蔡総統、パラオで台湾の貢献確かめる
南太平洋にある国交樹立国(パラオ、ナウル、マーシャル諸島)を外遊中の蔡英文総統は現地時間22日午後(台北時間22日午後)、パラオに駐在する台湾の農業技術団を視察した。蔡総統は、技術団が台湾とパラオの友好のために努力し、最先端の農業技術によって台湾の存在感を世界にアピールしているとして、「台湾の誇り」と称えた。
蔡総統によると、台湾は1985年よりパラオに技術団を派遣しており、その歴史は在パラオ中華民国大使館より長い(中華民国台湾とパラオは1999年12月に国交を樹立)。蔡総統は、台湾とパラオが安定した友好関係を築いているのは、台湾の技術団の努力に負うところが大きいと述べた。
蔡総統はまた、台湾の技術団はパラオとの技術協力により、土地の有効利用に限界がある中で、パラオのために安心・安全な食を提供し、飲食の多様化を図るため、大きな貢献をしてきたと評価。今年は、パパイヤやドラゴンフルーツに続き、マンゴー、蓮霧(レンブ、ワックスアップル)、ライチなどの熱帯フルーツを持ち込み、パラオの土地に根付かせたいと期待を寄せた。
蔡総統はさらに、「最先端の農業技術は、世界に対して台湾の存在感をアピールする最良の方法だ」と述べ、台湾の技術団の協力によって設置された果樹園を歩いて視察し、ドラゴンフルーツの栽培エリアや、台湾から導入したグアバやカラマンシー、蓮霧の栽培エリアなどで技術団員によるブリーフィングに耳を傾けた。
現地時間23日午前(台北時間23日午前)、蔡総統はパラオの海上保安当局を訪れ、台湾の海洋委員会(日本の海上保安庁に相当)の巡視船「巡護七号」による海難救助演習を視察した。蔡総統はまず、海洋委員会の陳国恩副主任委員(副大臣に相当)によるブリーフィングを受けた。それによるとこの演習は、「巡護七号」がパラオ船籍漁船「ロンドン号」による通報を受けて駆け付けるというもの。船長の通報によると、乗組員2名が行方不明となっており、網を引き上げる作業中に誤って転落した可能性があるので、「巡護七号」に対して救助を要請したという設定。「巡護七号」は通報を受けた海域で小型のボートを下ろして行方不明者の捜索を行った。また、救助した乗組員のケガの程度に合わせて、隊員が応急措置を施した。
海洋委員会海巡署は台湾の海上保安と海難救助を主要業務とする機関。太平洋にある国交樹立国との友好関係や、台湾とパラオの海上保安交流と協力を促進するため、蔡総統の外遊に合わせ、台湾とパラオは海上保安に関する協力協定を締結した。協定には海上保安に関する職員の相互訪問、演習交流、海難救助、違法な漁業の取り締まり、海上犯罪の取り締まりなど、複数の分野で協力し、両国の交流を促進することが盛り込まれた。
蔡総統は現地時間23日午後(台北時間23日午後)、パラオのベラウ国立病院を訪れ、台湾の新光医院からパラオの衛生当局への医療機材寄贈式に立ち会った。蔡総統は、台湾による医療支援計画は、パラオ在住のコーディネーターである許采綾さんと、ベラウ国立病院の国際コーディネーターであるOmengkar Damien Wallyさんの仲介によって実現したものだと説明した。
また、寄贈式の開始前には新光医院の楊国卿顧問が、2007年9月、行政院衛生署(現在の衛生福利部)の署長だった新光医院の侯勝茂院長がパラオで第1回「台湾・太平洋友好国との医療衛生サミット」を開催した際、トミー・レメンゲサウ大統領と新光医院の副院長(当時)だった自分が、新光医院とパラオの正式な医療協力のスタートに立ち会ったと振り返った。
楊国卿顧問は、「新光医院とパラオの協力関係をさらに深め、ここに新光医院の手術室を設置した。双方は姉妹提携、転院協力の協定締結から始まり、現在では長期的な協力パートナーとなるに至っている。双方の医療協力を通して、パラオの人々にさらに寄り添い、現地の医療ニーズを理解し、そして共同で具体的な解決方法を模索していきたい」と述べた。
その後、蔡総統とトミー・レメンゲサウ大統領が見守る中、楊国卿顧問とパラオのエマイス・ロバーツ保健大臣が、新光医院からパラオ衛生当局への手術室用医療機材贈呈の儀式を執り行った。
Taiwan Today:2019年3月25日
写真提供:総統府
南太平洋にある国交樹立国(パラオ、ナウル、マーシャル諸島)を外遊中の蔡英文総統は現地時間22日、パラオに駐在する台湾の農業技術団を視察した。写真中央は台湾の技術団が栽培したネットメロンを収穫する蔡英文総統。