蔡総統がアボット元豪首相と会談、経済貿易分野における台豪の結びつき強化望む
蔡英文総統が7日午前、台湾を訪れたオーストラリアのトニー・アボット元首相と会談し、アボット氏が台湾の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」加入を支持していることに感謝すると共に、今後も台湾とオーストラリアならびに世界との経済貿易分野における結びつきが強まるよう期待した。
蔡総統はあいさつの中でまずアボット氏の初訪台を歓迎。蔡総統は、アボット氏の首相在任時、台湾の駐オーストラリア代表を務めていたのが今の李大維総統府秘書長であることに触れ、今回アボット氏が古い友人である李大維秘書長と再会したことは台湾とオーストラリアとの関係により多くの協力と理解をもたらすだろうと述べた。
蔡総統はまた、この日の対面のほか、8日にアボット氏が「玉山論壇」(玉山フォーラム)で基調講演することを楽しみにしていると述べ、「Resetting Priorities of Progress with Resilience(レジリエンスによる進捗の優先順位のリセット)」をテーマとする今年の同フォーラムではコロナ禍からの復興の中、公衆衛生や経済統合などの各分野でアジア各国の協力を促せることを希望した。
蔡総統は経済貿易面での協力に話が及ぶと、台湾とオーストラリアはかねてから互いにとって非常に重要な貿易パートナーであると強調、貿易額も過去5年間、毎年平均10%の割合で安定して増えていると説明した。そして台湾がこのほどCPTPPへの加盟を正式に申請したことに触れ、台湾とオーストラリア、そして世界との経済貿易分野における結びつきが今後も強まっていくようにと期待した。
安全保障面について蔡総統は、インド太平洋地域の地政学的な変化に対してオーストラリア政府は積極的な対応や戦略の調整を進め、米国、日本、インドとの「戦略対話(QUAD)」の会合では共に台湾問題に関心を寄せていると評価。またオーストラリアは今年、様々な国際会議などで台湾の国際社会における活動空間の拡大を支援し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調していると指摘した。
その上で蔡総統は、台湾は地域の平和と安定の維持に貢献するほか、ワクチンや新技術、気候変動、サプライチェーンなどの面で、自由の価値を共有する民主主義のパートナーたち全てとより踏み込んだ協力関係を築く用意があることを重ねて表明。そして蔡総統は、アボット氏が台湾とオーストラリアの「経済協力協定(ECA)」締結と台湾のCPTPP加入を支持し、また台湾海峡の安全と平和の情勢を重視する必要性を絶えず声を上げて呼びかけていることに深く感謝した。
最後に蔡総統はアボット氏の来台を改めて歓迎、アボット氏がアウトドア活動をとても好んでいることを踏まえ、「台湾の自然景観は登山やサイクリング旅行にたいへん適しているので、ぜひ再び台湾を訪れて台湾の美しい景色や活力を深く体験してほしい」と語った。
Taiwan Today:2021年10月8日
写真提供:総統府
蔡英文総統(右)が7日、訪台したオーストラリアのトニー・アボット元首相(左)と会談し、今後も台湾とオーストラリアならびに世界との経済貿易分野における結びつきが強まるよう期待した。