呉外交部長が新型コロナや両岸関係語る=チェコ・テレビのインタビュー
外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長(大臣)が14日、チェコ・テレビのベテラン記者、Jakub Szántó氏によるインタビューに応じ、台湾とチェコとの関係、台湾が新型コロナウイルスを封じ込むために行った措置、台湾海峡両岸関係、香港問題などについて語った。インタビューはテレビ会議方式で行われた。
台湾とチェコとの関係、ならびに台湾の投資環境についての質問に対し、呉外交部長は貿易面で双方の往来は非常に密接だと指摘、チェコは欧州で台湾からの投資額が4番目に多い国で、工作機械や情報通信技術などの産業で台湾とチェコは大いに提携可能であるとの見方を示した。
台湾はWHO(世界保健機関)から除外されていることで新型コロナウイルスが広がり始めた当初、最新の情報を得られなかったとの指摘に対し、呉外交部長は、関連の情報が得られず大変厳しい状況だったとした上で、台湾は新型コロナウイルスについていち早く警戒していたことを説明した。台湾は昨年12月、中国で未知のウイルス性肺炎が相次いでいた時期からWHOと中国の衛生機関に問い合わせを行ったが前向きな回答は得られなかった。しかし台湾は2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)で苦しんだ経験があったことで、伝染性を有する非定型肺炎を強く警戒。このため早期に中央感染症指揮センター(新型肺炎対策本部)を立ち上げ、政府全体(whole of government)で各省庁のリソースを統合して新型コロナウイルスに立ち向かった。加えて情報の透明化と公開に努めたことが封じ込め成功のカギとなった。
先ごろ米国のアザー厚生長官が台湾を訪問したことの意義について呉外交部長は、過去41年間に台湾を訪問した米国の高官でアザー氏は最高位であり、これは台米関係が過去数年でいっそう緊密になっていることを示していると述べた。呉部長はまた、米国のポンペオ国務長官がこのほどチェコの国会で演説したことに触れ、台湾とチェコ、米国はいずれも自由民主を核心的な価値としており、こうした理念の近い国々が引き続き関係を深めていくことを歓迎すると語った。
台湾海峡両岸関係に関する質問に対して呉外交部長は、台湾には直接選挙で選ばれた総統がいるほか、国会、外交、国防、自由なメディアがあり、これらはいずれも台湾に自主権が存在する事実を示すものだと強調。それにもかかわらず中国は絶えず台湾を脅かし、アザー米厚生長官の滞在期間中も中国側の戦闘機が台湾海峡の中間線を越えて飛行するなどの妨害行為を行ったと批判した。呉外交部長はまた、香港で民主が失われて以降、台湾も中国の権威主義的な統治が台湾に向けて広がることを警戒しているとする一方、中国に向き合う「前線の国」として台湾は自らを守ると共に、専制政治の拡張を阻止しなければならず、国際社会はそんな台湾をずっと支持してくれるだろうと期待した。
なお、チェコの元老院(上院)議長が8月末、元議長の未亡人及びプラハ市長と共に台湾を訪れる。呉外交部長はインタビューの最後に同訪問団を歓迎するとした上で、この訪問団のため特別に作ったという両国の国旗をあしらったマスクを紹介した。呉外交部長によれば、このマスクは両国の固い友情はコロナ禍によって途切れることがないこと、そして訪問団との交流でも感染防止策を徹底出来ることを象徴している。
チェコ・テレビはチェコの国営テレビ局。24時間ニュースを伝えるCT24など6つのチャンネルで放送しておりチェコの全国で視聴が可能。一部の番組はインターネットでの配信も行われるなど大きな影響力を持つという。
Taiwan Today:2020年8月17日
写真提供:外交部
呉釗燮外交部長が14日、チェコ・テレビのインタビューに応じ、台湾とチェコとの関係、台湾の新型コロナウイルス対策、台湾海峡両岸関係などについて語った。写真は中華民国とチェコの国旗をあしらったマスクを着用する呉外交部長。