蔡英文総統、APEC首脳会議から帰国の張忠謀氏に感謝

　蔡英文総統は20日、米サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議（APEC）に出席した代表団と総統府内で会談し、謝意を示した。

　蔡総統は冒頭で、今年もAPEC首脳会議が無事終了したことを喜び、米国から帰国した一行をねぎらった。とりわけ今年も蔡英文総統の代理として渡米し、アジア太平洋地域で最も重要なこの経済会議に出席したTSMC（台湾積体電路製造）の創業者、張忠謀（モリス・チャン）氏に対して、「台湾が各国との交流を増進し、国際社会で引き続き重要な役目を果たすことができた」として謝意を示した。

　蔡総統はAPEC開始前、張忠謀氏にAPECでは加盟国関係者に「4つのメッセージ」を伝えるよう託していた。それは台湾が（1）アジア太平洋地域の平和と繁栄に力を尽くしていること、（2）諸外国とともに努力してエネルギーの構造転換を図っていること、（3）より強靭性をもったサプライチェーン（供給網）を構築していること、（4）アジア太平洋地域におけるデジタル・デバイド解消に協力していること―の4つ。また、今年のAPECの優先課題である①相互連結、②革新的、③包摂的の3つについても、これからも自身の経験を共有し、地域及び世界の発展のためにさらに貢献していきたいとする台湾の姿勢を伝えるよう託した。蔡総統は、張忠謀氏がこうしたメッセージを各国の代表に伝えてくれたことに感謝した。

　　蔡総統はまた、張忠謀氏や台湾のAPEC代表団のメンバーが、多国間あるいは二国間会議を通して、各国の代表や高官らと交流や対話を深めたことにも言及。とりわけ張忠謀氏は米国のハリス副大統領、ブリンケン国務長官、国家経済会議のラエル・ブレイナード議長、日本の岸田文雄首相、シンガポールのリー・シェンロン首相らと対談しており、こうした交流は双方の今後の協力や交流に役立つだろうと喜んだ。

　蔡総統はまた、代表団に参加して渡米した台湾大哥大(タイワンモバイル)の林之晨総経理、広達電脳（クアンタ・コンピュータ）の張嘉淵CTO（最高技術責任者）に対しても、台湾の官民連携に取り組むと同時に、この機会にアジア太平洋地域のパートナーとの協力関係拡大に努めてくれたとして感謝した。

　蔡総統はこの上で、次の段階の課題は、政府が引き続き台湾の産業の構造及び体質改善を図り、同時に台湾の優位性をさらに発揮して、地域の進歩と発展を促進していくことだと説明した。

　これに対して張忠謀氏はまず、APEC首脳会議に出席する機会が与えられたことに感謝した。また、今年のAPEC首脳会議では科学技術関連の問題が多く議論されたことを明かし、「自分が生涯をかけて努力してきたことが報われたと感じた」と述べた。また、各国の代表や高官との交流の中で受け取った善意のメッセージについても一つ一つ蔡総統に報告した。

Taiwan Today：２０２３年１１月２１日

写真提供：総統府
　蔡英文総統は20日、米サンフランシスコで開催されたアジア太平洋経済協力会議（APEC）に出席した代表団と総統府内で会談し、謝意を示した。左は蔡英文総統の代理としてAPEC首脳会議に出席したTSMC（台湾積体電路製造）の創業者、張忠謀（モリス・チャン）氏。