APEC首脳会議に出席した張忠謀氏が記者会見、日本の岸田首相とも会談
11月18日と19日の両日、APEC首脳会議がタイ・バンコクで開催された。台湾からは、蔡英文総統の代理として半導体ファウンドリの世界最大手、TSMC(台湾積体電路製造)の創業者・張忠謀(モリス・チャン)氏が出席した。張忠謀氏は帰国前、バンコクで記者会見を開いて今回のAPEC参加の成果について語った。
【ハリス米国副大統領との会談】
メディアからアメリカのハリス副大統領との会談について尋ねられた張忠謀氏は、「ハリス副大統領との会談は非常に愉快なものだった」と述べた上で、最初の接触は18日で、その日は少し言葉を交わしただけだったが、19日のバイ会談では一緒に写真も撮ったと述べた。ハリス副大統領は半導体産業に高い関心を寄せており、TSMCの米アリゾナ州での工場拡張計画について、「非常に歓迎する」と述べたという。また、ハリス副大統領からは台湾を支援するといううアメリカの決意が改めて示された。
【中国の習近平氏との接触】
中国の国家主席である習近平氏との接触について尋ねられた張忠謀氏は、18日午前中、控室で習近平氏と会って挨拶を交わしたことを明らかにした。張忠謀氏はその際、習近平氏に対して中国共産党第20回全国代表大会の成功を祝う言葉を述べた。これに対して習近平氏は、パプアニューギニアで開催された4年前のAPEC首脳会議でも張忠謀氏とあいさつを交わしたことに言及。張忠謀氏は自分が昨年股関節の手術を受けたことを伝えると、習近平氏から「いまは見たところ顔色も良いですね」と言われたという。これについて張忠謀氏は記者会見で「どちらも和やかで、礼儀正しいやり取りだった」と表現した。また、台湾海峡の安定についての言及の有無を尋ねられた張忠謀氏は、習近平氏とのやり取りは以上のものだけで、ほかにはなかったこと、蔡英文総統から託されたメッセージはAPECで行った2回のスピーチで完全に伝えたことなどを強調した。
【日本の岸田文雄首相との会談】
張忠謀氏は18日午後4時40分(現地時間)より、日本の岸田文雄首相とバイ会談を行った。張忠謀氏はこの会談で、台湾と日本が自然災害や困難に遭うたびに助け合ってきたことに言及。新型コロナウイルスのパンデミックにおいても、まっさきにサージカルマスク、防護服、ワクチンなど貴重な医療物資を互いに供与するなど、相互信頼や助け合いといった緊密な友好関係を示してきたと述べた。双方はこのこの会談で、昨今の世界情勢や台湾と日本の経済・貿易分野の協力の成果などについて意見交換を行った。岸田首相からは、台日間の協力と交流をこれからも深化させること、そのためにさまざまな可能性を積極的に模索していく姿勢などが示されたという。
張忠謀氏はまた、日本がさまざまな場面で台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を繰り返していることに感謝した。また、今後も台湾がWHO(世界保健機関)総会、ICAO(国際民間航空機関)、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)などの国際組織や重要な協定に参加できるよう支持して欲しいと要請した。さらに、台湾はTPPが定める高い貿易基準を順守する能力と意欲を十分に持ち合わせていること、日本を含む近い理念を持つ国々との連携を強化し、台湾海峡及びインド太平洋地域の平和と安定、繁栄をともに促進していきたいなど台湾の立場を伝えた。
張忠謀氏によると、岸田首相はTSMCと日本の半導体産業の各方面での協力を非常に歓迎しており、工場建設にとどまらず、技術の研究・開発分野でもさらに協力が深まるよう期待を寄せていたという。
Taiwan Today:2022年11月21日
写真提供:外交部
タイ・バンコクで開催されたAPEC首脳会議が終了した。蔡英文総統の代理として出席したTSMC(台湾積体電路製造)の創業者・張忠謀(モリス・チャン)氏は帰国前、バンコクで記者会見を開いて今回のAPEC参加の成果について語った。