米厚生長官訪台で豊かな成果、外交部は「多分野で米とのパートナー関係深める」
今月9日から台湾を訪問していた米国のアレックス・アザー厚生長官が12日午後、米軍機で帰国の途に就いた。アザー厚生長官はこの日午前、台北賓館(日本の迎賓館に相当)を訪れ、敷地内に設置されている李登輝元総統の追悼会場で米国民を代表して李元総統を悼んだ。さらにマスク製造装置のメーカーを視察、行政院(内閣)の沈栄津副院長(副首相)とも会談した。会談で双方は、台湾がマスク生産の「ナショナルチーム」を立ち上げ、官民が協力することで十分なマスクと防疫物資を生産して感染を封じ込めたことについて語り合ったほか、台湾と米国とのサプライチェーンの強化を望むことで一致した。
アザー厚生長官は今回の台湾訪問で実質的な成果を数多く挙げている。蔡英文総統と会談したほか、頼清徳副総統による歓迎パーティーに出席、そして呉釗燮外交部長(外務大臣)や陳時中衛生福利部長(厚生労働大臣に類似)ら閣僚とも対面した。また、アザー厚生長官が率いた米保健福祉省の専門家チームは陳建仁前副総統ら台湾の感染症専門家と交流、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬、検査に関する将来的な協力関係などで突っ込んだ話し合いがもたれた。アザー厚生長官はさらに台湾と米国の公衆衛生に関する協力覚書の調印に立ち会ったほか、衛生福利部の陳部長とは共同声明を発表、全世界の公衆衛生問題と感染症対策で台米が協力していくことを改めて確認した。また、アザー厚生長官が国立台湾大学(台湾北部・台北市)での講演で、台湾が新型コロナウイルスを封じ込めた成果を高く評価したことは広く共感を得た。
アザー厚生長官は、それぞれのあいさつの場でトランプ米大統領の台湾に対する支持と友好的な立場を伝えると共に、台湾が民主、透明、開放といった共通の価値を守り抜いていることを評価。さらに公衆衛生と医療衛生産業の面で台湾は世界をリードする立場にあると称え、新型コロナウイルス対策で台湾は世界で最も成功している模範の一つだと強調、世界保健機関(WHO)と国際社会は台湾の経験による恩恵を受けるだろうと述べた。
一方でアザー厚生長官は、中国共産党は台湾が世界の公衆衛生業務に加わるのを長期にわたって妨害し、台湾の2,300万人が健康に暮らす権利を無視してきたと批判、米国は台湾が公衆衛生など重要な問題の解決に向けて貢献できるよう引き続きサポートしていくと強調した。
米国の厚生長官が台湾を訪問するのはアザー長官が初めて。またアザー長官は1979年の断交以来、米国から台湾を訪れた最高位の閣僚。中華民国外交部(日本の外務省に相当)はこれについて、米国の台湾に対する固い支持と緊密な友好関係を表すもので、非凡な意義があったと評価。外交部は、米国政府及びアザー厚生長官の台湾に対する強い支持と固い友情に心から感謝するとした上で、台湾はインド太平洋地域における米国の緊密なパートナーとして世界共通の問題の解決により多く貢献し、世界における様々な分野で米国とのパートナーシップを深めていくと強調した。
Taiwan Today:2020年8月13日
写真提供:9日から台湾を訪問していたアレックス・アザー米厚生長官が12日、帰国の途に就いた。公衆衛生に関する協力覚書の調印に立ち会うなど様々な成果を挙げ、外交部は非凡な意義があったと評価した。写真は11日、国立台湾大学で講演するアザー厚生長官。