と異なった低い成績点数となった。
この問題も国語教学センターの主任,沈永正先生へ提言し,早急に対策会議が執り行われることになった。