国際人権博物館連盟のアジア太平洋支部、台湾の国家人権博物館に設置

　国際博物館会議による3年に1度の大会が日本の京都で開かれている。同会議に属する国際人権博物館連盟（FIHRM）は3日、会場内で茶話会を開催、同連盟のアジア太平洋支部（FIHRM-AP）を中華民国（台湾）の国家人権博物館（台湾北部・新北市及び同南東部の離島・緑島）に設置したと発表した。同連盟が支部を設けるのは2017年のラテンアメリカ分会に続く2カ所目。

　国家人権博物館連盟のDavid Fleming主席によれば、同連盟によるアジア太平洋地域での支部設立は2年前の決定で、そこには異なる言語と文化もカヴァーすべきとの考えがあった。国際人権博物館連盟では中華民国の文化部（日本の省レベル）のサポートがあってこその支部設立だと感謝、台湾は人権問題への取り組みで世界的にも大変優れており、アジア太平洋地域で支部を設置する場所には国家人権博物館以外の選択肢は無かったと強調した。

　茶話会には中華民国博物館学会の理事長も務める、文化部の蕭宗煌政務次長（副大臣）も出席してあいさつし、同連盟がアジア太平洋支部の設置場所に台湾の国家人権博物館を選んだことは、台湾における人権の発展ぶりを国際社会が認めたことを示すと歓迎、それはまた台湾がアジア太平洋地域における人権博物館のコミュニティと結びつき、共通の理念を推進していくことへの期待も表しているとの見方を示した。蕭政務次長によると、文化部は引き続き国家人権博物館、並びにアジアと世界の関係コミュニティと交流を深め、様々な人権侵害が起きた際に現代の博物館がとるべき行動と持つべき態度を共に確立していく方針。文化部はそうした取り組みを通じて、公平と正義という不変的な価値を守っていくという。

　新たに設置された国際人権博物館連盟アジア太平洋支部は、台湾における人権関連の取り組みを進めていくほか、中華民国が世界の人権博物館及び関連の組織とつながっていくための重要なプラットフォームとなる。そして内外に向けて、自由民主の制度を共に維持していくこと、並びに人権の価値を実践していくことへの決意を伝えていくということ。

　同支部ではまた、各国が世界各地の問題に関心を持つよう促していく。特にアジア太平洋地域における貧困、児童労働、人権を顧みない労働を強いる工場、人身売買、宗教間の対立、人種差別や民族浄化、国際的な出稼ぎ労働者、女性が受ける性別による差別や暴力、性的マイノリティの受ける迫害などの人権に関する課題への関心を高めていく。そして人権を中心とした博物館の価値と人権への文化的ルートを確立して現代における人権理念の実践を推し進めていくということ。

Taiwan Today：２０１９年９月４日

写真：文化部提供、中央社
　国際人権博物館連盟（FIHRM）のアジア太平洋支部（FIHRM-AP）が、中華民国（台湾）の国家人権博物館に設置された。同連盟の支部はラテンアメリカに続き世界で2カ所目。写真は京都での茶話会の様子。国家人権博物館でのFIHRM-AP設置が発表された。右から5人目が文化部の蕭宗煌政務次長。4人目がFIHRMのDavid Fleming主席。