外交部長と衛生福利部長が合同記者会見、台湾をWHAに招くようWHO事務局に要求
世界保健機関(WHO)の年次総会(WHA)である第76回世界保健総会は21日に開幕するが、台湾にはまだ招待状が届いていない。外交部(日本の外務省に相当)の呉釗燮部長(=大臣)と衛生福利部(日本の厚生労働省に類似)の薛瑞元部長(同)は18日午後、外交部で合同記者会見を開き、WHOの事務局に対して台湾を世界保健総会に招くよう強く求め、台湾が世界保健総会への参与と世界の医療衛生への貢献を目指す決意をアピールした。
外交部によれば、中華民国(台湾)の国交樹立国で、WHOの会員国でもある12カ国はWHOの事務局長に宛てた書簡で、台湾をオブザーバーとして世界保健総会に招く提案を今年の総会の議題に加えるよう要求している。また、台湾と理念が近く、台湾にエールを送る国も増え続けており、こうした国々の政府は台湾を力強く支持している。G7(主要7カ国)や欧州連合(EU)は3年続けて、外相の共同声明の形で、世界保健総会とWHOの実務的な会議に対する台湾の有意義な参与を明確に支持した。また日本や米国などの政府高官も公の場で支持を表明している。このほか各国の立法府でも法案の可決や決議の採択など、様々な方式で台湾を力強くサポートしている。
外交部は、「国交樹立国ならびに理念の近い国々が台湾の世界保健総会参与を揺らぐことなく支持していることに心から感謝する」とすると共に、「強大な国際社会の支持は我が国の参与問題にWHOを向き合わせる主な原動力だ」と評価した。
呉外交部長は、台湾は長年「Health for all, Taiwan can help」の精神を堅持し、世界の医療衛生のため積極的に無私の貢献を行ってきたと強調、その例として新型コロナウイルスが世界的に拡大した時期、台湾が80カ国あまりに医療支援を行ったこと、またロシア・ウクライナ戦争及びトルコでの大地震では、政府と民間がただちに援助の手を差し伸べ、医療救援物資と義援金を提供したことを挙げた。呉外交部長は、「世界で助けを必要としている場所のどこでも台湾の献身的な支援を目にすることが出来る」と話した。
呉外交部長はさらに、「中華民国(台湾)は自由民主の主権国家で、中華人民共和国とは互いに隷属しない。台湾において直接選挙で選ばれた政権のみが台湾人民を代表してWHOの活動に参与する権利を持つ」と改めて宣言、WHO事務局に対し、台湾のWHO参与を応援する各国の力強い声を直視し、専門的な立場と中立を堅持し、台湾を世界保健総会ならびにWHOの会議、メカニズム、活動に受け入れるよう重ねて強く呼びかけた。
外交部は、「国際社会の責任あるメンバーとして我が国はこれからも世界各国と協力し、世界における公衆衛生の安全強化と向上に取り組んでいく。外交部は引き続き、『専門的、実務的、貢献』を原則に、衛生福利部と手を取り合い、積極的にWHO参与を目指していく」と述べた。
なお、衛生福利部の薛瑞元部長は19日、医療衛生面での交流活動のため世界保健総会の開かれるジュネーブに向けて出発した。世界保健総会の会場には招かれていないものの、世界医師会(WMA)と共同で「緊急医療専門フォーラム」を開催。また、財団法人国際合作発展基金会(ICDF)による会議など、世界保健総会の周辺会議にも参与し、台湾の経験を全世界と共有することにしている。
Taiwan Today:2023年5月19日
写真提供:外交部
外交部の呉釗燮部長(右)と衛生福利部の薛瑞元部長(左)が18日、外交部で合同記者会見を開き、世界保健機関(WHO)の事務局に対して台湾を世界保健総会(WHA)に招くよう強く求めた。